by えせ男爵氏
いつもお世話になっております、研究部のえせ男爵です。さてこの日は全国のストリップ劇場の中でも最もディープな場所と呼ばれる、熱海の劇場を訪問しました。
桜木紫乃さんの小説『裸の華』(集英社文庫、2019年)に、主人公ノリカの師匠である老ストリッパーが現役で熱海の劇場で踊っているというシーンがあるのですが、その何とも言えない描写の世界を、ぜひ一度体験したいと思っていました。そして今回、小生の推しの踊り子さんが熱海の舞台に立たれるということで、満を持して伺いました。
まずその日は夕方に熱海に入り、駅前の温泉ホテルにチェックインし、入浴を済ませます。劇場の開演は19時半からなので、18時頃に劇場近くの大衆料理店に入り、瓶ビールと金目鯛の煮付け定食を注文しました。瓶ビール1本と日本酒1合を空けてほどよく気持ちよくなったところで、近くのコンビニで缶チューハイ2本を購入し、いざ劇場に向かいます。
店舗名:熱海銀座劇場
業種:ストリップ
住所:熱海市銀座町5-5 銀座ビル1階
HP:https://ginza-gekijo.com/
費用:4K
調査時期:2022年8月
劇場の入口は風俗店案内所と一体になったような作りで、奥にステージがあります。管理人とおぼしき女性スタッフに入場料4Kを支払っていると、ちょうど楽屋に入るところの推しと対面したので、お互いに目配せをして、小生は客席につきました。
劇場の広さは小生がこれまで体験した劇場の中でも、最も小さいものではないかと思います。ステージの広さはせいぜい畳3畳くらいでしょうか。ステージの前は小上がりになっており、そこが座敷席となっています。その外側にスツールが10脚あまり並んでいますが、おそらく全部で20名も入りきらないくらいの箱の広さでした。それでも小生の他に数人の客がすでにおり、後から来た人を合わせると10人程度の客入りだったと思います(なお訪問したのは平日です)。
小生はステージの見やすいスツールに陣取り、開演を待ちます。この日は小生の推しともう一人の計2名の踊り子さんの出演でした。一番目のステージは推しの番でしたが、最初にステージ上に出てきて自ら開演のアナウンスをした後、自分で音楽プレーヤーのスイッチをオンにし、音楽が始まったところでショーの幕開けとなりました。一般的な劇場だと、照明係のスタッフがアナウンスをおこない、BGMの操作もするのが普通だと思うのですが、この劇場にはそもそも照明係も照明ルームもないようなので、すべて踊り子さん自身がやることになっているようです。
ショーの進行は他の劇場と基本的には同じで、20分弱の踊りの後、ポラタイムがあり、最後にオープンショーがあって、次の踊り子さんの番になるという流れです。ただしポラタイムでは、チェキを撮ってプリントをもらうのではなく、お客さん自身のスマホやデジカメで撮影するという形式でした(1枚1K)。いつもそうなのか、今回だけなのかはわかりませんが、小生は事前に知っていたのでミラーレスを持参し、踊り子さんのかっこいいポーズをばっちり撮らせていただきました。なお昨今の状況を受けてかもしれませんが、ポラタイムでの過激なポージングはNGのようでした。
今回の香盤は、一番目は小生の推し、二番目はこれまで何度かお見かけしたことがある踊り子さんで、二人とも異なる個性の踊り子さんですが仲良しの様子で、二人でステージに上がってトークショーとなった時間もありました。またこの日は三回公演だったのですが、二回目の公演では二人がお互いの演目を取り替える「シャッフル」をしてくれ、他の劇場では観ることのできない演技を観ることができました(基本的に演目と衣装はそれぞれの踊り子さんオリジナルのものなのです)。
ステージは狭いものの、それを縦横無尽に使って演技を見せてくれる踊り子さんのパワーに圧倒されました。客席との距離も間近なのでその臨場感たるや、この上ないものでした。
お客さんの様子も様々で、地元の人、観光の人、小生のようにストリップ目当てで来た人など、色々だったようです。女性のお客さんもいらしていて、踊り子さんの方からしきりに彼女らに声をかけて話していました。やはり女性のお客さんが観に来ることは、踊り子さんにとってもうれしいことのようです。
三回目の公演が終わり、終演となったのが23時半頃でした。この日も大満足のうちにホテルへの帰途につきました。この重要文化財級の劇場が、これからも存続していくことを心より願っています。
長文・乱筆のほど失礼いたしました。
研究部長 えせ男爵 (R04.09.22)