風俗愛好者のための法律講座
「風俗関連諸法(改正風営法)」 by KEN氏
3 営業の許可・届出
風俗営業を営もうとする者は許可を,性風俗特殊営業を営もうとする者は届出をしなければならない。
◎許可(第2章)
風俗営業の種別に応じ(性風俗特殊営業ではない),営業所ごとに公安委員会(=警察と思えばよい)の許可を受けなければならない。許可は「営業所」ごとであり,法人等の営業者単位で取得するものではない。つまり一法人が本店のほか3つの支店を有するとすれば,4つの許可が必要なのである。(第3条第1項)
公安委員会は許可の申請があった場合は,欠格事由に該当しない限り許可するのが原則となる。ただし必要な限度において条件を付し(附款付許可),これを変更することができる。これも必要な限度に於いてで無条件に附款を付すことはできない。(第3条第2項)許可は許可証の返納によりその効力を失う(第10条第2項)。
○欠格事由
- ●人的欠格事由(第4条第1項第1号ないし第9号)
- ・禁治産者,準禁治産者,復権を得ていない破産者
- ・1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- ・特定の罪により1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者。
- 注!)執行猶予の言渡しを受けた者は執行猶予の期間内に新たに罪を犯さず,その期間が満了した時点で刑の言渡しを受けなかったものとみなされ欠格事由には該当しない。ただし期間内は当然該当する。
- ・いわゆる暴力団関係者
- ・精神病者又はアルコール,麻薬,大麻,あへん若しくは覚せい剤の中毒者(原文のまま)
- ・風俗営業の許可を取り消され,取消しの日から五年を経過しない者
- ・許可の取消しのための聴聞等の期日が公示されたのち許可証を返納し,その日から5年を経過しない者。注!)脱法行為防止のための規定
- ・許可の取消しのための聴聞等の期日が公示されたのち許可証を返納し又は合併により消滅した法人で公示の日前60日以内に役員であった者でその日から5年を経過しない者
- ・未成年者
- ・法人でいずれかの欠格事由(未成年者を除く)に該当する者があるもの
- ●物的欠格事由(第4条第2号第1項ないし第3号)
- ・営業所の構造・設備が国家公安委員会規則で定める技術上の基準に適合しないとき
- ・条例で定める禁止区域内にあるとき
- ・営業所に管理者を選任すると認められないことにつき相当の理由があるとき
○手続(第5条第1項ないし第3項)
公安委員会に必要事項を記載した許可申請書を提出する。許可されたときは許可証が交付され,許可されないときはその旨通知される。
- ●申請書記載事項(第5条第1項各号)
- ・氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては,その代表者の氏名
- ・営業所の名称及び所在地
- ・風俗営業の種別
- ・営業所の構造及び設備の概要
- ・管理者の氏名及び住所
- ・法人にあっては,その役員の氏名及び住所
- ●相続(第7条及び第7条の2)
- 風俗営業者が死亡した場合で引き続き営業をする場合は,死後60日以内(これは注意が必要。民法上の相続は原則として相続の開始があったことを「知ったとき」から起算されるが,本法では死後が起算日となり,仮に死亡を覚知していなくても60日が経過すれば,営業の権利については相続できないこととなる。)に公安委員会に申請して承認を受けなければならない。ただし相続人(法定相続人)に限る。遺贈(法定相続人以外の者への死亡後の寄贈)は認められない。
- 法人で合併の場合は,合併につき国家公安委員会の承認を受けた場合は営業者の地位を承継できる。
○取消し(第8条)
取消事由に該当する事が判明した場合は許可を取り消すことができる。取消は必要的取消ではなく任意的取消である。つまり取り消すことが「できる」に留まり,取り消さなければ「ならない」訳ではない。
これは欠格事由に該当する場合の不許可と大きく異なる点である。(欠格事由該当の不許可は「必要的」なもので行政庁に裁量の余地はないが(覊束[きそく]行為)、取り消しは行政庁の裁量による(裁量行為)
- ●取消事由
- ・偽りや不正な手段で許可を受けたこと
- ・欠格事由に該当していること
- ・許可を受けてから6月以内に営業を開始しない又は6月以上営業を休止していること
- ・3月以上所在不明
○構造等の変更(第9条第1項ないし第3項及び第5項)
構造・設備等の変更(特例風俗営業者が行う場合を除く)は軽微なものを除きあらかじめ公安委員会の承認を要する。軽微な構造等の変更又は氏名・名称等の変更若しくは特例風俗営業者の構造等の変更あったときは公安委員会に届出書の提出を要する。
○許可証
許可証は営業所の見やすい場所に掲示し(第6条),これを滅失・亡失したときは速やかに再交付を受けなければ ならない(第5条第4項)。また記載事項に変更が生じた時は書換えを受けなければならない(第9条第4項)。なお返納事由に該当することとなったときは遅滞なく返納しなければならない(第10条)
- ●返納事由(第10条第1項各号)
- ・営業を廃止したとき
- ・許可を取り消されたとき
- ・再交付を受け,亡失・滅失した許可書を発見・回復したとき
○特例風俗営業者(第10条の2)
認定事由のすべてに該当する場合で,営業者の申請により認定できる。認定により認定証が交付される。
- ●認定事由(第10条の2第1項各号)
- ・許可後10年を経過している
- ・10年以内に本法に基づく処分を受け又は現に受ける事由がない
- ・本法に基づく条例の遵守の状況が優良な者
○名義貸しの禁止(第11条)
許可を受けた者は自己の名義で他人に営業させてはならない。