2.営業等の種類
本法では以下の営業が規定されており,規制の対象となる。
◎風俗営業(法2条1項1号ないし8号)
○遊技場営業(法2条1項7号及び8号)
●まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
●スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができる遊技設備を備える店舗その他これに類する区画された施設(政令で定める施設において営まれる営業を除く)においてその遊技設備により客に遊技される営業
ここで言う「本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができる遊技設備」とは次のものである。
1 スロットマシンその他遊技の結果がメダルその他これに類する物の数量により表示される構造を有する遊技設備
2 テレビゲーム機(勝敗を争うことを目的とする遊技をさせる機能を有するもの又は遊技の結果が数字、文字その他の記号によりブラウン管上に表示される機能を有するものに限るものとし、射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。
ただし、通常のインベーダーゲーム機等を対象から除外するという趣旨ではない。なお、実物に類似する運転席や操縦席が設けられていて「ドライブゲーム」、「飛行機操縦ゲーム」その他これに類するゲームを行わせるゲーム機 、機械式等のモグラ叩き機ついては、当面賭博、少年のたまり場等の問題が生じないかどうかを見守ることとし、規制の対象としない扱いとする。)
3 フリッパーゲーム機
4 そのほか、遊技の結果が数字、文字その他の記号又は物品により表示される遊技の用に供する遊技設備(人の身体の力を表示する遊技の用に供するものその他射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)。
なお、占い機で盤面にインプットすべき内容を指示する程度にとどまるもの等の遊技設備は、対象から除外される。
また、遊技の結果が定量的に表れ、又は遊技の結果が勝負として表れる遊技設備であっても、単に人の物理的力を表示するもの等については、「射幸心をそそる遊技の用に供されないことが明らかなもの」として対象から除外する。
5 ルーレット台、トランプ及びトランプ台その他ルーレット遊技又はトランプ遊技に類する遊技の用に供する遊技設備
また、「店舗」とは、社会通念上一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立した施設をいい、ゲームセンター、ゲーム喫茶のように法2条1項8号の営業用に設けられた店舗である場合はもとより、飲食店営業,小売業等の営業用に設けられた店舗も含まれる。
すなわち、社会通念上の「店舗」に遊技設備を備える場合は、風俗営業の許可を要することとなる。
施設が「一つの営業の単位と言い得る程度に外形的に独立」しているとは、看板等の表示、従業員の服装、又は営業時間の独立性等その実態から判断して、一つの営業単位としての独立的性格を有することをいう。したがって、区画された施設が一個の営業用の家屋である場合には当然に店舗となるが、区画された施設がビルディング等の大規模な建物の内部にある場合でも、この独立的性格を有するときには、店舗に当たる。
例えば、大きなレストラン等の店舗の片隅に1台のゲーム機を設置する場合にも風俗営業の許可を要することとなるが、この事例のように当該店舗内において占めるゲーム機営業としての外形的独立性が著しく小さいものについては、法的規制の必要性が小さいこととなる場合もあると考えられる。
そこで、ゲーム機設置部分を含む店舗の1フロアの客の用に供される部分の床面積に対して客の遊技の用に供される部分(店舗でない区画された部分も含む。)の床面積(当該床面積は、客の占めるスペース、遊技設備の種類等を勘案し、遊技設備の直接占める面積のおおむね3倍として計算するものとする。
ただし、1台の遊技設備の直接占める面積の3倍が1.5平方メートルに満たないときは、当該遊技設備に係る床面積は1.5平方メートルとして計算するものとする。)が占める割合が10パーセントを超えない場合は、当面問題を生じないかどうかの推移を見守ることとし、風俗営業の許可を要しない扱いとする。
さらに「店舗に類する区画された施設」とは、いわゆるゲームコーナーのように「店舗」に当たらない区画された施設で、営業行為の行われるものをいい、例えば、旅館、ホテル、ショッピングセンター等の大規模な施設の内部にある区画された施設をいう。
