風俗愛好者のための法律講座 〜その5〜

 

風俗関連諸法(風適法)Ver.2.0 by KEN氏


3 営業の許可・届出
 風俗営業を営もうとする者は許可を,性風俗特殊営業を営もうとする者は届出をしなければならない。

◎届出(法4章)
 性風俗特殊営業を営もうとする者はその種別に応じて営業所ごとに公安委員会に届出書を提出しなければならない。これは風俗営業の許可と大きく異なるところで,届出により営業する事が可能で,行政庁の意思が介在しない。つまり届出が受理された時点で適法な営業となり,許可証の交付などを要しない。届出は行政庁が必要的に受理しなければならない。但し届出書の瑕疵(不備),つまり形式上の用件に適合しないときは受理は拒否される。この場合瑕疵を補正して届け出ればよい。

 

行政手続法37条(届出)
 届出が届出書の記載事項に不備がないこと,届出書に必要な書類が添付されていることその他法令に定められた届出の形式上の用件に適合している場合は,当該届出が法令により当該届出の届出先とされている機関の事務所に到達したときに,当該届出をすべき手続き上の義務が履行されたものとする。

 

○手続(法27条1項各号,31条の2第1項各号及び31条の7第1項各号)
 公安委員会に必要事項を記載した届出書を提出する。

●営業等の届出
1 店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、店舗型性風俗特殊営業の種別(法2条6項各号に規定する店舗型性風俗特殊営業の種別)に応じて、営業所ごとに、当該届出書に係る営業所の所在地の所轄警察署長を経由して当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に、当該店舗型性風俗特殊営業を開始しようとする日の十日前までに次の事項を記載した正副二通の届出書を提出しなければならない。
(1)氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
(2)営業所の名称及び所在地
(3)店舗型性風俗特殊営業の種別
(4)前三号に掲げるもののほか、総理府令で定める事項

2 無店舗型性風俗特殊営業を営もうとする者は、無店舗型性風俗特殊営業の種別(2条7項各号に規定する無店舗型性風俗特殊営業の種別)に応じて、営業の本拠となる事務所(事務所のない者にあつては、住所。)の所在地を管轄する公安委員会に、当該無店舗型性風俗特殊営業を開始しようとする日の十日前までに次の事項を記載した正副二通の届出書を提出しなければならない。
(1)氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
(2)当該営業につき広告又は宣伝をする場合に当該営業を示すものとして使用する呼称(当該呼称が二以上ある場合にあつては、それら全部の呼称)
(3)事務所の所在地
(4)客の依頼を受ける方法
(5)電話番号その他の客の依頼を受ける業務を行う場所を表示する事項
(6)無店舗型性風俗特殊営業の種別

3 映像送信型性風俗特殊営業を営もうとする者は、事務所の所在地を管轄する公安委員会に、次の事項を記載した正副二通の届出書を当該映像送信型性風俗特殊営業を開始しようとする日の十日前までに提出しなければならない。
(1)氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
(2)当該営業につき広告又は宣伝をする場合に当該営業を示すものとして使用する呼称
(3)事務所の所在地
(4)2条8項に規定する映像の伝達の用に供する電気通信設備(自動公衆送信装置(著作権法2条1項9号の5イに規定する自動公衆送信装置をいう。)を用いる場合にあつては自動公衆送信装置のうち当該映像の伝達の用に供する部分をいい、電気通信回線の部分を除く。「映像伝達用設備」という。)を識別するための電話番号その他これに類する記号であつて、当該映像を伝達する際に用いるもの
(5)前号に規定する場合における自動公衆送信装置が他の者の設置するものである場合にあつては、当該自動公衆送信装置の設置者の氏名又は名称及び住所

 

●相続
 風俗営業に関しては相続(法人にあっては合併による営業の承認)の規定があるが,性風俗特殊営業では相続の規定は存在しない。

 

民法896条(相続の一般的効力)
 相続人は,相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を継承する。但し,被相続人の一身に専属したものは,この限りではない。

 

 権利義務については一切を相続できるのだから当然営業する権利も相続できるのではないか,と考える方もいるかと思うが,性風俗特殊営業については,届出のみで何ら許可を要せず,営業に関し,そもそも相続する権利も,一身専属の権利も存在しない。(民法,商法上の権利義務はまた別の問題である)単に届出書を提出すればよい。もちろん営業所等の不動産(所有権・地上権等の物権,賃借権等の債権)や備品等の動産,営業上の債権の相続は妨げられない。(法人名義であればそもそも相続財産ではないから,相続の対象とならない)
 一つ注意を喚起しておきたい。仮に将来店舗の所在地が禁止区域となった場合,法不遡及の原則により継続して営業は可能であるが,個人で届出ていてその個人が死亡等したときは当然に営業できなくなる。風俗営業は相続することが可能だが,本営業の場合は別人の新たな届出とみなされ(つまり新規の営業者とみなされる)当然禁止区域における新規出店の扱いとなり不適法な営業となる,と思われる。これを避けるためには経営母体を法人とすれば営業の主体は個人(自然人)ではないのであるから,経営者の交替ということで,変更の届出をすれば良いことになる。
 個人でも経営者の変更の届出ですむかもしれないが,取り方によっては上の通り経営が不可能になる可能性がある。しかし法人にしておけば少なくとも最悪の自体を避けることが出来るし,実質的な営業権の売却も可能となる。

 

○営業の廃止又は変更
 性風俗特殊営業の種別の変更を除き,届出事項に変更があった場合又は営業を廃止したときは総理府令で定める事項を記載した届出書の提出を要する。

1 法27条1項(店舗型性風俗特殊営業)の届出書を提出した者は、当該店舗型性風俗特殊営業を廃止したとき、又は同項各号(3号(営業の種別)を除く。)に掲げる事項(同項2号に掲げる事項(営業所の名称・所在地)にあつては、営業所の名称に限る。)に変更があつたときは、当該届出書に係る営業所の所在地の所轄警察署長を経由して公安委員会に、廃止(様式第十四号)又は変更(様式第十五号)に係る事項その他の総理府令で定める事項を記載した正副二通の届出書を廃止又は変更の日から十日以内に提出しなければならない。

2 法31条の2第1項(無店舗型性風俗特殊営業)の届出書を提出した者は、当該無店舗型性風俗特殊営業を廃止したとき、又は同項各号(第六号(営業の種別)を除く。)に掲げる事項に変更があつたときは、当該届出書に係る事務所の所在地の所轄警察署長を経由して公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして事務所を変更したときは、変更した後の事務所の所在地を管轄する公安委員会)に、廃止又は変更に係る事項その他の総理府令で定める事項を記載した正副二通の届出書を当該無店舗型性風俗特殊営業の廃止又は変更の日から十日以内に提出しなければならない。

3 法31条の7第1項(映像送信型性風俗特殊営業)の届出書を提出した者は、当該映像送信型性風俗特殊営業を廃止したとき、又は第31条の7第1項各号に掲げる事項に変更があつたときは、当該申請書又は届出書に係る事務所の所在地の所轄警察署長を経由して公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして事務所を変更したときは、変更した後の事務所の所在地を管轄する公安委員会)に、廃止又は変更に係る事項その他の総理府令で定める事項を記載した正副二通の届出書を当該映像送信型性風俗特殊営業の廃止又は変更の日から十日以内に提出しなければならない。

これらの場合、一の公安委員会に対して同時に二以上の営業所又は事務所について届出書を提出するときは、それらの営業所又は事務所のうちいずれか一の営業所又は事務所の所在地の所轄警察署長を経由して提出すれば足りる。

 


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