風俗愛好者のための法律講座

「風俗関連諸法(改正風営法)」 by KEN氏


3 営業の許可・届出

 風俗営業を営もうとする者は許可を,性風俗特殊営業を営もうとする者は届出をしなければならない。

◎届出(第4章)

 性風俗特殊営業を営もうとする者はその種別に応じて営業所ごとに公安委員会に届出書を提出しなければならない。これは風俗営業の許可と大きく異なるところで,届出により営業する事が可能で,行政庁の意思が介在しない。つまり届出が受理された時点で適法な営業となり,許可証の交付などを要しない。届出は行政庁が必要的に受理しなければならない。但し届出書の瑕疵(不備),つまり形式上の用件に適合しないときは受理は拒否される。この場合瑕疵を補正して届け出ればよい。

 行政手続法第37条(届出)
 届出が届出書の記載事項に不備がないこと,届出書に必要な書類が添付されていることその他法令に定められた届出の形式上の用件に適合している場合は,当該届出が法令により当該届出の届出先とされている機関の事務所に到達したときに,当該届出をすべき手続き上の義務が履行されたものとする。

  ○手続(第27条第1項各号,第31条の2第1項各号及び第31条の7第1項各 号)

 公安委員会に必要事項を記載した届出書を提出する。

●届出書記載事項    
☆共通する記載事項     
・氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては,その代表者の氏名     
・営業所(事務所)の名称及び所在地     
・性風俗特殊営業の種別

☆無店舗型性風俗特殊営業及び映像送信型性風俗特殊営業共通の記載事項     
・営業につき広告等に使用する呼称
   
☆店舗型性風俗特殊営業特有の記載事項     
・総理府令で定める事項    

☆無店舗型性風俗特殊営業特有の記載事項     
・客の依頼を受ける方法     
・電話番号その他客の依頼を受ける業務を行う場所を表示する事項    

☆映像送信型性風俗特殊営業特有の記載事項     
・映像伝達の用に供する電気通信設備(著作権法に規定する自動公衆送信装置,つまりサーバ)を識別するための電話番号その他これに類する記号(アドレス)であって,映像伝達の際に用いるもの     
・自動公衆送信装置(サーバ)が他の者が設置する場合(プロバイダ等)は,設置者の氏名又は名称及び住所   

●相続

 風俗営業に関しては相続(法人にあっては合併による営業の承認)の規定があるが,性風俗特殊営業では相続の規定は存在しない。
    
民法第896条(相続の一般的効力)     
 相続人は,相続開始の時から,被相続人の財産に属した一切の権利義務を継承する。但し,被相続人の一身に専属したものは,この限りではない。

 権利義務については一切を相続できるのだから当然営業する権利も相続できるのではないか,と考える方もいるかと思うが,性風俗特殊営業については,届出のみで何ら許可を要せず,営業に関し,そもそも相続する権利も,一身専属の権利も存在しない。(民法,商法上の権利義務はまた別の問題である)単に届出書を提出すればよい。もちろん営業所等の不動産(所有権・地上権等の物権,賃借権等の債権)や備品等の動産,営業上の債権の相続は妨げられない。(法人名義であればそもそも相続財産ではないから,相続の対象とならない)

○営業の廃止又は変更

 性風俗特殊営業の種別の変更を除き,届出事項に変更があった場合又は営業を廃止したときは総理府令で定める事項を記載した届出書の提出を要する。


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