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風俗愛好者のための法律講座 その8

「神奈川県青少年保護育成条例」 by KEN氏

 今回は買春処罰法、風適法と密接な関係にある、青少年保護育成条例を取り上げてみたい。ちなみに今回は神奈川県をモデルケースとする。他の自治体もおおむね同様と思われる。但し東京都の場合は大きく異なり「青少年育成条例」であり、「保護」が抜けている。これはかなり有名な話だが、東京都のみ未成年者と性交しても罰則がない。ナンパしたらとりあえず東京都に行くことをお薦めする。

1 目 的

 青少年の健全な育成を図るため、これを阻害するおそれのある行為を防止することを目的とする。

2 定 義

・青少年
 小学校就学の始期から満18歳に達するまでの者(婚姻により成年に達したものとみなされる者を除く。)つまり、高校3年生でも条例の保護対象となる者とならない者がある訳である。また既婚者は18未満でも民法上は成年者と看做される(成年擬制、民法753条)ので本条例に言う青少年とはならない。この民法上の成年擬制を刑事法令で適用しているのを、私は本条例で初めて見た。他の刑事法令ではあまり見られない規定である。これは本条例特有のものであるから注意が必要。

・保護者
 親権者、後見人、児童福祉法7条に規定する児童福祉施設の長その他の者で青少年を現に監督保護する者。この場合の保護者は民法上の親権者(民法818条)後見人(民法838条)であることを要件としない。例えば戸籍上は実親の籍のままでも,実態は祖父母や叔父母が育ている場合などはその者が条例上の保護者となる。(民法上の保護者は実親となる)

・興行 映画、演劇、演芸、見せ物その他これらに類するもので規則で定めるもの。

・図書類
 書籍、雑誌、文書、絵画、写真、ビデオテープ、ビデオディスク、録音テープ、録音盤、フロッピーディスク、シー・ディー・ロムその他これらに類するもので規則で定めるもの。

・がん具類
 がん具、刃物(銃砲刀剣類所持等取締法2条2項に規定する刀剣類を除く。)その他の物品及び器具類。

・広告物
 屋内又は屋外で公衆に表示されるものであつて、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建物その他の工作物等に掲出され又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。

・テレホンクラブ等営業
 電気通信事業法49条1項に規定する端末設備(電話機)を利用して、専ら異性間の会話の機会の提供又は伝言の媒介をする営業。

・テレホンクラブ等営業所
 テレホンクラブ等営業を営むために前号の端末設備を設置する場所。

・利用カード
 テレホンクラブ等営業を営む者の提供する役務を利用するために必要な電話番号、会員番号、暗証番号等の情報が記載されているカードその他の物品であつて、提供される役務の数量に応ずる対価を得て発行されるもの。

3 青少年の健全育成を阻害するおそれのある行為の制限等

[深夜外出の制限]
 何人も正当の理由なく保護者の嘱託又は承諾を得ないで、深夜に青少年を同行して外出してはならない。 ナンパで女の子と23:00〜4:00の間で遊んでいれば当然本規制に抵触する。

[有害興行の指定及び観覧の禁止]
 知事は、興行を有害興行として指定できる。指定をしたときは、当該興行を主催する者又は興行場営業を営む者にその旨が速やかに通知される。指定される興行は

 ・青少年の性的感情を著しく刺激し、その健全な育成を阻害するおそれがあるもので規則で定める基準に該当するもの

 ・青少年の粗暴性又は残虐性を甚だしく誘発し、又は助長し、その健全な育成を阻害するおそれがあるもので規則で定める基準に該当するもの

[有害図書類の指定及び販売等の禁止]
 知事は、当該図書類を有害図書類として指定することができる。(裁量的指定)指定をしたときは、新聞にその旨を速やかに掲載する。指定される図書類は

 ・青少年の性的感情を著しく刺激し、その健全な育成を阻害するおそれがあるもので規則で定める基準に該当するもの

 ・青少年の粗暴性又は残虐性を甚だしく誘発し、又は助長し、その健全な育成を阻害するおそれがあるもので規則で定める基準に該当するもの

上のいずれにも該当しない図書類でも、次の場合は有害図書類とする。(画一的指定)

