風俗愛好者のための法律講座 〜その5〜

 

風俗関連諸法(風適法)Ver.2.0 by KEN氏


4 規制及び遵守事項等(法3章,4章)
 本法の核心部分,旧法では対応できなかった部分も現状に応じ,また,将来へ対応するため,改正により更に詳細に規定されている。

◎店舗型性風俗特殊営業に関するもの(法4章1節1款)

○禁止区域
 以下の区域が営業を禁止される。ただし,本法施行又は適用時にすでに届出書を提出し,営業している場合は適用されない。(つまり,h10/4/1より前に届出をしているときは本法による区域規制は受けない。いわゆる法不遡及の原則である)(法28条3項)

●絶対的禁止区域(法28条1項)
 本法施行後は,例外なく営業が禁止される区域,以下の施設等の周囲200メートルの区域が営業を禁止される。
・一団地(一塊りと言った意味)の官公庁施設(官公庁施設の建設等に関する法律2条4項に規定するものをいう。)
・学校(学校教育法1条に規定するものをいう。)
・図書館(図書館法2条1項に規定するものをいう。)
・児童福祉施設(児童福祉法7条に規定するものをいう。)
・善良な風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為,又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがある行為を防止する必要のあるものとして都道府県の条例で定めるものの敷地(これらの用に供するものと決定した土地を含む。)

 

●特例的禁止区域(法28条2項)
 都道府県が,善良な風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為,又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがある行為を防止するため必要のあるときは,条例により,地域を定め禁止する区域。
 原則的には禁止区域ではないものの,都道府県の条例により,例外的に禁止される区域である。

 

○営業時間(法28条4項)
 都道府県は、善良の風俗を害する行為を防止するため必要があるときは、以下を基準とし、条例で定めるところにより、店舗型性風俗特殊営業(法2条6項4号(ラブホテル)の営業その他国家公安委員会規則で定める店舗型性風俗特殊営業を除く。)の深夜(午前零時から日出時までの時間をいう)における営業時間を制限することができる。

1 店舗型性風俗特殊営業の種類ごとに、営業を営んではならない時間を指定して行うこと。

2 営業を営んではならない時間の指定は、性風俗に関し、深夜における良好な風俗環境を保全する必要がある場合に、必要に応じ地域を指定して、行うこと。

 風俗営業は午前零時から日出時までの時間を本法により一律に,原則的に禁止しているが(例外として条例で定める時若しくは午前1時),店舗型性風俗特殊営業は原則として制限を受けず,例外的に(条例により)制限を受けるとになる。一見すれば風俗営業より緩やかな規制に見えるが,実は規制の明文化を避け,それを条例に委任することにより,地域の事情や社会の変化に柔軟に対応し,かつ,いかようにも規制を変更できる(条例の改正で済む,法律の改正は国会の議決が必要で柔軟性に欠ける)のであり,実際は規制する側にとって有用な立法技術である。
 また法令の七不思議の一つに「原則と例外の逆転現象」がある。例外が原則的な扱いを受け,原則が例外的な扱いを受けることが良くあるのである。本規定もその仲間となるであろう。

 

○広告等の規制

● 制限される区域又は地域(広告制限区域等)
・法28条1項に規定(保護対象施設)する敷地(同項に規定する施設の用に供するものと決定した土地を除く。)の周囲二百メートルの区域「絶対的禁止区域(法28条5項1号イ)」
・法28条2項の規定に基づく条例で定める地域(特例的禁止区域)のうち当該店舗型性風俗特殊営業の広告又は宣伝を制限すべき地域として条例で定める地域(法28条5項1号ロ)

 

●制限される広告又は宣伝の方法
・看板,立看板,はり紙,はり札(法28条1項本文)
・広告塔,広告板(法28条1項本文)
・建物等に掲出・表示されたもの(法28条1項本文)
・以上に類するもの(法28条1項本文)
・人の住居等にビラ等(ビラ,パンフ又はこれらに類する文書図画)を配り差し入れること(法28条5項2号)
・ビラ等を頒布すること(法8条5項3号)
・その他清浄な風俗環境を害するおそれのある方法(法28条5項6号)

