〜©日本ピンサロ研究会〜

研究ノート「風俗と社会的証明の原理に関する一考察」

by 黒川洋介氏


 こんにちは。

1.はじめに

 風俗店が新規顧客を獲得するには、コスト的にも、一般男性の行動傾向をマクロに考えて戦略を立てる必要があり、日本ピンサロ研究会における風俗業界のマーケティング戦略研究も「経済モデル」を基に行っています。

 「経済モデル」とは、「風俗依存症候群」の行動研究から、「セーラー係数」にアダム・スミスの「道徳情操論(The Theory of Moral Sentiments)」を当てはめて、風俗店を利用する一般男性のペルソナを、
 「性欲の充足を利己的に追求するものであり、いい女とHするために、1円でも安く費用対効果を計算して合理的に判断し行動する」
と定義して、風俗業界のマーケティング戦略を研究する為に構築しているものです。

 その上で研究部では「風俗産業におけるマーケティングの目的は、販売促進を不要にすること」であると考えており、一見さん(新規顧客)をおなじみさん(リピーター)に育てられるかがお店の価値に繋がると考えています。
 そしてミクロ的には、本指名すると基本料金が上がってもオキニ嬢として裏を返し続ける男性個々人の行動に着目し、その行動原理についてもペルソナを構築し研究を進めています。

 本研究ノートでは、「経済モデル」におけるペルソナの行動に対して「社会的証明の原理」が大きく関連していることに関して考察を行っています。
 研究部では、この社会的証明を応用したマーケティング手法を誘導商法と呼んでいます。

2.社会的証明とは

 「社会的証明(SocialProof)」とは、社会学者のRobert Cialdiniが示した影響力の原理のうちの1つ。多くの人が支持、あるいは行動する考え方、ないしはやり方を、安全で安心と考える人間の傾向を指します。

 人は、他人の行動を参考にして自分の行動を決める動物です。

 特に、状況がよく分かっていないときなど自分で判断できないような場合には、周りの人たちが行っていることを正しいものと考えて、自分も同じような振る舞いをしてしまいます。
 これを「社会的証明の原理」といいます。
 つまり、状況が明確で判断材料が多い場合よりも、状況が不明確で判断材料が少ない場合のほうが、社会的証明の原理が強く作用します。

 社会的証明の原理は、自分と似ている人の行動を見たときに最も強く作用します。どう振舞うのが適切かを判断するとき、一番参考になるのは自分と共通点がある他人の行動です。私達は、自分と異なる人よりも、自分と類似した人の行動に影響されやすいのです。

3.身近な例

 「みんなやってる」
 「みんな持ってる」
 本当は、全員ではなくてお友達の数人だけなのですが、小さいときに(無意識に)使った経験はありませんか。
 最近では、これが大人向けにシステム化しています。

 例えば「みんなやってる(食べてる)」では、旅行した先で地元の名物を食べたい時は、食べログに代表される口コミサイトを検索することが多いと思います。「多くの人が高く評価している」=「美味しいお店」とお得感を得られるからです。

 また、町を歩いていて行列を見かけると、「何で並んでる?」と気になることがあると思います。それは「行列ができる」=「並ぶほど魅力的な何かがある」と思って、自分にとっても得することがあるんじゃないか、と無意識に判断してしまうからです。

 例えば「みんな持ってる」では、家電製品を購入する場合、どこのメーカーのどの機種を買えばよいか分からないときには、価格比較サイトのランキングで売れ筋の商品を選んだりすることがあると思います。「多くの人が買っている」=「良い商品だから」という安心感を得られるからです。

 この様に、人は他人の行動によって影響を受けている、とも言えます。

 つまり人には、ある状況下で他者の判断・行動に基づいて自身の判断・行動を決める性向があり、特に自分が確信を持てないときなどに顕著です。
 人は迷ったときは、他人が何をしようとしているのかを知ろうとし(口コミサイトなどのネットを検索し)、さらに多くの人がとっている行動(高い評価・低い評価)を正しいとみなして判断する、と言うことです。
 「自分で何を買うかを決められる人は非常に少ない」とも言われているほどです。

4.お客様の声とは

 「○○さんが使ってます」
 「○○さんもご購入なさいました」
良く聞くセールストークです。

 これは、人は共通点が多い人の行動ほど参考にする傾向が強くなる点を応用したものです。
 Amazonで有名になったレコメンド機能「この商品を買った人はこんな商品も買っています」がこの似た人の行動に共感を感じ易い人の性質をうまく活用した例と言えます。