 ・書籍又は雑誌であって、全裸、半裸若しくはこれらに近い状態での卑わいな姿態又は性交若しくはこれに類する性行為(卑わいな姿態等)を被写体とした写真又は描写した絵で規則で定めるものを掲載するぺ一ジ(表紙を含む。以下同じ。)の数が、20ぺ一ジ以上であるもの又は当該書籍若しくは雑誌のぺ一ジの総数の5分の1以上であるもの。つまりこの制限に抵触しないように雑誌等を制作する場合、96ページで卑わいな姿態等の写真が19ページが許容される最大の紙数となる。

 ・ビデオテープ又はビデオディスクであって、卑わいな姿態等を描写した場面で規則で定めるもの時間が合わせて3分を超えるもの。

 以上の裁量的・画一的指定を見てみると、次のような場合は指定されない事となる。すなわち、裁量的指定の基準に該当しない図書類で、雑誌とCD−ROMの双方で全く同様の内容のものを出版したと仮定し、雑誌について総ページ数100ページで、そのうち規制されるものを20ページ含んでいれば画一的指定により有害図書類となる。しかし、全く同様の内容でもそれがフロッピーディスク、CD−ROMであれば本条例の条文を見る限り、有害図書類に指定する事はできない。

 なお,何人も、青少年に対し、有害図書類を販売し、頒布し、交換し、贈与し、若しくは貸し付け、又は読ませ、聴かせ、若しくは見せてはならない。要は青少年に有害図書を見せてもいけないという事である。

[有害図書類の陳列場所の制限]
 図書類の販売又は貸付けを営む者は、有害図書類を陳列するときは、当該有害図書類を他の図書類と区分し、青少年の目に付かない場所又は屋内の容易に監視することができる場所に置かなければならなず、これを守らない者に対し、知事は、図書類の販売又は貸付けを営む者に対し、必要な措置を勧告することができる。勧告に従わないときは、期限を定めて、当該勧告に従うべきことを命ずることができる。

[有害がん具類の指定及び販売等の禁止]
 知事は、がん具類を有害がん具類として指定することができる。指定される玩具類は

 ・青少年の性的感情を著しく刺激し、その健全な育成を阻害するおそれがあるもの
 ・人の生命又は身体に危害を及ぼし、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあるもの

 上の規定にかかわらず、次の各号のいずれかに該当するがん具類は、有害がん具類とする。

 ・専ら性交又はこれに類する性行為の用に供する物品で規則で定める形状、構造又は機能を有するもの
 ・使用済みの下着である旨の表示をし、又はこれと誤認される表示をし、若しくは形態を用いて、包装箱その他の物に収納されている下着。但し、未使用の下着であれば当然規制対象とならないが、使用済みでも「包装箱その他の物に収納されていないもの」すなわち現物そのままであれば規制対象ではない。

 何人も青少年に対し、有害がん具類を販売し、頒布し、交換し、贈与し、若しくは貸し付け、又は見せ、若しくは触らせてはならない。よく見ると凄い規定である,見せることも触らせる事も出来ない。厳密に解釈すれば,警察官や教師が現物を示して「これは人を殺すこともできる危険な物だから使ってはいけませんよ」と指導することも出来ないことになる。

[自動販売機等の設置の届出等]
 自動販売機又は自動貸出機により図書類又はがん具類の販売又は貸付けを営もうとする者は、販売又は貸付けを開始する日の10日前までに、自動販売機等ごとに、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

 ・氏名又は名称、住所又は事務所の所在地及び電話番号並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 ・自動販売機等の設置場所
 ・自動販売機等を管理する者(自動販売機等管理者)の氏名、住所及び電話番号
 ・販売又は貸付けを開始しようとする年月日
 ・自動販売機等に収納する図書類又はがん具類の種類
 ・自動販売機等の名称、型式及び製造番号
 ・その他規則で定める事項

 自動販売機等管理者は、自動販売機等に収納されている図書類又はがん具類が有害図書類又は有害がん具類に該当することとなったときに、直ちに当該有害図書類又は有害がん具類の撤去の措置をとることができる者でなければならない。

届出をした者は、当該届出に係る事項に変更があったとき又は当該届出に係る自動販売機等の使用を廃止したときは、その変更があった日又は廃止をした日から20日以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。なお、届出をした者は、規則で定めるところにより、自己の氏名又は名称、住所又は事務所の所在地及び電話番号を当該届出に係る自動販売機等の見やすい箇所に表示しなければならない。変更の届出をしたときも、同様とする。

