by KEN氏
地域 | 患者発生状況 | 国別患者数 | |
---|---|---|---|
アフリカ | 876,009 | タンザニア | 112,052 |
ケニア | 81,492 | ||
ジンバブエ | 74,782 | ||
アメリカ | 1,030,391 | アメリカ合衆国 | 733,374 |
ブラジル | 145,327 | ||
メキシコ | 42,762 | ||
東地中海 | 7,992 | スーダン | 2,735 |
シブチ | 1,783 | ||
欧州 | 229,350 | スペイン | 56,491 |
フランス | 49,421 | ||
イタリア | 45,605 | ||
東南アジア | 140,246 | タイ | 128,606 |
インド | 8,438 | ||
西太平洋 | 28,872 | オーストラリア | 8,354 |
カンボジア | 6,005 | ||
マレーシア | 4,118 | ||
ベトナム | 3,877 | ||
日本 | 2,066 | ||
2,312,860 |
前年(2000/11)のWHOの報告では2,201,461人であるから,1年で111,399人増加した事になる。ただ,国連合同エイズ計画(UNAIDS)及びWHOでは潜在的なHIV感染者を含めると3,610万人に達し,さらに,2000年だけで新たに530万人の人がHIVに感染したと推計している。
では我が国の現状はどうであろうか,初めてエイズ患者が確認されたのは,アメリカ合衆国から遅れる事4年,昭和60年(1985年)に確認された。以来平成12年末までで,HIV感染者3,905名,AIDS患者1,913名,計5,818名が確認されている。また死亡者累計は同時期で1,205名である。
なお,以上の数字には血液凝固因子製剤による感染者1,432名は計上されていない。血液凝固因子製剤とはいわゆる「血友病」患者に投与される薬剤である。読者諸氏もニュースなどで耳にしたことがあるだろう「非加熱製剤」とよく言われていたがこれは非加熱の(すなわち滅菌処理を施していない)血液凝固因子製剤の事である。それでは以下を参考にしていただきたい。
都道府県別 | 累計報告件数 | ブロック別 累計報告件数 | 構成割合 |
---|---|---|---|
北海道 | 61 | 北海道・東北 165(2.8%) | 1% |
青森県 | 13 | 0.2% | |
岩手県 | 12 | 0.2% | |
宮城県 | 31 | 0.5% | |
秋田県 | 8 | 0.1% | |
山形県 | 11 | 0.2% | |
福島県 | 29 | 0.5% | |
茨城県 | 474 | 関東・甲信越 4,362(75%) | 8.2% |
栃木県 | 153 | 2.6% | |
群馬県 | 107 | 1.9% | |
埼玉県 | 282 | 4.9% | |
千葉県 | 473 | 8.1% | |
東京都 | 2,007 | 34.5% | |
神奈川県 | 509 | 8.7% | |
新潟県 | 62 | 1.1% | |
山梨県 | 70 | 1.2% | |
長野県 | 225 | 3.9% | |
富山県 | 16 | 北 陸 45(0.8%) | 0.3% |
石川県 | 7 | 0.2% | |
福井県 | 21 | 0.4% | |
岐阜県 | 42 | 東 海 455(7.8%) | 0.7% |
静岡県 | 150 | 2.5% | |
愛知県 | 186 | 3.2% | |
三重県 | 77 | 1.3% | |
滋賀県 | 16 | 近 畿 529(9.1%) | 0.3% |
京都府 | 66 | 1.2% | |
大阪府 | 323 | 5.5% | |
兵庫県 | 75 | 1.3% | |
奈良県 | 29 | 0.5% | |
和歌山県 | 20 | 0.3% | |
鳥取県 | 3 | 中国・四国 99(1.7%) | 0.1% |
島根県 | 5 | 0.1% | |
岡山県 | 9 | 0.2% | |
広島県 | 29 | 0.5% | |
山口県 | 11 | 0.2% | |
徳島県 | 4 | 0.1% | |
香川県 | 8 | 0.1% | |
愛媛県 | 19 | 0.3% | |
高知県 | 11 | 0.2% | |