 少し古いですが、この性質をCMに活用した例として有名なのが、トントン「こんなにそり残しが。。。」「今朝、剃ったはずなのに。。。」と驚きを映す「ブラウン・モーニングレポート」です。「使っています」の意味合いにひねりが入れられていますが、当時社会人だった男性は、テレビを見ながら単なるそり残しじゃないのと突っ込み入れながらも、実際に体験したのを目にして、良く剃れるのかなと妙な説得力を感じたのではないでしょうか。

 最近では、何かを販売したい企業のWebサイトのほとんどが、このお客様の声を活用しています。
 それは対象商品の評価だけでなく、「たくさんの声が掲載されている」=「購入者が多くこのサイトは安心できる」という心理が働くからです。Amazonを始め多くのネットショッピングサイトでは、商品を取り扱っているメーカーやお店の接客対応も載せており、それが購入するに信頼出来るメーカーやお店かどうかの判断材料として利用されています。

 いくらその商品・サービスが素晴らしいとアピールしたところで、しょせんそれはその企業やお店が自分に都合が良いように書いているとしか捉えてもらえません。
 そこで注目されたのが社会的証明の原理が強く働く「お客様の声」です。
 このお客様の声だけでも商品・サービスが売れていくため、マーケティング戦略ではどれだけこれを活用できるかが鍵となります。

5.風俗で遊ぶ場合

 風俗で遊ぶお店を選ぶ場合を考えてみます。
 無料紹介所や風俗雑誌、風俗専門webサイト、お店のホームページなど、お店を選ぶための情報入手の方法は沢山あります。
 最近のお店サイトでは「本指名ランキング」「予約完売」などを目にすることが多いと思います。これは「他の人はこの子を選びましたよ」というメッセージを伝えるために使われている表現です。
 さて、忘れてはいけない情報源に口コミサイトがあります。デリヘルを利用する場合に検索して参考にしている方も多いのではないでしょうか。
 本来であれば、まさにお客の声の塊であり最も社会的証明の影響を受け易い情報源であると言えます。しかし、掲示板での殴り書きのような情報から、投稿フォーマットが規定されて比較検討しやすい情報を載せたサイトまで、玉石混淆の状況であり自分が必要とする正確な情報を仕入れるのに苦労します。とりわけ困るのが、風俗店による自作自演の投稿です。これについては後述します。

 また、日本ピンサロ研究会の体験報告において、とある風俗店について複数の投稿が続くと、そのお店は、良い子が揃っていて、安心して遊べるお店だろうと考えると思います。つまり「たくさんの体験報告が掲載されている」=「遊ぶ人が多く安心」と判断できるからです。
 我々も遠征してきた会員に、自分たちが遊んで良かったお店を勧めるので、レポート本数が伸びるのは自明です。偶に、未レポだと言うことで、ネタ店や地雷臭店を勧めるのもお約束ですが。
 その上で、ロリ好き、ぽっちゃ好き、ピンサロ好き、名称不詳好き、様々な体験報告から自分の趣味嗜好にあった報告者に共感して、その後のお店選びに影響を受けるのも必然です。

 別の例で述べると、合同調査で練り歩きをし、初めて訪れるヘルス店で女の子のパネル選択をする状況で、お店のサービスレベルが把握できていなかったり、パネルを見た際にパネマジに関する知識や経験がないために、迷ってしまっている場合。
 同行した会員が(ロリとかスリム微乳とか嗜好の拘りが同じだと特に)、自分が気になったパネルと同じパネルを選ぼうとした場合には、自分の選択眼は間違ってなさそうだと安心するでしょう。女性の好みが同じ人と同じ選択をする「○○さんも選んだパネル」=「地雷を引く可能性を減らせる」と安心感を得られるからです。

 この様に、風俗店の過激なアピール広告よりも、お店サイトの指名ランキング情報や、日ピン研の「満足した女の子の居るお店」体験報告や、同好の士のお店やパネル選択行動と内容に、(許容範囲が広く価値観が希薄な人ほど)風俗店や女の子を決める参考情報として大きく影響を受けてしまうのが社会的証明の原理が働いている例といえます。

6.風俗店での応用

 当たり前ですが新規客(一見さん)は不特定多数ですので獲得にはコストと手間が掛かります。それだからこそ、風俗店が販売促進費を削減する手段として、指名ランキングを創り女の子の印象操作をするのは極めて合理的な手段です。
 写真の容姿やスペックが自分の好みではなくても、ランキングが高ければ、ランキング嬢には他の人が指名する何かしら人を引きつける物があると勝手に期待してくれるからです。

 迷っているお客は、女の子を選ぶ際に背中を押してくれる心理を買っていると言えます。

 見方を変えれば、お客に「その子を選ぶ理由を与える」と言うことです。
 その理由付けの根拠が社会的証明の原理となります。
 お客の代わりに、どの女の子がいいかを選択し、その子の良さをお客に伝えて、お客が欲しい女体を指名するお手伝いをするのが、これから求められる風俗店のマーケティング活動であると言えます。風俗店(の店員)はお客の指名代理人になるべきです。