ただし、旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で、営業中における当該施設の内部をそれぞれ当該施設の置かれるホテル若しくは旅館、大規模小売店舗又は遊園地内において当該施設の外部から容易に見通すことができるもので次の場合は該当しない(例えば、通常の区画されたゲームコーナーにあっては、通路等に接した面について、テーブルの高さ程度以上の部分が開放されているもの 、ガラス張り等で閉鎖されている場合には、当該ガラス等が無色透明でおおい等がなされていないもの等であって、内部の照明又は構造、設備若しくは物品等が見通しを妨げず、外部から内部のほぼ全体を見通すことができるものがこれに該当する。また、大規模小売店舗内の区画された施設については、大規模小売店舗内の店舗に当たらない区画された施設のうち、小売業の用に供し、又はこれに随伴する施設で、主として小売業部分に来集する顧客が利用するものがこれに当たる。)。つまり風俗営業の許可を要しない扱いとなる。
1 ホテル(旅館業法2条2項に規定するホテル営業に係る建物又は建物の部分をいう。)又は旅館(同条3項に規定する旅館営業に係る建物又は建物の部分をいう。)内の区画された施設
2 大規模小売店舗(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律2条2項に規定する大規模小売店舗)内の区画された施設(当該大規模小売店舗において営む同条1項の小売業の顧客以外の者の利用に主として供されるものを除く。)
3 遊園地(メリーゴーラウンド、遊戯用電車その他これらに類する遊戯施設を設け、主として当該施設により客に遊戯をさせる営業の用に供する場所で、その入場について料金を徴するものをいう。) 内の区画された施設
なお、屋外にあるもの等「店舗その他これに類する区画された施設」に当たらない場所において客に遊技をさせる営業は、対象とはならない。ただし,まあじゃん屋、パチンコ屋を除く。
○接待飲食等営業(法2条1項1号ないし6号及び2条4項)
●キヤバレーその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客の接待をして客に飲食をさせる営業
●待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業(キャバレーに該当する営業を除く。)
●ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業(キャバレーに該当する営業を除く。)
●ダンスホールその他設備を設けて客にダンスをさせる営業(キャバレー若しくはナイトクラブに該当する営業又は客にダンスを教授するための営業のうちダンスを教授する者が客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業を除く)
ここでいう「ダンスを教授する者」とは、社団法人全日本ダンス協会連合会又は財団法人日本ボールルームダンス連盟(特定講習団体)が、ダンスの教授に関する技能及び知識に関して行う講習であつて、ダンスを有償で教授する能力を有する者を養成することができるものとして、国家公安委員会が指定する講習を受け、その課程を修了した者、その他ダンスを正規に教授する能力を有する者として特定講習団体が、同団体の行うダンスを正規に教授する能力に関する試験であつて、国家公安委員会が指定するものに合格した者について、その者の氏名、住所及び生年月日(氏名等)を記載し、国家公安委員会に提出された名簿に登載された者又は特定講習団体が、その者からの申出により、国際的な規模で開催されるダンスの競技会に入賞した者、その他の前項に規定する者と同等の能力を有すると認められる者について、その者の氏名等及びその者が同項に規定する者と同等の能力を有すると認めた理由を記載した推薦書並びにその理由を疎明する書類を国家公安委員会に提出することにより、国家公安委員会に推薦した者に限られる。
また、「客にダンスを教授する場合にのみ客にダンスをさせる営業」とは、常態としてダンスを教授する者の指導及び管理の下に客にダンスをさせる営業を意味し、客がダンスをしている場において、ダンスを教授する者が現に存在し、客に個別に指導することが可能な状態にある必要がある。
したがって、例えば、ダンス教師がビデオ等により、又はテレビ等を介して客にダンスを指導する場合はこれに当たらない。なお、「指定講習受講者」及び「政令指定者」の要件を満たしていないダンス教師が当該要件を満たしているダンス教師によるダンスの教授を補助することは差し支えない。
●喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、次の部分で計つた客席における照度を十ルクス以下として営むもの(キャバレー、カフェー、ナイトクラブ等を除く。)
(1)客席に食卓その他の飲食物を置く設備がある場合は当該設備の上面及び当該上面の高さにおける客の通常利用する部分の水平面