福岡県 | 71 | 九州・沖縄 163(2.8%) | 1.2% |
佐賀県 | 2 | 0% | |
長崎県 | 16 | 0.3% | |
熊本県 | 16 | 0.3% | |
大分県 | 6 | 0.1% | |
宮崎県 | 3 | 0% | |
鹿児島県 | 19 | 0.3% | |
沖縄県 | 30 | 0.5% | |
5818 |
感染原因別(2000/12/31現在)
異性間性的接触 | 同性間性的接触 | その他・不明 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|---|
男性 | 総数 | 1660 | 1563 | 971 | 4194 |
うち患者 | 733 | 436 | 474 | 1643 | |
女性 | 総数 | 1002 | 0 | 622 | 1624 |
うち患者 | 153 | 0 | 117 | 270 | |
合計 | 総数 | 2662 | 1563 | 1593 | 5818 |
うち患者 | 886 | 436 | 591 | 1913 |
国籍別(2000/12/31現在)
日本 | 外国 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|
男性 | 総数 | 3354 | 840 | 4194 |
うち患者 | 1301 | 342 | 1643 | |
女性 | 総数 | 443 | 1181 | 1624 |
うち患者 | 106 | 164 | 270 | |
合計 | 総数 | 3797 | 2021 | 5818 |
うち患者 | 1407 | 506 | 1913 |
現在最も危険なのが残念ながら我々が最も関係深い「性感染」である。それでは実際の風俗の現場における行為の態様による感染の危険について考えてみる。
まずキスであるが,基本的には前述の通り唾液による感染の可能性がほぼ否定されている現状では感染しないと考えていいであろう。ただし,口腔に傷などがあり血液が出ている場合などは感染の危険を否定できない。また,歯槽膿漏等の歯周病で出血している場合も感染の危険がある。
フェラについては若干の危険を伴うものと考えられる。女性から見た場合,射精により口腔中に精液が放出される事になる。当然であるがこれを飲み込めば感染の危険が高まるのは言うまでもない。しかし一般的には吐き出してその後ポリビニールピロリドンヨウ素剤もっと一般的な商品名では「イソジン」で消毒すればほぼ感染を防げるものと思われる。その前に流水により十分洗浄すればさらに理想的である。
男性の側から見れば,基本的に女性の唾液のみであり感染の危険はないものと考えられる。ただし,前述の通り何らかの要因で血液が唾液に混入していれば危険がある。
クリニングスもフェラ同様の可能性がある。女性の場合は男性の唾液に何らかの要因で血液が混入していれば危険がある。が膣の中まで到達する事はその構造を考えるとあまりないのではないだろうか。男性の場合は女性の膣分泌液を飲み込む等すれば危険があるものと思われる。しかし,いずれの場合も女性の同性愛者の感染がない事を考慮すれば,ほぼ危険はないと言っていいであろう。
セックスについてはコンドームを使っていればまず感染の心配はないと言ってもよい。事実コンドームはHIV予防において最も効果があると言われており,医療関係者も肯首するところである。言うまでもないがいわゆる「ナマ」での行為はHIV感染という点では自殺行為に等しい。
アナルセックスは最も危険度が高いものと思われる。女性の膣は性交に適した機能を有している。男性器が挿入されれば膣分泌液を分泌し,潤滑油のような役目を果たし,その運動をサポートして容易にしてくれる。ところが肛門は本来が排泄器官であり膣のような機能性は持ち合わせていない。そこに男性器を挿入すると膣とは比較にならないほどの摩擦が発生し,その摩擦によって粘膜が傷つき出血する。男性同性愛者にHIV感染者が多いと言うより,アナルセックス愛好者にHIVが多いと言うべきなのである。セックスは危険だからアナルセックスをしているなどと言うのはこれはとんでもない誤解である。コンドームもこのような摩擦を前提に作られているわけではないはずであるから,危険と言うほかない。(是非アナルセックスに耐えうるコンドームを開発していただきたい)
