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割引券を活用した新規顧客開拓戦略について

ピンサロ研究会 客員研究員DON氏

1、はじめに

 風俗人にとって、雑誌やインターネットでの情報収集は、好みの女の子やサービスを探し出すために非常に有用であり、また「ぼったくり遭遇危険度の算出について」(DON、ピンサロ研究会、1999)にもあるように、ぼったくりを避けるという効果も生んでいる。それに加えて、見逃してはいけないのが、割引券である。風俗雑誌にはさまざななお店の割引券が綴じ込まれ、遊び慣れた者にとって、行きたいなと思っているお店の割引券を財布に忍ばせておくのは、営業マンが名刺を切らさずに持ち歩くのと同様、ある意味で当然のこととなっている。
 またお店の側にとっても、価格戦略および販売促進戦略に直接的に影響する割引券は、重要なツールとなる(価格戦略のマーケティングへの影響は「風俗産業におけるマーケティングミックス」(M氏、ピンサロ研究会、1999)を参照)。本論文では、割引券がお店の経営に与える影響についてさまざまな角度から考察すると同時に、効果的な割引券のありかた、使い方について検討してみたい。

2、割引券の種類

 現在市場に流通している割引券の種類は以下の通りである。

  (a)会員券(もしくは女の子の名刺等)そのものが割引券として機能する会員券型
  (b)スタンプ等を押して、利用回数に応じて割引券として機能する継続利用促進型
  (c)時間内に三回発射したら次回は無料、等の報奨型
  (d)風俗嬢が、次回にも指名してもらえるようオプション料金を取らずに過剰サービスをする、たなぼた型
  (e)駅前で、ティッシュ等と一緒に配布するティッシュ型
  (f)風俗割引ステーションで配布するステーション型
  (g)風俗雑誌の綴じ込みにある雑誌型
  (h)インターネットのホームページ上にあるインターネット型(プリントアウトして使用)
  (i)「×××××××(キーワード)」を店の受付で言う合い言葉型

 このうち、反復利用率を高めるための(a)〜(c)および、ほとんど市場に流通していない(d)については、ここでは議論せず、新規市場の開拓のために一般的に用いられる(e)〜(i)に限定して考察してみたい。

3、マーケティング戦略上での位置づけ

 まず、割引券(通称割チケ)を利用したことのある風俗人は、割引券に対してどのような印象を持っているのか調査してみた。(標本数236)

(1) 「少ない小遣いで遊ぶ回数を増やすには、割引券の利用は不可欠」…85%

 7,000円のピンサロが6,000円に、場合によっては5,000円にもなるというのは、影響として大きい。割引が小さくても、なんとなく得した気分になると、その後のプレイに精神的にもよい影響を及ぼすようである。

(2) 「割引券を出しているところは、優良店という印象があるので試しに行ってみても良いかなという気になる」…62%

 これが真実かどうかは不明だが、このような印象を与えているというのは非常に重要である。

(3) 「割引券を使うとその浮いた分で指名したりオプションをつけたりしてリッチに遊べる」…41%

 顧客により良い(ワンランク上の)サービスを提供することは、サービスに対する評価を高め、結果としてシェアの拡大、収益増に貢献する。

(4) 「割引券を持っているとお店の電話番号をメモする必要がない」…35%

 このコメントは、単なるものぐさ者の意見と聞き流すべきではないだろう。これは、割引券が宣伝媒体として重要な効果を持っていることを示している。ピンサロやフリー好きの風俗人を除いて、事前の電話予約は必須である。特にイメクラ等マンションでの営業を行っている場合、場所を確認しないとお店にもたどり着けない。

 これらの調査結果は、経営者にとって、大変示唆に富んだものである。割引券の導入は、認知度・イメージの向上という点では大きなプラスとなる。また、単金アップの効果もあり、結果的にシェアの拡大、収益増に貢献することを示している。

 まとめると、割引券の導入は、トライアル効果をもたらし売り上げ増に大きく貢献する。それと同時に、導入当初は固定費を押し上げ、利益率も下げる(@)が、浸透するにしたがって、オプション・指名拡大効果による利益率の拡大(A)をもたらす(図1参照)、と言えるであろう。

図1:割引券導入による損益分岐点の推移

4、効果的な割引券のあり方

 報告されている過去の例では、6,000円のピンサロで4,000円割引という例もあるが、ここまで割り引かれるとかえって胡散臭いという説があり、ぼったくりの可能性もある。ソープなどでは、1万円の入浴料無料というのも結構あるので、金額よりも割引率で評価するのがよいだろう。業種によっても違うが、総額に対して5%〜25%程度の割引が一般的であり、妥当な範囲である。また、お店のイメージをあげるためにも割引対象、金額、条件は割引券に明確に記載し、電話番号も当然記載する。できればロゴ、キャッチフレーズ等もコンパクトにまとめて載せたいところである。なお、性格上券自体をあまり目立たせない気配りも欲しい。

5、使い方

 基本は二つだけである。一つは行く可能性のあるお店のものは、こまめにチェックし、常に財布等に忍ばせておくこと。いつ行きたいと思うかはわからないものであり、「あ、この店の割引券持ってくるんだった、、、」という後悔ほど、虚しいものはない。もう一つは、一種類の券を過信しないことである。雑誌で千円引きの券があっても、ホームページで二千円引きの場合も、可能性としては低いがなくはない。こまめなチェックと情報収集がポイントである。

6、まとめ

 本論文では、割引券のもたらす効果について考察すると同時に、効果的なありかた、使い方について検討した。さらに、一つの提案として、理想的な割引券の例を以下に示し、風俗産業の更なる発展に資することとしたい。

図2:効果的な割引券の一例