 なお,法28条5項1号から6号(広告等制限)までの規定は、3項(区域制限非適用営業)の規定により1項(絶対的禁止区域)の規定又は2項(特例的禁止区域)の規定に基づく条例の規定を適用しないこととされる店舗型性風俗特殊営業を営む者(施行前営業者)が当該店舗型性風俗特殊営業の営業所の外周又は内部に広告物を表示する場合及び当該営業所の内部においてビラ等を頒布する場合については、適用されない。
 つまり,規制を受ける営業者すなわち新規の営業者は,店舗の壁面や屋上に看板等を掲げることは無論のこと,店舗内でさえ広告宣伝をしてはならいのである。当然に区域制限等非適用営業者,すなわち既得権により営業している場合で,単に種別の変更(ヘルスからソープ)や名称の変更をした場合は新規の開業ではないのであるから,制限は従前のとおりである。

 

●広告制限区域に拘わらず制限される広告等
・人の住居等(18才未満の居住していないものを除く)にビラ等(ビラ,パンフ又はこれらに類する文書図画)を配り差し入れること(法28条5項2号,4号)
・18才未満の者にビラ等を頒布すること(法28条5項3号,5号)
・広告,宣伝をするときは18歳未満の者が店舗に立ち入ってはならない旨明示する。(法28条8項)
・店舗の入口に18歳未満立ち入り禁止の表示をしなければならない。(法28条9項)

 

●広告等制限の例外

1 法28条5項1号から6号(広告等制限)までの規定は、3項(区域制限非適用営業)の規定により1項(絶対的禁止区域)の規定又は2項(特例的禁止区域)の規定に基づく条例の規定を適用しないこととされる店舗型性風俗特殊営業を営む者(施行前営業者)が当該店舗型性風俗特殊営業の営業所の外周又は内部に広告物を表示する場合及び当該営業所の内部においてビラ等を頒布する場合については、適用しない。

2 店舗型性風俗特殊営業を営む者がその営業につき当該営業所周辺に表示する広告物であつて、当該店舗型性風俗特殊営業の営業所の名称又は当該店舗型性風俗特殊営業の種類のみを表示するもの(当該店舗型性風俗特殊営業の営業所の所在地を簡易な方法により表示するものを含む。)については、前項(立入禁止表示)の規定にかかわらず、十八歳未満の者がその営業所に立ち入つてはならない旨を表示するものとして国家公安委員会が定める標示を公衆の見やすいように表示することができる。

3 店舗型性風俗特殊営業を営む者が法28条9項の規定により十八歳未満の者がその営業所に立ち入つてはならない旨の文言を営業所の入り口に表示している場合には、前二項(立入禁止表示)の規定にかかわらず、当該店舗型性風俗特殊営業を営む者がその営業につき当該営業所の入り口周辺又は内部に表示する広告物に十八歳未満の者がその営業所に立ち入つてはならない旨の文言又は前項に規定する標示を表示しないことができる。

 

○禁止行為

●接客従業者に対する拘束的行為の規制(法28条10項)

1 客に接する業務に従事する者(接客従業者)に対し、接客従業者でなくなつた場合には直ちに残存する債務を完済することを条件として、その支払能力に照らし不相当に高額の債務(利息制限法その他の法令の規定によりその全部又は一部が無効とされるものを含む。)を負担させること。

2 その支払能力に照らし不相当に高額の債務を負担させた接客従業者の旅券等(出入国管理及び難民認定法2条5号の旅券、道路交通法92条1項の運転免許証その他求人者が求職者の本人確認のため通常提示を求める書類で以下のものを保管し、又は第三者に保管させること。
(1)外国人登録法第五条第一項の外国人登録証明書
(2)道路交通法第百七条の二の国際運転免許証又は外国運転免許証
(3)次に掲げる者であることを証する書類
@ 健康保険法の規定による被保険者(同法第六十九条の七の規定による日雇特例被保険者を含む。)又はその被扶養者
A 船員保険法の規定による被保険者又はその被扶養者
B 国民健康保険法の規定による被保険者
C 国家公務員共済組合法又は地方公務員等共済組合法に基づく共済組合の組合員又はその被扶養者
D 私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者又はその被扶養者)

 

●客引き(法28条11項1号)

