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研究ノート「初回割引を謳歌する割チケ根無し草」
by 黒川洋介氏
店:「いらっしゃいませ」
黒:「パネル見せてくれる」
店:「ありがとうございます。まず、コースを選んで下さい。当店は、初めてのご利用ですか?」
黒:「初めてですね。ネットで、○○見てきたんだけど」と割チケを差し出す。
店:「はい、では、60分コースが12,000円になります。」
■初回限定
ネットに溢れる風俗情報サイトの割引情報。最近は、チケットを印刷していかなくても「ホームページ見た」「○○サイト見た」「合言葉はチョメチョメ」と呪文を唱えるだけで、「入会金無料」「60分コース2,000円オフ」「70分10,000円」と優待への扉が開きます。
しかしその扉には「初めてのお客様のみ」という護符が貼り付けてあり、煩悩の塊である常連客は通り抜ける事が出来ません。
俗に、初回限定商法と言われるマーケティング戦略です。
この戦略により今時のネットユーザーは、割引アイテムや見たよ呪文を目ざとく入手し、常に初回割引のお店を渡り歩く「割チケ根無し草」になっているのではないか、と思われます。
■売っても響かない
この初回割チケ、大きくても名刺大程度のものなので、ハサミで切り取り財布などに忍ばせて行けます。私などは小心者ですので、始めの頃は、「やりに来ました」と声高らかに宣言しているようで、気恥ずかしくてうまく活用できませんでした。
しかし日ピン研の猛者達と合同調査を行ううちに、何ら抵抗なく特典を享受できるようになっております。(色に染まったって事?)
お店側にすれば、新規客を一度呼び込めば、スタンプカードや会員カードを作ったりのサ−ビスで常連客に取り込む魂胆なのですが、最近のお客さんはさるもので、よほどの当たりでない限り、簡単には常連客にならないでしょう。
お店ではなく姫に取り憑く(じゃなく、ハマる)のですから当たり前です。
根無し草に言わせると、常連客になっても大したサ−ビスがある訳ではないので、それよりも2,000円割引のお店を渡り歩いた方が支出が少なく、いつか理想のオキニに出会えるかもと、新たな姫との出会いを夢想する魅力(?)があるわけです。
彼らの行動は、ホームページ写真やキャッチコピ−につい釣られてしまう「期待指名」型であり、勤務中に予約の電話をしておけば、待ち時間のロスもない「予約優先」の傾向が強くなっているとみて間違いありません。
これについては、「指名性向についての一考察」に述べられている通りであり、「指名派とフリー派間の相転移に関する一考察」に「風俗相転移不可逆仮説」として 「フリー派から指名派には容易に移行できるが、指名派からフリー派に戻るためには労力が必要となる」
と提唱されています。
従って、歩留まり率を考えると実現は難しいかも知れませんが、ビジネスホテルの様にネット予約が出来ると携帯電話でのネット利用普及を考えるまでも無く、お手軽であり愛想の悪い店員と会話しなくて済むので、予約利用率が上がるのではないかと想定されます。もちろんお店側もシステム化できるので効率向上になると考えます。
■ますます思う壺か(?)
少子高齢化で、風俗適齢期男性人口の増加率以上に風俗店とプレイ形態が増える現状の中で、他のお店の常連客をいかに誘惑するかなど、食うか食われるかのし烈な競争が一段と強まっていく、と考えられます。
特に、団塊の世代が退職を迎える2007年度以降は、風俗業界にとってもシニア層をターゲットにした戦略が重要になってくると思われ、そこにつけ込まれて、「割チケ根無し草」によって初回限定商法が逆に食われるという皮肉な現象が更に増えて行くと想像されます。
以上、独断と偏見の上、乱文で申し訳ありませんが投稿いたします。
研究部 風俗産業・経済研究室長 黒川洋介 (H18.05.01)
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