 当然ですが、風俗店のWebサイトでもお客の声を採用しない理由はありません。
 お店においてお客の声を集めるのに効果的なのが、女の子の評価や感想を送ってくれると、なにかしらのメリットがありますよ、と案内する方法です。
 メリットがあれば、お客様は喜んでレビューを書いてくれるでしょうし書く動機にもなります。具体的には、割引や特典などを付けるということです。例えば、お店のサイト上で会員番号を入力して評価を書いた女の子の本指名料を無料にすると、お店にとって(都合の)良い評価を集めやすいでしょう。また、評価レビューでのランキングを創ったりと活用の幅も広がります。
 このように、お客の声を集めるということは、新規客と継続客と双方の獲得ができるというメリットがあります。

7.風俗店による口コミサイト利用の功罪

 風俗に限らず様々な商品・サービスに対して口コミサイトが存在しますが、自作自演、誹謗中傷、営業妨害、愉快犯的な投稿、知ったか振り、あおり目的等々、情報源である口コミサイトの信頼性を損ねる書き込みが氾濫し、何が正しいのか判断付かない事も多々発生しています。特に風俗に関する口コミサイトでは、この傾向が顕著です。

 客の立場から考えたら、踊らされる可能性が高くなると言うことです。特に、掲示板形式の口コミサイトでは、否定的な書き込みと肯定的な書き込みが乱立し、結果的に対象のお店や女の子に取って負の方向に社会的証明の原理が働いてしまう事態になっています。
 だいたい、お客の投稿でも、どこまでが本音でどの当たりが建て前なのか短いコメントでは読み取れませんし、下手に褒めとる自作自演の一言で括られてしまうことが多く投稿価値が毀損しているのが現状です。
 ある意味、べた褒めなら自作自演とか、悪い評価なら嬢叩きとか、お約束のように書き込みがなされのは風物詩とも言えます。

 その意味でも、風俗店が口コミサイトをマーケティングの手段として利用する場合は、十分な配慮が必要です。アクセスの多い口コミサイトなどは、風俗店による自作自演の排除を大きく謳っているところが多く、自作自演のやり方が洗練されていないことを現わしています。

 そもそも、なぜ口コミサイトがマーケティング手段として有効であるのか。それは、お店のことや女の子のことをよく分かっていない多くの男性に社会的証明の原理が強く働くからです。

 コストを掛けずに店に誘う導線にするのが目的なのですから、ただ褒め言葉を散りばめれば上手くいくと考えるのは稚拙です。
 不味いと言われている青汁は、敢えて不味さを強調したCMで「やっぱり不味いんだ」=「でもそれが健康に良いんだ」とブラウン・モーニングレポートと同じく、みんながそう思っているのだと自分が知っている情報に付加価値を与えるのに成功しています。
 つまるところ、風俗店の女の子で、容姿端麗でなくてもスタイル抜群でなくても、男の趣向は多岐に渡るのですから、その子の特徴を肯定的に伝えるのが、お客を獲得する早道だと考えるべきです。

 風俗店が口コミサイトを利用する場合は、お店サイトの指名ランキングと連動させ指名が多い女の子についてだけの自作自演投稿に抑えるべきです。例えば、新人の子が指名ランキングで初めて名前が出せるタイミングで、口コミサイトに投稿するとかです。
 さらに言えば、評価レビューで手に入れた高評価の内容を編集して使うのも効果的です。以下は某風俗サイトのお客様の声からの抜粋ですが、
 ・ストレートに述べる
  「スタイル抜群でビックリ。感度抜群でまたビックリ。文句の付けようがありませんでした」
 ・サービス態度を述べる
  「所謂お嬢様の様相ですが、どっこいおすけべモードが入ると情熱的な女性に・・・」
 ・雰囲気を述べる
  「包み込むようなほのぼのとした雰囲気で心身の疲れを癒やし・・・」
 ・自分に酔って詩的に述べる
  「人生という厳しい船旅の中で出会えた港やオアシスのような存在と思います」
この様に、自作自演を創り上げるのに捉えるポイントや表現の事例に事欠きません。

 上記のように「その子を選ぶ理由を与える」スタンスで投稿を行う風俗店の自作自演には、一定の情報価値があると判断しても良いでしょう。
 つまり口コミサイトを利用することは、他人の主観に判断基準を依存する行為ですから、利用する側は、お店による自作自演も一つの情報源として捉えるのがまともな利用方法だと言うことです。


 以上、独断と偏見と創作の上、乱文で申し訳ありませんが報告いたします。
 May Kama be with you.

 研究部長 黒川洋介 (H27.05.22)
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