〜©日本ピンサロ研究会〜

研究ノート「メイド文化の隆盛と今後」

by 裏鉢氏


 「電車男」から始まったいわゆる「萌え」ブームも一段落。メイド喫茶というもののブームも去った感があるが、秋葉原では以前からの老舗中心にメイド文化が完全定着したと考えていいだろう。ちょうどいいタイミングなので、メイド喫茶、メイドカフェおよび風俗界の文化についてまとめておきたい。

 メイド喫茶の誕生の裏にコスプレ文化あり。1990年代後半、コミックマーケットなど一部でしか行われていなかったコスプレが市民権を得、一大コスプレブームを巻き起こしたことがあった。カリスマコスプレイヤーが雑誌をにぎわしたり、「コスパ」というコスプレダンスパーティーイベントが盛んに開かれたりした時代。コミックマーケット有明移転の頃には、コスプレイヤーたちの活動が非常に多くマスコミに取り上げられるようになっていた。
 この頃はまだメイドというのはあくまで「職業服」なのでコスプレイヤーは多くなく、むしろアニメキャラ、ゲームキャラのコスプレが流行っていたのだが、この頃にコスプレイヤーに人気を集めていたのが、某ゲームに登場していた某メイドロボットなのである。このことが、後のメイドブームに影響してくることになるとは誰も予想できなかったのだが…。

 某メイドロボは作品中でセーラー服を着ていたのであるが、「ドジなメイド」というものがキャラクターのスタンダードとして成立。マスタースレイブでのスレイブに適任ということもあり、各メーカーがこのシチュエーションでゲームを作ったために、巷には多数のメイド作品が出回ることになった。そのときの衣装が、いわゆるブリティッシュスタイル。最近のメイド喫茶の多くで採用されている紺のツーピース(フリフリスカート)+エプロンというスタイルである。こうして、メイドコスチュームがオタク層の間で人気ナンバーワンクラスにまで踊り出たのだ。
(注:某社の「メイド調教ゲーム」がブームに火をつけたとの説もあるが、SMを主体にしたマニアックなゲームだったため、ブームの火付け役とまではいかないのではないだろうか。流行ったけど。)

 私がはじめてメイド喫茶に行ったのはたしか2001年のことだったと記憶している。未だ健在の「Cure Maid Cafe」でのイベントにゲームの体験版目当てで行ったのが最初。出てきた紅茶がやけに本格的なアッサムだったのを覚えている。
 このころは秋葉原のメイド喫茶はこことラムタラメディアランドの上にあったお店(現在閉店、だが現在イベントスペースになっているこのフロアには、窓やカーテンなど当時の面影あり)、あと数件あったくらいしか記憶がない。
 だがその後、メイド居酒屋「ひよこ家」の誕生の時期くらいからメイド萌え層(?)が拡大し始め、ネットの普及とともに、メイド喫茶を特集するサイトが急増。秋葉原にはメイド喫茶の乱立が始まった。2004年時点では秋葉原だけでおそらく10店舗以上はあったと記憶している。
 その後はご存知の通り。「電車男」によりオタク文化が広く一般に知れ渡るところとなり、秋葉原が観光地化。「お帰りなさいませご主人様」が流行語となり、メイド喫茶の乱立に拍車がかかった。しかし、ブームの一段落やヨドバシカメラ開店に伴なう人の流れの変化とともに最近急速に店舗数が少なくなってきている。
 メイドの服装もメイドカフェ店舗数の増加やゲームの本数増加(&それに伴なう購買者の飽き対策)とともに多様化してきた。ブリティッシュスタイルを踏襲しつつも、生地の色が変わっていたり、あるいは露出を高めてみたり。しかし、原点から離れていくごとに、客の側もおかしさを感じるのか、興味をそがれていったことは想像に難くない。ちなみに現在繁盛している店はオーソドックスなコスチュームにオーソドックスなサービスの店が多い。

 さて、風俗界に視点を移してみると、避けて通れないのがコスプレイメクラの雄である池袋「聖コスプレ学園」である。コスチュームはセーラー服など学生服、ナースなど職業服が多かった時代に、70種類にも及ぶアニメキャラクターのコスチュームを用意し、女の子もマニアックな話題についていける子を用意するなど徹底振りが受け、オタク層を中心に90年代後半から2000年代前半に一世を風靡した(元コミックマーケット代表の米◎嘉博氏(故人)も利用したとの噂もある。ただこの方は結婚しているので噂の信憑性は低いが…)。
 その後、メイドの認知度拡大と、聖コスに多数のメイド服が入荷し人気になったことなどが伴ない、イメクラにメイド服が導入されることが多くなった。しかしこの段階では、ア○ナミラーズの制服を思わせるようなメイド服が一般イメクラでは主流であり、オタク層の満足度を高めるほどのものはあまり存在しなかった。
 転機は2004年、メイド喫茶の隆盛である。件の大規模摘発以降、ホテルヘルスとして鞍替えした店舗の中にメイドをコンセプトとする店舗が多くなり、イメクラでもブリティッシュタイプのメイド服を置くところが出てきて、現在に至るのである。

 長くなったが、メイド文化は2007年4月現在では下降線だと思って間違いはない。ただ、メイド喫茶の数は減るだろうが、風俗界ではまだコスプレの王道として生き続けるだろうし、メイドコンセプトの店が早々とリニューアルをするとは考えにくい(川崎の旧アルバイト楽園は例外。あそこはメイドブームになった頃にコスチュームをメイドからサンタに替えたので)。緩やかな下降線を描きつつ、平成20年くらいまで下降したあと、流行ではなく、学園系などと同じようにひとつのジャンルとして成立するのではないかと考えている。

 で、次に何のコスチュームが流行るのか。私は巫女かシスターのどちらかだと考えているのだが…。秋葉原には既にシスターカフェもあるしね。

参考文献:
メイドカフェでGO! http://moeten.info/maidcafe/
メイドの次はシスター!?秋葉原事情 http://www.trend-hunter.net/article.php/20070409174730433

 調査部 中央情報課 web情報調査班長 裏鉢 (H19.04.16)

トップページへ

〜©日本ピンサロ研究会〜