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研究ノート「風俗店の顧客戦略〜常連は大事だよ♪〜」
by 黒川洋介氏
「常連客を大事にしよう」・・・・あなたは、その理由を説明できますか。
■はじめに
最近の風俗店員さんの対応を観ていると、常連客がなぜ大事なのか理解していない為に、表面的なお愛想で型どおり行動
している方が多い様に思われます。顔見知りで勝手も分かっていて対応も楽だと思っているだけではないでしょうか。
そこで、風俗店に勤めている諸氏向けに、なぜ常連客が大事なのか知ってもらう事を目的に、この研究ノートを投稿します。
■なぜ大事なのか
「常連客は利益をもたらす」からです。
なんだ当たり前じゃないかと思われましたね。そうです。当たり前なのです。でも、この当たり前の事が出来ずに衰退して
いく店舗は多いのです。
以下にその理由を述べます。
■売上の観点
すべての顧客は同じではありません。
一般的に風俗店での常連の確保は、商品である女性に委ねられており、何度もお店を利用してくれる顧客を育てるという視点
が欠如しているのでは無いかと感じています。
男性はすべて一様の顧客として捉えられ、あくまで店舗全体の売上が重視されているようです。この結果、例えば姫の欠勤に
よる機会損失を避けるため、多くの登録女性を持つことが売上増大につながると考えているのではないでしょうか。
やがて商品である女性が売れなくなると、今度は登録抹消が大きな課題となり、売れ筋姫や死に筋姫を管理し、女性の絞り
込み、登録削減、プレイ場効率が追求されるようになると思われます。
しかし、同じ様な風俗店が増えて市場が成熟化すると、姫やプレイサービス自体の差別化だけでなく、顧客に提供する価値が
競争力を左右するようになってきます。
男性の「セーラー係数」(注1)には当然差があります。例えば、一般的に上位20%の顧客が売上の80%に貢献しますが、下位
の30%の顧客は3%の売上にしか貢献しないと言われています。内情はなかなか表には出てきませんが、風俗業界でも常連客が
売上上位顧客でる事は同じであると思われます。
ですから、経営を安定させるためにも、常連客をどれだけ増やすか、逃げられないようにするかが勝負の分かれ道なのです。
- (注1)セーラー係数
- 個人の所得に対する風俗費用の割合として「風俗依存症候群に関する一考察」
で定義されています。
■マーケティングの観点
風俗店におけるマーケティングの基本は、
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良い姫を確保して、沢山の人に存在を知ってもらう
知って、試して、もう一度
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と考えています。もちろん、風俗マーケティング4P
が意思決定されている事が前提です。
多くの方に知ってもらうためには、ホームページをしっかりと運営したり、風俗雑誌や夕刊・スポーツ紙にまめに広告を出し
たりする必要があります。最近では姫のブログを公開したりしています。しかし写真マジックが常識となっている現状では、割引
チケットやオプション無料追加などが常態化しており、新規顧客を獲得するための販売促進策としての支出、つまりマーケティング
コストが増加している事は間違いないなく、一度来店されただけでは殆ど利益が上がっていないと思われます。
その為なのか、新規だと割引が適用されるのに、2回目は定価という店舗が増えており、販促で狙った訴求効果がかえって割高
の印象を与える事になっています。その上態度の悪い店員では目も当てられません。一度離れてしまった顧客を呼び戻す為に必要
なコストは、新規顧客を獲得するためのコストの何倍も必要となる事を知っておくべきです。
突き詰めれば、「風俗産業におけるマーケティングの目的は、販売促進を不要にする事」だと言えます。販売活動をしなく
てもお客が遊びに来てくれる。言い方を変えると「置けば、売れる」が理想の姿です。
その成功が、常連客でありリピーターの確保なのですが、理由は3つあります。
- (1)友達(有望な見込み客)を連れて来る
- 風俗に遊びに行く時、一番信頼できる情報は、やはり知り合いの実体験に基づく情報だと思います。その意味では、
日本ピンサロ研究会会員の体験レポートは、主観であるがゆえに大変重要な情報源として、顧客の欲望の壁
を破壊している事を認識し、無料で手に入るマーケティングデータ(競合情報)としてうまく活用するべきだと思います。
