◎罰則(法7章)
本法における罰則規定は以下のとおりである。
なお,18歳未満の者を接客等業務に就かせた場合は過失による場合を除き,年齢を知らなかったことを理由に処罰免れることはできない。(法49条4項)
基本的に犯罪の構成要件として,犯罪を実行しようとする意思すなわち主観的要件が必要である。一般的に言う「故意」である。これが欠けるときは犯罪として成立しえない(責任阻却事由)。そして過失は原則として責任阻却事由に該当する。(例外的に刑法等で定められた過失犯は該当しない)
例えば年齢を単に口頭で確認した程度では処罰を免れないと言うことである(これは過失とは言えないなぜならば一般的な注意義務,つまり次のような注意義務を怠っているからである)。その場合,運転免許証や国民健康保険被保険者証,戸籍謄・抄本,住民票等の類で年齢が確認できるもので確認しなければならない。万が一これらを偽造,不実の記載等がなされていてもこれは処罰の対象にならない。(そこまでの注意義務は要請されていないと見るのが妥当)当然民間企業等の発行した会員証やガードの類は公信力を持ち得ないから何らの証明とはならいないと考えた方がよい。
また,営業者若しくは管理者の監督・監視の間隙を付かれ(知らぬ間に),客に強引に引っぱり出されたり,女の子が勝手に接客等の業務に就いた場合は,注意義務はあるがそれを怠った過失となりやはり処罰の対象とはならない。もちろん直ちに中止させる措置を執らなければならないことは言うまでもない。
なお,いずれの罰則においても,処罰対象者が法人に属するときは,その法人は罰金刑が科せられる(法50条)。
○1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金,又は併科(法49条1項)
・無許可営業(風俗営業)
・不正な許可又は法人の合併による営業の承認(風俗営業営業)
・名義貸し(風俗営業)
・営業停止違反(風俗営業)
・営業停止・廃止違反(店舗型性風俗特殊営業)
・営業禁止違反(無店舗型性風俗特殊営業)
・営業停止違反(飲食店営業)
・営業禁止違反(接客業務受託営業)
○1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金(法49条2項)
・遊技機規制違反(風俗営業)
・風俗環境浄化協会職員の守秘義務違反
○6月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金(法49条3項)
・未承認の設備・構造等の変更(風俗営業)
・不正な設備・構造等の変更の承認(風俗営業)
・禁止行為違反(風俗営業)
・遊技場経営者の禁止行為違反(風俗営業)
・禁止区域違反(店舗型性風俗特殊営業)
・禁止行為違反(店舗型性風俗特殊営業)
・18歳未満の接客業務従事(接客業務受託営業)
・年少者利用防止命令違反(映像送信型性風俗特殊営業)
○30万円以下の罰金(法49条5項)
・申請書の虚偽の記載(風俗営業)
注!)この場合,刑法157条(公正証書等原本不実記載等)の罪に問われることもあり得る。以下申請書・届出書の虚偽の記載について同様である。
・無届の構造等の変更又は届出書の虚偽の記載(風俗営業)
・認定申請書の虚偽の記載(特例風俗営業者)
・遊技場経営者の禁止行為違反(風俗営業)
・管理者の未選任(風俗営業)
・無届営業(性風俗特殊営業)
・営業届出書の虚偽の記載(性風俗特殊営業)
・従業者名簿の不備(風俗営業,映像送信型性風俗特殊営業を除く性風俗特殊営業)
○20万円以下の罰金(法49条6項)
・許可証の未掲示(風俗営業)
・相続・合併時の許可証の未書換(風俗営業)
・無届の軽微な設備・構造等の変更又は届出書の虚偽の記載(風俗営業)
・許可証の返納義務違反(風俗営業)
・認定証の返納義務違反(特例風俗営業者)
・廃止の未届出(映像送信型性風俗特殊営業を除く性風俗特殊営業)
・標章毀損(共通)
注!)この場合,刑法96条(封印等破棄)の罪に問われることもあり得る。
・報告・資料提出の拒否等(共通)
・立ち入りの拒否等(共通)
注!)この場合,その立ち入りを「暴行」又は「脅迫」で妨げたときは,刑法95条1項(公務執行妨害)に,袖の下を渡した場合は,刑法198条(贈賄)の罪に問われることもあり得る。蛇足ながら「風俗環境浄化協会」の職員は「みなし公務員(法39条6項)」であり,これへの袖の下・鼻ぐずりも贈賄となり,刑法犯となる。
○10万円以下の科料(法50条)
・相続・合併の不承認の場合の許可証返納義務違反(風俗営業)
・営業の相続・引継をしない場合の許可証返納義務違反(風俗営業)
・営業の相続・引継をしない場合の認定証返納義務違反(特例風俗営業者)