by KEN氏
今回は大変悪質な事案で,同種被害に遭っている方も居ると思いますので,公開させていただきます。
過日,本職宛に一通のメールが送信されてきました。
その内容を要約すれば。
デリヘルの親会社たる人物から携帯に電話があり
「うちが経営するデリヘルが未成年者を働かせていたとのことで警察から近々摘発されることになった。あなたは利用したことがありますよね?住所は・・・で、名前は・・・ですね。ちなみに女の子の名前は・・・さんです。あなたの住所と携帯を警察と、女の子の親に渡すことになると思うので電話がかかってくると思うのでそのつもりで」
といった内容。
ただし,当の相談者自身は,未成年であるとは全く知らなかった。そして彼はデリを自宅にしてもらっていたそうである。
「警察に近々摘発されることになった」
一体どういうことでしょうか?摘発された,ならばこれは分かります。しかし「将来される」と言うのはどういうことでしょうか?事前に警察の摘発情報が漏れているのか?捜査対象の被疑者に捜査情報が漏れている。。。とすればこれは全国的なニュースです。以前も風俗店の摘発情報を漏らしていた現職警察官が逮捕されていましたが,捜査官としては被疑者取り違えにも勝る,最悪の不祥事と言っていいでしょう。
「あなたの住所と携帯を警察と、女の子の親に渡すことになると思う」
摘発されれば,記録の一切合財が押収されるのは当然で,警察に渡るのは理解できます。と言うか,確実でしょう。しかし,親に渡すと言うのは全く解せません。重要な顧客情報を流す事は信義則に反します。個人情報保護法がいまだ施行されていない状況では刑事上の責任は問えませんが,民事上は,損害賠償の対象に,十分成り得ると思われます。
「電話がかかってくると思う」
これが最大のポイントです。これで,電話を受けたほうは色々逡巡することになるでしょう。さて,この先どうなるのか。。。言いようもない大きな大きな不安が押し寄せてくる。結局これは,前奏曲,この後の布石なわけで,こう言っておけば,次に親と名乗って電話してきても,何の迷いも,疑いもなく,話が進みます。警察云々は話しに信憑性を持たせ,顧客の個人情報を,一見,正当な経路で入手していると思わせて,親と名乗る者からの電話の意味を事前に理解させるためのものでしょう。実に巧妙で人間の心理を巧く突いています。
冷静に考えれば,親から電話が来ると,予告するのも大変おかしいです。普通の親であれば,こういった事をわざわざ電話するわけがありません,世間的には恥ずかしいことです。常識なる親ならその様な行動は絶対取らない,と言っていいでしょう。娘の恥部を晒して何を求めるのでしょうか?そんな親は一般的には存在しないはずです。もちろん,普通の親でなければ話は別ですが。
この時点で私としては,摘発云々に大きな疑問があるので,親は勿論のこと,警察官でも弁護士でもとにかく電話でコンタクトを取ってきても即答はさけ,その後の対処方法を回答しました。
そして3日後。。。。女の子の父親という人物から連絡があり
「配送記録を見て電話している。何で電話しているか分かっていますね?警察へ被害届けを出します」
といった内容の電話がありました。この時点で相談者は私のアドバイス通りの対処をしてもらいました。この3日間,相談者は悶々とした日々を過ごしてきたかと思います。どれだけ心労があったことか。。。そうです,それが連中の付け目,狙いどころです。直に電話しては信憑性が薄いし怪しまれる。それに思い悩む時間が無い。人間,悪いことは考えれば考えるほどより悪い結果しか導き出せません。3日間と言う時間は,相談者に,悪いほう悪いほうに考えを持っていかせるためです。何とか解決できないか。。。何でもいいから決着を付けたい,真っ当な生活をしている人間ならそう考えて当然でしょう。精神的な疲労がピークに達する時期でもあります。こう言った問題の相談は職場では勿論,気の置ける友人でも中々し難いものです。しかし,あまり時間が立つと,ある意味開き直って誰かに相談してカウンターを打たれる可能性も出てきます,そして冷静になって対処されてしまう。。。相手としてはそれだけは避けたいのです。鉄は熱いうちに打たなければなりません。冷静になることなく混乱した頭で結論が出せる時間,3日間と言う時間はそう言う意味があるわけです。