(2)(1)に掲げる場合以外でいすがある客席にあつては、いすの座面及び当該座面の高さにおける客の通常利用する部分,いすがない客席にあつては、客の通常利用する場所における床面(畳又はこれに準ずるものが敷かれている場合にあつては、その表面)の水平面
●喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
○接待とは・・・・・
歓楽的雰囲気を醸し出す方法(この意味は、営業者、従業者等との会話やサービス等慰安や歓楽を期待して来店する客に対して、その気持ちに応えるため営業者側の積極的な行為として相手を特定して判断基準に掲げるような興趣を添える会話やサービス等を行うことをいう。言い換えれば、特定の客又は客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴う役務の提供を超える程度の会話やサービス行為等を行うことである。)により客をもてなすことをいう。
●接待の主体
通常の場合、接待を行うのは、営業者やその雇用している者が多いが、それに限らず、料理店で芸者が接待する場合、旅館・ホテル等でバンケットクラブのホステスが接待する場合、営業者との明示又は黙示の契約・了解のもとに客を装った者が接待する場合等を含み、女給、仲居、接待婦等その名称のいかんを問うものではない。 また、接待は、通常異性によることが多いが、それに限られるものではない。
●接待の判断基準
*談笑・お酌等
特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり、酒等の飲食物を提供したりする行為は接待に当たる。これに対して、お酌をしたり水割りを作るが速やかにその場を立ち去る行為、客の後方で待機し、又はカウンター内で単に客の注文に応じて酒類等を提供するだけの行為及びこれらに付随して社交儀礼上の挨拶を交わしたり、若干の世間話をしたりする程度の行為は、接待に当たらない。
*踊り等
特定少数の客に対して、専らその客の用に供している客室又は客室内の区画された場所において、歌舞音曲、ダンス、ショウ等を見せ、又は聞かせる行為は接待に当たる。これに対して、ホテルのディナーショウのように不特定多数の客に対し、同時に、踊り、ダンス、ショウ等を見せ、又は歌若しくは楽器の演奏を聞かせる行為は、接待には当たらない。
*歌唱等
特定少数の客の近くにはべり、その客に対し歌うことを勧奨し、若しくはその客の歌に手拍子をとり、拍手をし、若しくはほめはやす行為又は客と一緒に歌う行為は、接待に当たる。これに対して、客の近くに位置せず、不特定の客に対し歌うことを勧奨し、又は不特定の客の歌に対し拍手をし、若しくはほめはやす行為、不特定の客からカラオケの準備の依頼を受ける行為又は歌の伴奏のため楽器を演奏する行為等は、接待には当たらない。
*遊戯等
客とともに、遊戯、ゲーム、競技等を行う行為は、接待に当たる。これに対して、客一人で又は客同士で、遊戯、ゲーム、競技等を行わせる行為は、直ちに接待に当たるとはいえない。
*その他
客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たる。ただし、社交儀礼上の握手、酔客の介抱のため必要な限度で接触する等の行為は、接待に当たらない。また、客の口許まで飲食物を差し出し、客に飲食させる行為も接待に当たる。これに対して、単に飲食物を運搬し、又は食器を片付ける行為、客の荷物、コート等を預かる行為等は、接待に当たらない。
要すれば接待とは歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことを言い(法2条3項)、具体的には、特定の客や客のグループに対して単なる飲食行為に通常伴うサービスを越える程度の会話やサービス等を行うこと(基準第4の1)である。
たまに女の子となじみの客が真剣にけんか・言い争いをしている場面も見受けられるが,これも通常のサービスを越えており接待の一種である。客が楽しいかどうかは別として。
また,接待の主体,つまり女の子が,いわゆる「さくら」でも本法は適用される。なお,接待の主体が必ずしも異性による必要はない(基準第4の2)。最近の性の多様化・ボーダレス化はめざましいものがある。
接待に当たらない行為は?・・・結婚披露宴等の宴席での給士,バーでのマスター・バーテン,ディナーショウ(基準第4の3)
旧法からかなり変更されている。風俗関連営業がより詳細に,また,新規に規制する営業を規定し性風俗特殊営業となり,ヘルス等も明文化され,インターネットの有料サイト,ホテトル等も加わった。さらに接客業務受託営業が新たに加えられた。はっきり言えば現状を追認したようなものである。基本的にあいまいな状態よりはっきり認めて規制した方がよいという考え方であろう。こちらに都合のいい解釈をすれば,法律に認知されたと見ることもできるわけである。それも一つの法律の見方なのだ。世の中悪いように解釈するより,いいように解釈した方が道は開ける・・・・