●18歳未満の者を客に接する業務に従事させること(禁止されるのは接客業務のみであり厨房等での業務を行わせることに問題はないが,児童福祉法34条「禁止行為」の第4の3号,5号に注意する必要がある。特に15歳未満を使用するときは要注意 )(法28条11項2号)

● 18歳未満の者を客として立ち入らせこと(法28条11項3項)

●20歳未満の者に酒類・タバコを提供すること(法28条11項4項)

 禁止行為は児童福祉法と重複する部分があるので注意を要する。例えば,18歳未満の者(児童福祉法上は児童という)を接客業務に従事させたときは本法により処断されるのみだが,これに淫行させた場合(風俗業におけるいわゆる「サービス」はすべて淫行とみなして間違いない)は児童福祉法34条6号を適用することも可能。児童福祉法の罰則は,本法の罰則よりはるかに重い。

 

○指示(法29条)
 風俗営業と概ね同趣である。
 公安委員会は、店舗型性風俗特殊営業を営む者又はその代理人等が、当該営業に関し、この法律又はこの法律に基づく命令若しくは条例の規定(法28条1項(絶対的禁止区域)の規定又は同条2項(特例的禁止区域)の規定に基づく条例の規定を除く。)に違反したときは、当該店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることができる。

○営業の停止等

●営業の全部又は一部の停止(法30条1項)
 以下の場合は当該施設を用いての営業につき,8月(風俗営業は6月であることに注意)を超えない範囲を定めて,その全部又は一部の停止を命ずる事ができる。

・本法に規定する罪に当たる違法行為をしたとき

・刑法174条(公然わいせつ)175条(わいせつ物頒布等)182条(淫行勧誘)の罪に当たる違法行為をしたとき

・売春防止法第2章に規定する罪に当たる違法行為をしたとき。

・政令で定める,少年の健全な育成に障害を及ぼす重大な不正行為をしたとき

・本法に基づく処分に違反したとき

 

●営業の廃止(法30条2項)
 禁止区域等で営業している者に対し,停止の命令に代えて,当該施設を用いて営む営業の廃止を命ずることができる。(理論上,停止の命令をするのも可能)

1 公安委員会は、店舗型性風俗特殊営業を営む者若しくはその代理人等が当該営業に関しこの法律に規定する罪(法49条3項7号(禁止区域営業)及び8号(右同・制限時間営業)の罪を除く。)、刑法第174条(公然わいせつ)、175条(わいせつ物頒布等)若しくは182条(淫行勧誘)の罪若しくは売春防止法2章(刑事処分)に規定する罪に当たる違法な行為その他善良の風俗を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼす重大な不正行為で次に掲げる行為をしたとき、又は店舗型性風俗特殊営業を営む者がこの法律に基づく処分に違反したときは、当該店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し、当該施設を用いて営む店舗型性風俗特殊営業について、八月を超えない範囲内で期間を定めて当該店舗型性風俗特殊営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

(1)刑法136条(あへん煙販売又は販売目的の所持に係る部分に限る。)、137条(あへん煙吸食器具販売又は販売目的の所持に係る部分に限る。)、139条2項(あへん煙吸食場所提供)、140条(あへん煙等所持)、176条から179条まで(強制わいせつ・強姦・準強制わいせつ・準強姦)、181条(強制わいせつ等致死傷)、185条から187条まで(賭博・常習賭博・賭博場開帳図利・富くじ発売等)、224条(未成年者略取・誘拐)、225条(わいせつ目的略取・誘拐)又は227条1項(未成年者及びわいせつ目的略取・誘拐ほう助)若しくは3項(わいせつ目的被略取者等収受等)の罪のいずれかに当たる違法な行為

(2)暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、従業者(営業者の使用人その他の従業者をいう。)の意思に反して次に掲げる役務を提供することを強制する行為
@2条6項1号(ソープ)又は2号(ヘルス等)に掲げる営業に係る異性の客に接触する役務
A2条各号に規定する興行に係る衣服を脱いだ姿態を見せる役務

