by Tっちょん氏
こんにちは!Tっちょんです。
本日は題にもありますとおり、ペニシリンを用いない梅毒治療について書かせていただきます。
何故このタイミングでこのような話題に触れたかというと,僕自身性感染症にもなりましたが(先日のレポート参照)、それがほぼ完治したと同時に,溶連菌感染症に感染しました。その治療の過程でペニシリン系の抗生物質を用いたのですが、その薬で薬疹反応が発生してしまい、今後ペニシリン系の薬を使うことができないということが判明しました。
みなさんもペニシリンについてはよく聞くとは思いますが、最もこの薬を用いて治す病気として梅毒があげられるかと思います。今回は僕みたいにペニシリンが使えない場合、もしくは梅毒治療中にペニシリンアレルギー(またはその類似症状)を発症した場合どのように治療されるのかといった点に焦点を当てて話していこうと思います。
まずはペニシリンの薬効と歴史についてですが、ペニシリンは世界で初めて開発された抗生物質であり、発見は1928年にさかのぼります。この直後に第二次世界大戦が勃発したのですが,最前線の戦場ではこのペニシリンにより多くの兵士が感染症から救われたそうです。ペニシリンが発見された数年後にはセフェム系の抗生物質も発見されており、近代医学の歴史はここから始まったと言ってもいい発見だったと考えます。
次にペニシリンが細菌にもたらす作用ですが、ペニシリンには細菌の細胞壁の成分であるペプチドグリカンと結合し細菌を溶菌させて殺すといった作用があります。これにより梅毒を構成する梅毒トレポネーマは死滅し完治していくといった作用が起こります。
しかしペニシリンの問題点として比較的起こりやすいものに、
・薬疹の発生
・発熱
といった症状が挙げられます。発熱の場合、梅毒治療中の場合はこれはヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応という細菌の毒素が細菌の死滅によって放出されたことによる発熱反応であり、特に問題のない反応であるので基本的には放置しても構いません。しかし薬疹が生じた場合、これはすぐに治療方法を変える必要性が生じてしまいます。(ちなみに今回僕はこれをやらかしました。)
そのまま服用していると薬疹の悪化やスティーブンス・ジョンソン症候群をはじめとした生命に関わる可能性の高い疾患の発症リスクが増大する可能性があります。この場合(ヤブ医者ではなければ)ほとんどの確率で治療法の変更が取られます。(ちなみに僕が薬疹を起こした時は薬疹止めの薬と毎度おなじみのジスロマックを投与されました。)
さて、前置きはこのくらいにしておいて本題に移っていこうと思います。
まずはじめにペニシリン以外の薬による梅毒の治療はできるかできないかというと、結論からいうと現在では可能となっております。それは、他にも梅毒の原因となるウイルスを殺すための薬が存在するのでその薬を用いるといった方法です。
現在では主に2つの薬が使われていて、
@ミノサイクリン錠(100mg)を1日2回、4週間投与する
もしくは、
Aスピラマイシン錠(200mg)を1日6回、4週間投与する
といった治療手段が取られています。
しかし、これらの薬にはどちらも欠点が存在し、
@:保険適用外の薬であり、また副作用として歯に置ける着色、エナメル質の形成不全が発生する
A:一日の投与回数が多いので、飲み忘れたりした場合、ウイルスが薬剤に耐性を持つ可能性がある
といった欠点があげられます。しかし、ペニシリンが使えない患者には主にこの2つの治療法がとられているというのが現状です。ただ,どちらもしっかりと飲んでいけば梅毒は根治することができるというのもまた事実です。
ここまで色々と話してきましたが、最後に1つだけ伝えておきたいことがあります。それは、
「まず梅毒に感染しないように予防する」
といったことです。皆様方も性感染症にはしっかりと気をつけて楽しい風俗ライフを送っていきましょう!
ご覧いただきありがとうございました!
(参考文献:日本性感染症学会「梅毒診療ガイド」)
四国支部 西四国事務所 調査員 Tっちょん (H31.04.15)