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「風俗依存症候群に関する一考察」

ピンサロ研究会
Pink salon rearchers labo.

1.はじめに


 風俗には酒やタバコと同様に依存性があると言われている。すなわち、最初の体験にはある程度のハードルがあるものの、一度体験すると2度3度と繰り返し店に足を運んでしまうのである。一般に風俗無しでは通常生活を営めない状態を”風俗依存症”と呼ぶが、このような状態に陥っている日本男児は全国で数千万人にものぼると言われている。(1998, 風俗白書)
 ところで、風俗依存症であるという判断はどのように行われるのであろうか。先述の調査においては、調査員の主観的判断にもとずいて判断がくだされていた。しかし主観的基準にもとずいている限りデータの信憑性は薄く、そこから理論を構築することは難しい。そこで本論分では、風俗にどの程度依存しているかを客観的に判断できる枠組みを構築することを試みる。

2.セーラー係数の導入


 まず、風俗の依存度の最も基本となるのはどの程度風俗に通っているかである。これを表すにはいくつかの指標が考えられる。以下にそれらをあげる。

 ・通った回数
 ・総費用
 ・総プレイ時間

 一般に風俗が好きになればなるほど、プレイ時間の長さを求めるようになると言われている。すなわち、最初は抜くことが目的であるため抜くための時間があれば十分であるが、慣れるにしたがって探求心が芽生え、さまざま行為を試してみたくなり、その分時間が必要となるのである。これを時間指向原則(time oriented principal)と呼ぶことにする。時間指向原則にもとずけば、店に通った回数よりも費用またはプレイ時間の方が適切であることは明らかであろう。また費用とプレイ時間は強い相関関係にあることから、風俗店に支払った費用を風俗に通っている度合いを表す指標として用いることにする。

 ところで、風俗店に支払った費用をそのまま風俗依存度として用いることはできない。なぜなら、個人の所得水準にはばらつきがあるからである。これについては、「対数線形モデルを用いた風俗産業における価格形成分析 」(1998, N氏)で指摘されているので参照されたい。そこで、個人の所得に対する風俗費用の割合として、セーラー係数を以下のように定義する。

  セーラー係数 = プレイ料金 / 月収 (1)

3.エンゲル係数とセーラー係数


 セーラー係数をそのまま風俗依存度として用いることもできるが、ここではさらに考察を進めて行きたい。セーラー係数が大きいということは、月収の大半を風俗につぎ込んでいることを意味する。しかし、個人の風俗以外の出費がきわめて少なかった場合はどうであろうか。すなわち、個人は給料の使い道がないため、特に理由も無く風俗に通っているという可能性が生じるわけである。この場合、風俗に依存しているとは言い難いのではなかろうか。このため、風俗依存度が高いという判断を下すためには、その他の出費も考慮しなければならないのである。そこで、その他の出費としてエンゲル係数を用いることにする。エンゲル係数は貧富の判断基準としてよく用いられる係数であり、以下の式で表される。

  エンゲル係数 = 食費 / 1ヶ月の総支出  (2)

そこで、(1)及び(2)を用いて風俗依存度を判定する以下の枠組みを構築した。


図1.風俗依存症判定基準

4.考察


「風俗にどれくらいはまっているか」

 これまであいまいな基準しか存在しなかった上記判定について、本研究では客観的な判定基準を提案した。現代社会はまだまだ風俗を異端のものとして見る傾向があり、たった1度風俗に足を運んだだけで「あいつは風俗にはまっている」などという噂が流れたりするものである。特にその噂が、想いを寄せている娘や彼女、妻等に届いてしまった場合、その被害は計り知れないものがある。このような人災を未然に防ぐ意味でも、風俗依存症判定基準は重要なものとなる。すなわち、たとえ風俗に行ったことがバレてしまっても、上記図を用いて「これを見てくれ、はまっているわけじゃない。たった1度の過ちなんだ。」と弁解を行うことにより、許してもらえる可能性が高まるのである。

 今後は上記枠組みを用いて実際に調査を行い、国別、世代別の分析を行い、その傾向を探って行きたい。