〜©日本ピンサロ研究会〜

スナック「名称不詳」(宮崎)

by 立川紫煙氏


 今日は立川紫煙です。

 21時30分延岡発の日豊線下り特急。時折雨が打ちつける車窓から、幼少の風景を望む。日向灘を左手に見つつ南下する列車は1時間ほどで宮崎駅に着いた。
 降っては已むをしばしば繰り返したであろう宮崎市内は蒸し釜のようで、蒸し釜の比喩が比喩の段階に留まらない程に、蒸していた。
「そういえば高架になったとじゃった」
高架化して相当年経つとはいえ、10年振りの宮崎駅は私にとって未だ珍奇に映る。駅の東西を隔絶してやまぬ嘗ての姿を思い遣る。

 上野町。この地にあるという連れ出しスナック群を知ったのはいつの頃であったか。いずれにせよ最近1年の話であったと思う。当然私が九州にいた頃はそのよすがすら感じえなかった。所在についても事前に知っていた情報といえば町名のみ。些かの不安もあったが取り敢えずその方向へ向う。
 駅西口から西へ、橘通りを右折、適当に右折、今度はまた適当に左折。おや?薄暗い路地に佇み蠢く人の影。そこはもう上野町!
 私はこの種の探索にあっては、異常な程に鼻が利く。神がかり的といってもよい。後々地図を確認して、私が最短ルートで辿ってきたことを知る。風俗関係限定の闇の嗅覚、実にくだらない…。

 そこは住宅街である。軒を寄せ合う感じは都下大田区内を思わせる。その民家の合間あいまに怪しい仄明かりが明滅する。それ以上に怪しい路傍に佇むおばちゃんたち。彼女たちは所謂SGではなく、客引きである。想像するだに恐ろしいが、彼女らがSGであったらこの界隈は封印しなくてはならない。
 連れ出しスナックといえば、貴会のレポートでもたまにあがる函館あたりのうらびれた様子ばかりを想像していたのだが、この上野町裏街はかなりの規模なのではないか。正確な数字ではないものの私が見たところスナックは20件は下らない。当然中には普通のスナック―飲酒と歓談に終始する―も含まれているかもしれないが。

 私は出会って最初のおばちゃんに運命を託すことにした。開口一番「18はおると」と問う自分にもはや清清しさをすら感じる。「一番若い子は21〜2ですよ」とおばちゃん。実に屈託無く笑う。どうやらこの界隈では組合の規定上二十歳未満は雇えないらしい。裏風俗の客引きという立場にあってこの就業年齢規則を遵守する意識の由来を詳しく問い正したいが、二十歳の縛りがこの界隈をこの規模で存続させているのかも知れないと考えて溜飲を下げた。

「とりあえず見てって」
連れ出しスナックの醍醐味は顔見世にある。顔かたちを実際に選った上で遊べるというのは、関西の新地システムに魅せられた私にはたまらない。さらに嬢は皆戸内にあるため、さらに奥ゆかしい。
 スナックが何件か連なる通りまで歩く。中ほどの店でおばちゃんは立ち止まり、ノックする。
「○○ちゃん」
はい、と笑顔で現れた嬢は無条件の及第点。温泉地や伊勢湾の島のレポートで拝見するような南方系の香りはしない、純正の邦人である。一人目でこのレベルということを全く予想しておらず、苦戦必死と考えていたのだがこれは…。このまま入っても(いれても)よかったのだが、二軒目をお願いした。もっとかわいい嬢をというより、この顔を見て回るという作業に興奮しての二軒目のお願いである。
 …皆さんついて来てください。

 ところが「次」との私の言葉に予想外に食い下がるおばちゃん。嬢ではなくおばちゃん。「他に若い子のいるところに連れてって」と追い討ちを掛けると寂しそうにして携帯を開き、何やら話し始めた。

 この辺のやりとりからして上野町界隈のシステムが垣間見える。スナックの数より明らかに多い客引きの人数。これが意味するものは、おばちゃん達が一つのスナックと専属契約にあるということである(少なくとも私の当ったおばちゃんは)。複数の店舗と客引き契約を結んでいれば、あるいはフリーの客引きならば、店から店へ顔を見て回ることも可能であろうが、専属となれば話が違う。他店に回るとなればその店の専属の客引きを通さなくてはならない。従っておばちゃんの取り分も減る、ということになる。だから食い下がる。おばちゃんの電話相手、それは他店のおばちゃんであった。
 この相克を如何せん。多くを見て回りたい客と自身の契約店に入れたいおばちゃんの相克を。上野町スナック群遊びにおけるポイントは(客引きの)おばちゃん選びであるといういびつな状況が生じるのはこの相克にある。

店名 名称不明
業態 連れ出しスナック(範疇としては立ちんぼか)
所在 宮崎県宮崎市上野町
費用 15k / 45m ホテル代込み
日時 平成22年8月下旬平日
どうでもimfo 15kの行方
ホテル2 嬢6 当該おばちゃん2 二軒目のおばちゃん5。二軒目のおばちゃんはスナックと折半か?

 もうすこし見て回りたかったが上記相克に敗れての決定。しかし現れた二人目の嬢がヴィジュアルSランクで、二十歳にしては若く見えたという点が決定に影響を与えたのではないかという推測は、往々にして成立する。

 近所の薄暗いラブホテルに嬢と同行。平日にも関わらずホテルはほぼ満室であった。プレイは拒否気味のK、NF、G着妙適他割愛。

 以上Uターンもありかな、立川紫煙です。

 (H22.09.27)

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