(3)(2)に規定する手段によつて、客に(2)−@若しくはAに掲げる役務((2)−Aに掲げる役務にあつては、2条3号(ストリップ)に規定する興行に係るものを除く。)の提供を受けること又は法2条6項5号(アダルトショップ)に掲げる営業に係る法4条(アダルトグッズ)に規定する物品を購入し、若しくは借り受けることを強要する行為

(4)職業安定法63条2号(公衆道徳上有害な業務に就かせる目的のための労働者の募集)の罪に当たる違法な行為

(5)出入国管理及び難民認定法73条の2第1項1号(不法就労)又は2号(不法就労目的支配)の罪に当たる違法な行為

(6)労働基準法56条1項(15歳未満使用)、61条1項(未成年深夜業使用、労働者派遣法第四十四条第二項の規定により適用される場合を含む。)又は62条2項(未成年有害福祉業務使用、労働者派遣法第四十四条第二項の規定により適用される場合を含む。)の規定のいずれかに違反する行為

(7)児童福祉法34条1項5号(15歳未満酒席接待業務)、6号(児童淫行)、7号(有害行為推知者児童引渡)又は9号(無権利者児童支配)の規定のいずれかに違反する行為

(8)大麻取締法3条1項(無許可所持・譲渡)、4条2号(大麻原料医薬品施用・施用目的交付)、13条(栽培者譲渡)又は16条(研究者譲渡)の規定のいずれかに違反する行為

(9)毒物及び劇物取締法24条の2第1号(使用・所持・不正販売・不正収受)の罪に当たる違法な行為

(10)覚せい剤取締法14条1項(不法所持)、17条1項(製造者譲渡)若しくは3項(不法譲渡)、19条(他者施用)、30条の7(原料所持)、30条の9(不法譲渡)若しくは30条の11(他者施用)の規定のいずれかに違反する行為又は同法41条の11(譲渡受周旋)若しくは41条の13(譲渡受周旋)の罪に当たる違法な行為

(11)麻薬及び向精神薬取締法12条1項(譲渡・交付・所持・他者施用)、24条1項(不法譲渡)若しくは3項から10項まで(不法譲渡)、25条(不法譲渡)、27条(他者施用・施用目的交付)若しくは28条1項(不法所持)若しくは3項(許可外所持)の規定のいずれかに違反する行為又は同法68条の2(譲渡受周旋)の罪に当たる違法な行為

(12)あへん法7条(譲渡)若しくは8条(所持)の規定のいずれかに違反する行為又は同法54条の3(譲渡受周旋)の罪に当たる違法な行為

(13)競馬法30条3号(ノミ行為)又は31条1号(ノミ行為)の罪のいずれかに当たる違法な行為

(14)自転車競技法18条2号(ノミ行為)又は19条2号(ノミ行為)の罪のいずれかに当たる違法な行為

(15)小型自動車競走法24条2号(ノミ行為)又は25条2号(ノミ行為)の罪のいずれかに当たる違法な行為

(16)モーターボート競走法27条2号(ノミ行為)又は28条2号(ノミ行為)の罪のいずれかに当たる違法な行為

 

2 公安委員会は、前項の場合において、当該店舗型性風俗特殊営業を営む者が絶対的禁止区域又特例的禁止区域において店舗型性風俗特殊営業を営む者であるときは、その者に対し、前項の規定による停止の命令に代えて、当該施設を用いて営む店舗型性風俗特殊営業の廃止を命ずることができる。

3 公安委員会は、前二項の規定により店舗型性風俗特殊営業(法2条6項1号(ソープ)、3号(ストリップ等)又は4号(ラブホテル)の営業に限る。)の停止又は廃止を命ずるときは、当該店舗型性風俗特殊営業を営む者に対し、当該施設を用いて営む浴場業営業(公衆浴場法2条1項の許可を受けて営む営業)、興行場営業(興行場法2条1項の許可を受けて営む営業)又は旅館業(旅館業法3条1項の許可を受けて営む営業)について、八月(1項の規定により店舗型性風俗特殊営業の停止を命ずるときは、その停止の期間)を超えない範囲内で期間を定めて営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 

