by 二階堂氏
どうも、非会員の二階堂です。
今回はお店の調査報告ではなく、淋菌感染症とスーパー淋菌についての調査報告をさせていただきます。
性感染症は風俗店を利用している以上、常に隣り合わせのリスクである為、既に充分な知識をお持ちの方もおられるかと思いますが、再確認という意味でお付き合いください。よく知らないという方はぜひこの研究ノートをお役立て頂ければ幸いです。
今回は淋菌にテーマを絞っての報告です。
※本研究ノートは感染症の専門機関のサイトや専門医師のコラム等を参考にし、薬剤師である家族に助言してもらい作成したものであり、調査内容は平成29年12月23日現在のものです。
〜淋菌感染症(淋病)とは〜
淋菌を原因菌とする性感染症である。
男性は尿道、女性は子宮頸管が主な罹患部位であり、男性の方が症状が顕著に表れやすい。
男性の場合、2日〜7日程の潜伏期を経て尿道炎を発症する。膿性の分泌物が出現し、排尿時に痛みを伴う。さらに症状が進むと精巣上体炎を発症することがある。
女性の主な症状としては、子宮頸管炎を発症する。近年、オーラルセックスの増加により淋菌性咽頭感染も多い。
症状が進むと骨盤炎症性疾患や卵管不妊症などを引き起こす。ただし、症状が軽い、もしくは無症状である事が多いため感染に気付きにくい。
男女共、まれに播種性淋菌感染症を発症することもあり、治療には数回の通院を要する。
淋菌はヒトのみを宿主とし、それ以外の環境下では数時間で感染性を失い死滅する。そのため、性行為や性交類似行為以外での感染はほぼ無いと言える。一度の行為での感染率は比較的高く、20〜30%である。
〜治療〜
治療は抗菌薬を用いる。現在の日本国内では、セフトリアキソン(第一選択薬)とスペクチノマイシン(第二選択薬)の2剤が有効とされ、これはいずれも注射薬で保険が適用される。
経口薬のみの治療は耐性菌の増加により推奨されていない。感受性であることが確認されれば併用療法が採用される事もある。
注射や点滴を受ければその一度の治療でほとんどの場合は完治するとされている。その為、治癒判定の検査は必ずしも必要とはされない。
また、患者の20〜30%はクラミジア感染症も合併しているため、クラミジアの検査は必須である。
〜淋菌の薬剤耐性〜
ニューキノロン・テトラサイクリンの耐性率は70〜80%あり、感受性であることが確認されない限り、使用すべきではない。
第三世代経口セファロポリン系薬の耐性率は30〜50%である。最も抗菌力の強いセフィキシムはある程度有効とされているが、多数の無効例も報告されている。
これまで有効とされてきたセフォジジムは2016年3月末をもって発売中止となっている。その他の薬剤としてはピペラシリン・メロペネムが有効であるが、保険適用外となる。淋菌に限らず耐性菌はいつか必ず発生するものであり、いかにその発生を遅らせるかが大変重要である。
〜スーパー淋菌について〜
2009年に京都市にて、風俗店勤務の女性の咽頭からセフトリアキソンに対する耐性菌が検出された事が世界で初めて報告された。その後ヨーロッパなどでも報告例があるが、耐性菌の蔓延は認められていない。
インターネット等では抗菌薬が全く効かないスーパー淋菌なるものが発生したとされているが、これは第一選択薬であるセフトリアキソンが効かなかったという事であり、他の薬剤は有効であるため,そのような多剤耐性菌が蔓延しているという事実は確認されていない。もし存在するならば、世界中で大流行しているはずである。
ただし、セフトリアキソンに対する耐性菌の存在は報告されているため、確実に広まっているものと考えられておりWHOも警戒を呼びかけている。
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調査報告は以上です。
今回、もっとも身近に知られるクラミジアではなく、淋菌感染症にテーマを絞って報告した理由は
1.淋菌感染症は完治する病ではあるが、耐性菌の脅威がかなり深刻であること。
2.減少傾向にあった淋菌感染症がここ数年で増加傾向に転じていること。
3.「スーパー淋菌」という単語で、自分を含めあまり知識がない人達に対して不必要に恐怖心を煽る記事が散見されること。
が挙げられます。
確かに性感染症は怖い病気であり、感染しているとHIVに感染する確率も上昇すると言われています。予防するにはコンドームの着用が必須ですが、それでも完全な予防ではなく、確実に予防しようとするならば風俗店の利用を避け、不特定多数の人との性的接触を無くせば良いというのが医師側の意見だと思いますが、こちら側としてはそういう訳にもいかないですよね。
そこで、今できる対処法として疑わしい行為をした時に、あるいは定期的に検査を受ける事と、感染してしまったとしても有効な抗菌薬はあり、正しく治療すれば完治するという事。そして正しく治療を行うことは耐性菌の発生を遅らせる有効な手段にもなるという事を知っておかなければなりません。
人はどうしてもネガティブな情報を信じてしまいがちになります。決して軽視してはいけない病気ですが、そういった情報に惑わされる事なく、健康で楽しい風俗ライフにしましょう。
それでは失礼します。
(H30.01.09)