ビデオ屋は、風俗関連営業の届出がいるのでしょうか?
アダルトグッズを置いたり、通販をする場合は届出が必要な感じがするのですが、出入り口に一般の映画なんかがあって、奥にアダルトコーナーがあるといった「ビデオ屋」に届出はいるのでしょうか。
【解答】
アダルトビデオの販売は、風適法第2条第6項第5号に該当する「店舗型性風俗特殊営業」にあたります。まずは条文を見て下さい。
風適法第2条第6項第5号
店舗を設けて,専ら,性的好奇心をそそる写真,ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し,又は貸し付ける営業
ここで言う専らとは,概ね7割ないし8割であると,警察庁発表の「風適法解釈基準」(これは法令ではありません,本来はこれに拘泥される必要はないのですが,警察はこれを基に摘発するか否か判断します)で示されています。
つまり売場面積若しくは売り上げの7から8割をアダルトビデオが占めていれば店舗型性風俗特殊営業として届出が必要になります。いわゆる一般的なレンタルビデオはこの「専ら」の要件を欠いており通常届出は為されていないはずです。ですから通常の形態で営業するには届出は必要ないと思われます。
ただし,いくら売場占有率は低くとも,売上げの内ほとんどがアダルトであれば,これは微妙になってきます。要は店舗の経営方針,法律上は「販売の意思」にあります。そしてもし店舗型性風俗特殊営業になるとすれば,非常に厳しい規制が有ります。簡単に言えば「ヘルス」や「ソープ」等と同様の規制(営業禁止区域,広告の制限,営業時間制限,管理者設置義務等)が為され,経営の選択肢(出店場所,営業時間等)は非常に限られます。果たしてそれが経営上有利かどうか十分リサーチして下さい。
さらに上記条文中政令で定める物品とは以下のとおり定められています。
風適法施行令第4条
第2条第6項第5号の政令で定める物品は,性的好奇心をそそる物品で次に掲げるものとする
第1号 衣服を脱いだ人の姿態を被写体とする写真又はその複製物
第2号 前号に掲げる写真又はその複製物を主たる内容とする写真集
第3号 衣服を脱いだ人の姿態の映像を主たる内容とするフィルム又はビデオテープ、ビデオディスク、シー・ディー・ロムその他電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法をいう。)による記録に係る記録媒体
第4号 性具その他の性的な行為の用に供する物品、性器を模した物品、性的な行為を表す写真その他の物品又はこれらに類する物品
だいたい意味はお分かりかと思います。
さらにアダルトビデオの定義ですが警察庁発表の「風適法解釈基準」によれば
解釈基準第5−3
風適法施行令第4条第2号,3号中の「主たる内容」であるかどうかは,その構成等を総合的に総合的に勘案して判断すること。なお,風適法施行令第4条第3号中「主たる内容」とは,通常,当該映像の再生時間のうち,衣服を脱いだ人の姿態に関する映像の再製時間が半分以上のものをいう。
つまり基本的にテープの内半分に裸が写っていればアダルトビデオですが,芸術性を有するもの等はこの限りではないです。といったところです。
また、アダルトビデオを扱う際には 刑法第175条(わいせつ物頒布等)にも注意して下さい。わいせつ物について詳しくは本研究会の「風俗ホームページと法令」や「法令の解釈」等を見ていただければ分かるかと思います。