 停止等を命ずるときは8月を超えない(停止のときはその期間)範囲で,浴場業営業,興行業営業又は旅館業営業についてその全部又は一部の停止を命ずることができる。(法30条3項)
 また,停止等の処分をされるのは「当該施設」であり,系列店等他の店舗も同様の処分がなされるわけでは,必ずしもない。もちろん系列店の経営者自身が違法行為等を行った場合にはすべての店舗が「当該施設」となる場合もありうる。  さらに一つの注意すべき点として,停止事由の犯罪行為に伴う共犯の問題がある。犯罪の実行者が従業者で単独犯であれば,停止事由に該当しないが,営業者がこれの共犯とされた場合はどうか?
 刑法60条(共同正犯),61条(教唆)は正犯であり停止事由に当然に該当するが,62条(幇助)は従犯であり正犯と同様の扱いとするのか否か?やはり停止事由に該当することとなるだろ。従犯といえども正犯の犯した本犯と同様の罪状で起訴される以上,やはり刑法174条等に反してる言えるわけであり残念だが該当する。起訴状を見ていただければ分かるが(そんな機会はないであろうし,あれば一大事だが)適用罰条は本犯の罰条(147条等)に並び62条が記載されるはずである。
 なお,停止等の処分は,「営業している者」に対し「当該施設を用いての営業」を制限するのであり,第三者に施設の物権を移転し又は賃借権若しくは物権を設定し,その者が当該施設を用いての営業並びに営業している者が他の施設(「当該施設」以外の施設)を用いて行う営業については,法理論上制限されないと解することができる。なお停止等は裁量行為である。

 

●標章
 公安委員会は,停止を命じたときは,当該命令にかかる施設の出入口の見やすい場所に標章を張りつける(法31条1項)。この標章は,何人も破壊し汚損し,また,期間を経過した後でなければ取り除くことはできない(法31条4項)。なお,以下の場合は営業者は標章を取り除くことを正副二通の標章除去申請書(様式第十六号)に必要書類を添付の上、当該申請書に係る営業所の所在地の所轄警察署長を経由して当該公安委員会に提出し申請することができる。この申請があったときは,公安委員会は標章を取り除かなければならない(法31条2項本文)。

1 当該施設を店舗型性風俗特殊営業以外の用に供しようとするとき(法31条2項1号)

2 当該施設を取り壊すとき(法31条2項2号)

3 当該施設を増築,改築するためやむを得ないと認められる理由があるとき(法31条2項3号)

 

 また申請に必要とされる添付しなければならない書類は以下の通りである。

1 については,当該施設を用いて営もうとする営業その他当該施設に係る用途について法令の規定により行政庁の許可その他の処分を受けなければならないこととされているときにあつては、当該処分を受けたことを証明する書類

2については,当該取壊しについて建築基準法15条1項(床面積10uを超えるの建築物除却の届出)規定により届出をしなければならないときにあつては、当該届出をしたことを証明する書類

3については,当該増築又は改築について建築基準法6条1項(建築確認)の規定による確認を受けなければならないこととされているときにあつては、当該確認を受けたことを証明する書類

 

 なお,標章を貼付された施設を買い受けた者その他当該施設につき使用する権限を有する第三者は,標章を取り除くことを正副二通の標章除去申請書(様式第十六号)に以下の書類を添付の上、当該申請書に係る営業所の所在地の所轄警察署長を経由して当該公安委員会に提出し申請できる。この場合も公安委員会は標章を取り除かなければならない。(法31条3項)いずれの場合も申請があれば,公安委員会は必要的に標章を取り除かなければならず,裁量の余地はない,いわゆるそく覊束(きそく)行為である。

 買い受けた者等が申請する場合の必要とされる書類は
(1)住民票の写し(外国人にあつては、外国人登録証明書の写し)
(2)標章除去申請者が法人である場合にあつては、(商業)登記簿の謄本
(3)申請に係る施設が不動産である場合にあつては、(不動産)登記簿の謄本
(4)標章除去申請者が申請に係る施設の使用について権原を有することを証明する書類。具体的には,(所有権,地上権,賃借権等の)登記済証(権利証),賃貸借契約書等をいう。
(5)処分の期間における施設の使用に関し、標章除去申請者と処分を受けた者との法律関係を明らかにする書類(当該期間において処分を受けた者に当該施設を使用させない旨を誓約する標章除去申請者の書面を含む。)

 


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