- なおこれを意図的に行うのがバイラルマーケティングで、姫やサービスを利用した顧客が友人や同僚に紹介(口コミ)する
ように仕向ける手法です。
- (2)販売コストが低下する
- 料金・システム・姫の紹介時間が要らない、指名予約やオプションを追加するなど、双方の無駄を省けます。
- (3)時間指向原則がはたらく(注2)
- 飲食店等では、仕入れた食材の鮮度や保管などの在庫問題がありますので、1日のお客の回転率が上がった方が良いわけ
ですが、風俗では、あまり高すぎる回転率は、商品である女性の精神と肉体を痛めつけます。良いサービスは、姫に余裕が無い
と生まれません。その意味で、常連客との長時間コースは、相乗効果を生み出すと考えられます。
- (注2)時間指向原則
- 「風俗依存症候群に関する一考察」
で定義されています。一般に風俗が好きになればなるほど、プレイ時間の長さを求めるようになると言われていまし。すなわち、
最初は抜くことが目的であるため抜くための時間があれば十分ですが、慣れるにしたがって探求心が芽生え、さまざま行為を試
してみたくなり、その分時間が必要となります。
■風俗産業・経済研究室からの提案
割チケを財布に忍ばせてうきうきと風俗店に行く。お店選びが特典に左右される事は間違いありません。プレイサービスに付与
される特典は、常連客であってもお遊び意欲を刺激します。
常連客(売上上位顧客)を大切にし、その流出を阻止することに全力を傾注するためには、常連客やリピーターに対して優先的
に特典を投入するという考え方が大事です。もちろんただ闇雲に特典を付ければ良いというものではありません。
リピーターの中でも来店回数が多いプチ常連客だけに提供する「ランクアップカード」や、来店頻度で常連客やリピーターを選別
し優遇する「訪問間隔別カード」など、顧客のVIP意識を刺激するカードを発行するのも有効です。
与える特典にも他の各種特典と併用が可能であることの配慮が必要です。併用ができない割引券をもらったとしてもそれほど嬉
しくありません。割チケを多用している顧客も大事にしてますよとのサインをもらうと、他のお店に行こうかなという気分になった
としても、何となく申し訳ないような気持ちになってしまったりします。
もちろん、リピーター作りのためには接客が基本です。しかし「プレイ以外でも満足して欲しい」という気持ちも非常に
重要なのです。
■まとめ
常連客やリピーターを確保できている事が、店舗の売上・利益率すなわち存続を決めるのは判って頂けたと思います。
では、なぜ京都のお茶屋は衰退して行ったのでしょうか。お茶屋は、上記の成功を全て実現できています。サービス内容が時代
に合わなくなった事もあるでしょう。でも最大の原因は、一見さんお断りだったから、つまり、マーケティングの基本を疎かにし
たからではないでしょうか。お馴染みさんに気持ち良く過ごしてもらう姿勢(常連客を大事にする精神)は、経営方針としては
間違っておりません。しかし、一見さんを全てお断りしお茶屋が顧客をほうきのかみ(注3)と排除するのは、経営の長期戦略として
は成長を捨てている事になります。
一見さんを受け入れ、リピーターにし、常連客にする。そして、常連客を大事にして利益を確保しつつ、新規客の開拓を進める。
常連客を中心にして、成長のスパイラルをいかに描くかが大事であるという事を、お茶屋は教えてくれています。(注4)
- (注3)ほうきのかみ
- 一つの花街でお付き合いできるお茶屋は一軒だけ、というルールを破って複数のお茶屋と付き合う人は「ほうきのかみ」
と言い嫌われます。一種の談合ではないかと思いますが、和の伝統です。
- (注4)お茶屋は教えてくれています
- お茶屋は、芸妓・舞妓さんをデリバリする場所を提供するビジネスと言えます。花街全体で一つの企業を形成し、各お茶屋
が営業店舗という捕らえ方も出来ます。粋に遊ぶ事が文化となった形態であり、お茶屋の馴染みになることは、京都では絶大な
ステータスです。成長は捨てているが存在感は維持している。この研究ノートでは、企業は成長する事を目的にする前提で書いて
おりますので、この様に考えるとマーケティング戦略や経営戦略は変わってくる為に比較対象にできません。
以上、独断と偏見の上、乱文で申し訳ありませんが投稿いたします。
研究部 風俗産業・経済研究室長 黒川洋介 (H18.04.19)
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