〜©日本ピンサロ研究会〜

研究ノート「風俗の定義」

下記のとおり当研究会宛に質問を頂きました。風俗を研究する上で,非常に重要な問題と考えられるので,公開させて頂きます。
(解答:KEN氏)
【質問】

 風俗の定義って一体どのようなものなんでしょうか。

【解答】

 風俗という言葉ですが,これは私もそうですが,Nさん(質問者)も大きな誤用をしていますよね。分かっているとは思いますが本来の「風俗」は一般的な生活(世俗)の習慣や態様を指します。決してHな事を総称する言葉ではありません。
 一つの文化(風俗文化)を表す言葉ですし(本当の)研究の対象でもあります。考古学なども煎じ詰めれば古代の生活習慣,つまりは風俗を解明する学問と言ってもいいと思います。

 我々が「風俗」と一括りに呼んでいるものは敢えて言えば「性風俗」と言うものです。法律上の風俗(営業)の定義は風適法によれば概ね次の通りとされます。

1 客の接待をして飲食させる営業
2 暗い店舗で飲食させる営業
3 見通しの悪い店舗で飲食させる営業
4 射幸心(ばくちの心とでも言いますか...)を煽る営業

 どこにも性的な文言は出てきませんよね。いわゆる「風俗」は法令上「性風俗(特殊営業)」と呼ばれるものです。詳しく話すと大変込み入っているので詳細はうちの研究論文にある「風適法」をご覧下さい。
 風適法の中で頻繁に使われているのが「性的好奇心」と言う言葉です。簡単に言えば 性風俗とは

「異性の性的好奇心に応じた生活態様・習慣」

と言えると思います。言ってみればナンパやなどもこれに含まれるのではないかと思います。古くは「夜這い」などもこの性風俗に含めていいでしょうし,最近の不倫・愛人もココに含まれると思います。
 そこに対価の授受を伴っているのが我々が一般的に「風俗」と呼んでいるものではないでしょうか。
 つまり風俗=性風俗営業というのが一般的な認識と言っていいと思います。
 ここで感じるのは,正に一般的に「営業」と認識している点です。単に金員の授受があるからと言っても援助交際(実体は売春)はこの風俗(性風俗営業)に含めないと考えているようです(世間一般で)。

「性的好奇心を満たすためプロフェッショナル(職業人)から性的サービスを受けること。」

これがいわゆる風俗ではないでしょうか。

 ここで問題となるのがゲイやレズといったものです。男性が女性にサービスするのはこれは法令で規制を受けますが(法令上「異性」として男女の別は定められていないので)同性が性的サービスをしてもこれは性風俗特殊営業にはなりません。

 この辺の認識は正に十人十色で様々なようですね。少なくとも法令上は「性風俗」ではありません。

 諸外国と比しても日本の風俗は開放的というか開放的に過ぎるようです。特に本番以外の抜き系(オーラルセックス)がメインに来ているのは世界的に見ても特殊な環境のようです。
 極端な例ではシンガポールなどは本番以外は原則的に法令で禁止されているようです(私的なSEXであっても)このへんは日本の別の特殊事情,宗教に関する事情が絡んでいるようです。
 先進諸国で共通の認識は「キリスト教」的なものです。キリスト教は性について本来厳格であり,快楽のために用いるべきではないし,用いてはならないと考えられているようです。(正直私もよく分かってはいませんが...)ですから「中絶」などは未だに認められていません(アメリカ合衆国などは良い例ですね)。
 当然端から生殖,子供を作ることを前提としないオーラルセックスなど認められる余地はないのでしょう。(前戯としてなら別なようですが)
 これはユダヤ教にしろイスラム教にしろ同じではないでしょうか?一夫多妻制などが乱れた性風俗文化と言う人もいますが,本質が違います。多くの子孫を残すためにの「多妻」であり,快楽追求のための多妻ではないはずです。

 日本人は無宗教と言う意味では世界的にもかなり特殊です。ここまで徹底して宗教色がない国も珍しいでしょう。
 初詣に神社に行って,仏教の葬儀に参加してクリスマスを祝う国民はどこにもいません。かく言う自分も無宗教ですがこの辺が多様な性風俗を支えて生み出している実は大きなポイントではないでしょうか。
 皆が無宗教だからどんな性風俗も許容できると言えます。自分が仮にカソリックであれば,ピンサロもヘルスも行かないでしょう。神との契約に反する事を信徒が出来るわけがありません。
 諸外国ではまず起こり得ないというか宗教上の制約で日本のようにやりようがないし,そう言ったアイデア自体も浮かんでこないと思います。