そして,相談者に若干のアドバイスをして相手方に電話してもらいました。
父親と名乗る男は
「警察へ被害届けを出すつもりでいるのだが、あなたは利用されましたよね。娘は17歳だったんですよ。もし被害届けを出したらあなたの社会的地位もあるので、警察から配送リストをもらって電話している。」
相談者応答は略
父親
「いつ配送したかは分からない。多分1年前ぐらいだと思う。。店の名前は○○のバカラマーケット(仮称)です。最近摘発されて警察から配送リストをもらった。」
相談者は告訴先を教えるように言った
父親
「○○警察本部△△部□□課のアイディード(仮名)さんです。携帯が×××です。携帯以外の番号は分かりません」
相談者応答は略
※ 相談者の受け答えは詐欺グループに手の内を明かすことになるので控えます。
「もし被害届けを出したらあなたの社会的地位もあるので」
これは明らかに金員の詐取を前提としています。3日間で相談者はそれなりに考えて最悪の事態だけは避けたいと考えてある程度の結論を出しているのを知っているはずです。この後,こちらがどうすればいいのか?と聞けば「誠意を見せてください」「示談してもいいですよ」なり言ってくる筈です。そして,何とか解決したいと考えている人は,藁をもすがる思いで,その話に乗ってしまいます。。。。これが彼らの考えるプロセスです。しかし,今回は相談者は早い段階に当会に相談したので相手の思う壺にはまる事はありませんでした。そして,私が想像した以上に冷静に的確に対応したことも見逃せません。
教訓としては,なるべく早期に誰かに相談する,と言うことでしょう。今回の例は私が特殊なアドバイスをしたわけではありません。当会が優れているから解決できたと言うわけでもありません。常識の範囲内で考えたこと,誰が考えても導き出せる答えです。最も重要なのは,第三者が考えた,と言う点が大きなファクターであると思います。
当事者でなければ落ち着いて,冷静に考えることが出来ます,一呼吸置いて一歩下がって物事を見る,と良く言いますが,そんな事が出来るのはよほど肝の据わった人だけです。私でも,きっと当事者になれば混乱してしまうでしょう。そう言う意味で,冷静な目は大変重要です。
最近,デリヘル絡みのトラブル相談が徐々に増えています。今までは,ぼったくり相談がメインでしたが,最近はぼったくり相談がほとんどありません。場合によっては,ぼったくり業者が新たな手段として,デリヘルを使い始めた兆候かもしれません。
相談者に共通するキーワードは
「自宅にデリバリしてもらった」
です。その手軽さ故に自宅にデリバリしてもらっている人が居ますが,トラブルに巻き込まれている人は今のところ,例外なく自宅に派遣してもらっている方です。労せずして自宅の所在地と(携帯)電話番号を入手できるデリヘルはある意味,大変危険です。デリヘルはかなり少額の資金で開業する事が出来,また,開業場所の制限等も無いに等しいので最も手軽にはじめることが出来る性風俗特殊営業です。自宅にデリバリしてもらうのであれば,ある程度の規模と実績を持つ業者以外は避けるべきと言えます。基本的にはホテルを利用するべきでしょう。
また,女の子にとっても危険が潜在しています。ここに具体例を書けばそれを真似しようとする連中が必ず出てきますので,敢えて書きませんが,完全な犯罪行為さえもあると聞いています。泣き寝入りする必要はありません。当会に相談してみてください。もしかしたら何かのお手伝いが出来るかもしれません。相談料はもちろん無料です。
デリヘルはみんなにとって手軽な分,大変な危険を包含しています。良識とリスク管理をきちっとして,愉快に利用してください。
日本ピンサロ研究会 会長 KEN (H16.04.27)