by えせ男爵氏
いつもお世話になっております、研究部のえせ男爵です。2021年の最初の遊びはこちらでのストリップ観劇でした。
店舗名:大和ミュージック
業種:ストリップ
HP:http://www.yamatomusic.net/
費用:3.5K
調査時期:2021年1月
正月のストリップ劇場では「三番叟」がおこなわれるということは以前から聞いて知っていたのですが、小生はこれまで観たことはありませんでした。そしてこのたび、初めて観る機会を得ました。
三番叟は能楽に由来しますが、元来は能楽以前の神事に起源し、五穀豊穣を祈り、舞台を浄める意味があるといわれています。能楽以外にも、文楽や歌舞伎でも演じられます。
こちらの劇場では通常だと第一回公演が11:30に始まるのですが、正月三が日は11:25から三番叟が演じられます。この日は踊り子さんのH・Eさんが、烏帽子姿で現れ、三番叟を舞います。手には扇子と鈴を持ち、鈴を鳴らしながら舞います。これは「翁」の面を付けて舞う能楽のスタイルではなく、「寿式三番叟」と呼ばれる文楽や歌舞伎で演じられるスタイルでした。
ストリップで三番叟が演じられるのは、ストリップが日本の伝統芸能の延長上に位置する、ある意味で土着的な芸能であることをよく示しているように思いました。そしてこういう貴重な機会に立ち会うことができて、小生も満足でした。
三番叟が終わって、いよいよこの日の演目のスタートです。この日の香盤は6つの演目が出されました。
トップの1番目は、有名なベテラン踊り子さんのA・Jさんの登場でした。彼女は、女流作家のS・Sさんをはじめ文化人にもファンが多く、まさにレジェンドというにふさわしい方です。しかもこの日は特別演目で、新人(プレデビュー)のAさんと、さらにベテランのM・Aさんとの3人ステージで、みな晴れ着での出演でした。新人のAさんはまだ2日目の舞台とのことで少し緊張されているようでしたが、和服の着こなしはきれいで、ベッドショーでもA・Jさんにあわせてポージングを決めている様子がほほえましかったです。聞けば彼女、知り合いにストリップ劇場に連れて行ってもらって以来、この世界にはまってしまい、劇場に通っているうちにA・Jさんと仲良くなって、ついに舞台に立つこととなったそうです。
4番目は、以前に上野と池袋で観てファンになったA・Mさんです。現役○○員であり、エッセイストでもある彼女ですが、舞台での演技は、踊ることで人生を肯定するような、ポジティブさにあふれたもので、観ているこちらも元気になるようなものでした。ちなみに彼女も、A・Jさんを通じてデビューすることになったとのことです。
なおこの劇場にはバーも併設されているのですが、お正月ということもあり、振る舞い酒も樽酒で用意されていました。メニューもお正月にあわせて、甘酒やお雑煮が用意されていました。小生は、A・Mさんお手製の「洋風お雑煮」と、作家のS・Sさんからお届けの蒲鉾をいただきました。
お正月ということもあり、普段にもましてお祭り的な雰囲気にあふれていました。そして今回あらためて、今のストリップが女性のパワーによって牽引されていることを強く感じました。
一昔前までは、ストリップはアングラな世界のイメージが強かったように思います。しかし最近は女性の観客も増え(今回も数人いらっしゃいました)、新人のAさんやA・Mさんのように、もともと異業種にいた人でも、自ら舞台に立つのを志す人も増えてきたように思います。
しかし一方で、ストリップ劇場をとりまく現状は依然として厳しいものがあります。風営法により建物の改築は大きく制限されており、まして新規出店は不可能となっています。また地権者が賃貸契約の更新を拒否して閉館に追い込まれた例もありました。それに加えて昨今のコロナ禍でさらに状況は厳しくなっています。先日も、九州の老舗の劇場が閉館する予定となったとのニュースを聞きました。
小生は、ストリップは我が国の芸能のひとつであり、文化的表現のひとつであると考えています。国などからの公的な支援は望むべくもありませんが、せめて市民レベルで、こうした芸能の伝統をつないでいく支援ができればと思っています。
長文・乱筆のほど失礼いたしました。
研究部長 えせ男爵 (R03.01.24)