1.目的
法律における目的条項を軽く見ている方もいるが,その法律の立法趣旨・精神が披瀝されており,各条文の解釈・適用について,この目的に沿って行われねばならず,目的に反する解釈は許されないという意味からすれば,目的を正しく解釈し判断することが法律を理解するうえで大事なことである。
法1条 この法律は,善良な風俗と清浄な風俗環境を保持し,及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため,風俗営業及び性風俗特殊営業等について,営業時間,営業区域等を制限し,及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに,風俗営業の健全化に資するため,その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。
目的自体に改正による本質的変化はない。条文自体は,風俗関連営業が性風俗特殊営業に変わっただけである。本法の目的は「業務の適正化を促進する等の措置を講ずること」である。
なぜ措置を講ずるか?それは「善良な風俗と清浄な風俗環境の保持」と「少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止」のために,営業時間,営業区域等を制限し,年少者らに営業所に立ち入らせる事を規制するためであり,風俗営業の健全化に寄与するためである。
つまりは業務適正化促進措置を講ずることが目的ではあるが,上のために措置を講ずるのであり,それ以外のために業務適正化促進措置を講ずることは許されないと解すべきである。
基準第1の1(法の目的について)によれば,「風俗営業が業務の適正化を通じ,その健全化を図るべき営業であることを明確にし,適正に営まれている営業までをも取締対象で有るかのごとき誤解を与えないようにしたものである」ということである。つまり,風俗営業はそもそも,業務の適正化を図らねばらない営業であるという認識を警察庁は抱いているわけである。この点は警察の根本的な考え方として留意しなければならない。