以上を考察すれば意外に風俗でのHIV感染の可能性は低い事がわかる。ソープでも基本的にコンドームを使用すれば感染を防げるし,ヘルス,ピンサロ等も最近は消毒剤の使用をまめにしており,渋谷などでコギャルをナンパしてエッチするよりもよほど安全性は高いものと考えていいであろう。
一時の快楽のために感染の危険を犯すのは愚者のする事である。ある病院のマニュアルによれば,手術等の場合,処置前にHIV抗体検査の諾否を患者に確認し,承諾した場合は抗体検査を実施し検査結果により対処するが,拒否した場合は原則として「感染している」ものとみなし対処するそうである。すなわち,不明な場合は最悪を前提に対処すると言う事だ。これなら患者が感染していなければそれに越した事はないが,よしんば感染していても「感染している」ものとして対処しているので問題がない。我々も性生活においてこの医療現場の姿勢は参考にしなければならない。
今後営業側がとるべき措置は,やはり,風俗嬢の血液等検査の積極的推進が求められる。客を守る以上に彼女たちを守るという意味でも,また,社会防衛の一環として考えてもらいた。感染の事実が早期にわかれば絶望する事はない,AIDS発症の確率をかなり低くする事ができるだ。それについては後述する。さらに店舗を常に清潔に保つと言う事も重要である。常にこまめな清掃を心がけてもらいたい。
また,客に検査機関発行の無感染の証明の提示を義務付けてもいいであろう。何を突飛な,と思うかもしれないが,将来のためにも考えなければならない。我々の負の遺産を次世代に残してはならないのだ。リスクは避けるに越した事はないのだ。
場合によっては店舗に対して風適法若しくは感染症新法などで,定期的な検査を義務付けるようにするような施策も望まれる。経済活動に国が嘴をはさむとろくな事はない,規制を緩めるのはよい事だが,必要な規制はしなければならない。店舗型性風俗特殊営業として認めたのであるから,それは国家として為すべき当然の義務と言って差し支えないであろう。
参考のため,以下に不活性化実験等に基づくデータを掲げる。不活性化とはすなわちウィルスを感染できないレベルまで滅菌することである。
データを見るときの注意として,この値なら不活性化するのが確実という事であり,これ以下では不活性化しないという意味ではない。確認がなされていないと言う事であり,不活性化するかしないかは分からない,という事である。
HIVの不活性化実験に基づくデータ | WHOが示した消毒法 | |
---|---|---|
煮沸 | 10分(F) | 20分 |
次亜塩素酸ナトリウム | 100ppm・30分(F) 52.5ppm(M) | 0.5% 10分〜30分 |
グルタールアルデヒド | 2%・15分(F) | 2%・10分〜30分 |
ホルマリン水 | 1%・20分・37C(F) 0.5%(M) | 5%・10分〜30分 |
イソプロピルアルコール | 50%・5分(F) 35%(M) | − |
エタノール | 80%・5分(F) 50%(M) | 70%・10分〜30分 |
紫外線・放射線 | 不活性化されない(S) | − |
しかしだからと言って甘く見てはいけない,10%以下と言う数字は「適切な医療処置を受ける」という前提でのことである。放置すれば概ね10年で死亡すると言われているのだ。そしてその適切な治療には生活習慣の改善なども含まれ,相応の精神力,忍耐力,継続性を要する。それを生きている間続けなければならないのだ。
現在の治療法は基本的に「発症を遅らせる」という考え方だ。それも1年や2年ではなく,平均的な寿命まで,老衰死するまでだ。そのために「カクテル療法(多剤併用療法)」という処置がとられる。これは核酸系逆転写酵素阻害剤2剤にプロテアーゼ阻害剤1〜2剤または非核酸系逆転写酵素阻害剤1剤を同時に投与する治療法である。これらはそれぞれに服用間隔が異なったりするのだが,それもきっちり守らなければならない。そして何よりもこれらの薬剤は非常に高価である。純粋な薬価で見ると少なくとも月に十数万はかかるようだ。もちろん保険が適用されるであろうから実際の負担はそこまで行かないが,それでも月に薬代だけで3万4万は当たり前のようである。中には社会保険を利用して会社に露見するのを恐れて自費で治療している人もあるやに聞いているが,その経済的負担は想像を絶するものがある。生きていくためにそれだけの負担がかかるのだ。
日本ピンサロ研究会 会長 KEN