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「風俗関連諸法(風適法)質疑応答 その12」

先に公開した「風俗関連諸法(風適法)」に対し質問を頂きましたので解答いたします。
(解答:KEN氏)


【質問】

 風適法第30条のなかの

2  公安委員会は、前項の場合において、当該店舗型性風俗特殊営業を営む者が第二十八条第一項の規定又は同条第二項の規定に基づく条例の規定により店舗型性風俗特殊営業を営んではならないこととされる区域又は地域において店舗型性風俗特殊営業を営む者であるときは、その者に対し、前項の規定による停止の命令に代えて、当該施設を用いて営む店舗型性風俗特殊営業の廃止を命ずることができる。

に関して、現店舗の場所は、すでに(該当区域)禁止区域にありがんばって営業を続けているが、 客室の配置換え,改装等を届出,許可の要なく自由に行った場合。無届営業に該当するのでしょうか、(ファッションヘルスの店がピンサロをする。勿論、公然わいせつでお客様が摘発されないよう工夫を凝らします)そして、廃業させられるのでしょうか。

【解答】

 ご事情は分かりました。あなたが現在お務めのお店は旧法2条4項5号の風俗関連営業として届け出ているという事ですね。
 新法附則4条1項5号により,新法施行と同時に新たな届出をしなくても新法により店舗型性風俗特殊営業の届出をしたものとみなされています。(新法2条6項2号の営業,ヘルスですね。)
 さらに附則4条2項により,これらの営業者は新法28条3項に規定するものとみなされます。28条3項とは要すれば,新法及びそれに基づく条例による禁止区域の規定(28条1項および2項)は適用されない,すなわち,既得権により,現在の場所での営業につき,禁止区域であっても特別に営業を認められていると言うことです。

 店舗型性風俗特殊営業は法27条1項各号に定める届出事項に変更が生じた場合は同条2項により届け出なければならない旨が定められています。しかし店舗の構造等は届出事項に含まれていません。
 風俗営業であれば平面図(不動産登記の際の各階平面図と同様のものと思われます。)を貼付しなければなりませんが,店舗型性風俗特殊営業は含まれていません。要は配置換えをしようが,リフォームしようがそれは風適法上の届出は要しないと言う結論になろうかと思います。届け出る必要がないのに無届営業という事は有り得ません。

 しかし,気になるのはヘルスからピンサロに変えるという点です。ヘルスとピンサロは法令上の扱いは全く異なります。
 ヘルスは風適法で認められた営業であり問題ありません。しかしピンサロはどの法令でも明確に規定,規制されていません。それは基本的に違法性を有するためで(公然わいせつ,刑法犯です)違法なものを法律で認めることは出来ないからです。
 ピンサロの多くは,風俗営業の「許可」を受けて営業しているところが多いようです。(バーや喫茶店といった扱いです)実体は全く違いますが建前はそうなります。そうなりますと届出ではなくて新たな許可を要する事になります。またお客様に迷惑をかけないようにしたいところですが風俗営業では,店舗内に1メートルの高さを越えるものを置いてはならないことになっていますし,見通しを妨げるものも置いてはいけません。
 つまり誰でもどこでも見れる状態でなければ不適法な営業という事になります。と言うことは必然的にサービスの状況も誰でも見れる状態になるわけで,風適法上は適法でも刑法犯となります。
 逆に刑法犯にならないためにカーテンや観葉植物で仕切れば,これは言うところの「技術上の基準」に適合しない,つまり風適法違反の状態です。

 名目上はヘルス(店舗型性風俗特殊営業)として,実体をピンサロにしてもやはり問題が出てきます。法2条6項2号の届出営業は「個室」においてと言うことが大前提になっています。
 仮に,客室の壁を取り払って,1フロアぶち抜きにして,ピンサロの如く営業したとします。各テーブルをカーテン等で区切って他から見通せないような感じに改装します。するとこれはもう,「個室」ではなくなります。そこで,もはや店舗型性風俗特殊営業の要件を満たしていないわけです。「個室以外」でという営業は先ほど申しましたとおり,風適法上は定められていないのです。

 もし私が摘発する側であれば,店舗型の要件が欠落しているので,本来的には「風俗営業」の許可を改めて取得しなければならないのに,許可を受けていないと言うことで,無許可営業で摘発します。そして,30条1項2項の規定(風適法違反のための行政処分)に基づき廃止を命じるよう上申します。

 現在禁止区域で営業している営業を廃止すればもう二度と営業する事は出来ません。ピンサロはどのような形態でも何らかの形で違法性を有します,必ずです。ここで店舗型性風俗特殊営業の権利を手放すような真似は避けるべきです。
 上記の私の見解はかなり厳密に解釈しているので,最悪の場合はこうなるとお考え下さい。しかし,なにもリスクを背負い込む事はないのではないでしょうか?どう考えてもピンサロの方が儲かるとは思えません。届出が法人格で為されているのなら,実質的な営業権の売却も出来るでしょうし出来ればヘルスのままで営業を続けられた方が良いかと愚考します。