この届出は有害図書の販売をするか否かに拘わらず、図書類の自販機を設置する場合、その販売する図書がいかなる物でもすべての自販機について必要的に科せられた義務である

[有害図書類及ぴ有害がん具類の自動販売機等への収納禁止]
 自動販売機等により図書類又はがん具類の販売又は貸付けを営む者(自動販売業者)は、有害図書類又は有害がん具類を自動販売機等に収納してはならない。

 自動販売業者又は自動販売機等管理者は、当該自動販売業者の設置する自動販売機等に収納されている図書類又はがん具類が有害図書類又は有害がん具類に該当することとなったときは、直ちに当該有害図書類又は有害がん具類を自動販売機等から撤去しなければならない、

[自動販売機等に関する適用除外]
 自販機設置届出、有害物品収納禁止の規定は次に掲げる場所(青少年立入禁止場所)に設置される自動販売機等については、適用しない。

 ・風適法2条1項に規定する風俗営業及び同条第6項に規定する性風俗特殊営業に係る営業所
 ・4条8号に規定するテレホンクラブ等営業所

[有害広告物の制限]
 知事は、広告物の内容が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その広告主又は管理者に対して、当該広告物の内容の変更、当該広告物の撤去その他必要な措置を命ずることができる。ただし、青少年立入禁止場所において外部から見えない場所に掲出され、又は表示されている広告物については、適用しない。

 ・青少年の性的感情を著しく刺激し、その健全な育成を阻害するおそれがあるもので規則で定める基準に該当するもの
 ・青少年の粗暴性又は残虐性を甚だしく誘発し、又は助長し、その健全な育成を阻害するおそれがあるもので規則で定める基準に該当するもの

 ここで言う有害広告物は、本条例で規制される有害図書類、テレクラのもの、のみならず、上の基準に該当するもの総てを言う。例えば店舗型性風俗特殊営業やポルノ映画、ホラー映画等の広告、宣伝も該当する場合が当然起こりうる。ただし,風適法の広告規制と異なるのは,区域を指定していないことと,事後的に規制されるということである。要は知事が有害広告物と認めなければ何をしてもよい。

[有害広告文書の制限]
 図書類又はがん具類に係る広告で、卑わいな姿態等を被写体とした写真又は描写した絵で規則で定めるものを掲載する文書は、青少年の性的感情を著しく刺激し、その健全な育成を阻害するおそれがあるものとして、これを有害広告文書とする。
 何人も、有害広告文書を戸別に頒布してはならない。ただし、規則で定める方法による場合又は規則で定める場所については、この限りでない。なお、違反者に対し知事は、当該違反行為の中止を命ずることができる。

 本規制で想定されていると思われるのは,いわゆる「ちらし」と言った類の物であろう,つまり看板やポスターのことではない。また「戸別」に頒布するのが禁止されているだけで駅前で頒布する等は規制の対象外である。ちなみに有害広告物と異なり,文書そのものが違法性を問われるわけではなく,文書の頒布方法が規制されているだけである。
本規制は有害広告物と異なり、図書類、がん具類に限定される。

[射幸心誘発行為の禁止]
 何人も青少年に対し、次のいずれかに該当する行為をさせてはならない。

 (1)パチンコ遊技
 (2)射的遊技
 (3)マアジャン屋において行うマアジャン遊技
 (4)その他競輪等で射幸心をそそるおそれのある行為のうち知事が定めるもの

[指定飲食店への立入禁止]
 知事は、飲食店、喫茶店、お好み焼屋その他設備を設けて客に飲食させる営業(風俗営業,性風俗特殊営業又は旅館業法の適用を受ける営業を除く。)の設備又はその営業の内容が、次のいずれかに該当する場合で、青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると認めるときは、当該営業所の全部又は一部を青少年の立入禁止の場所として指定することができる。この場合当該営業所の営業者にその旨を速やかに通知しなければならない。さらに指定を受けた者は、直ちに、知事が別に定める標識を当該指定に係る場所の見やすい箇所に掲示し、その営業時間中に、当該場所に青少年を立ち入らせてはならない。

 ・客室若しくは客席にかぎのかかる設備をし、又は客室若しくは客席の内部の見通しを妨げる設備をしているもの
 ・客室又は客席に著しく性的感情を刺激する装置、照明、装飾品等を使用しているもの
 ・そのほか、官能的雰囲気を醸し出す業態のもの

指定の理由が消滅したときは、知事は、当該営業所の営業者の申請によって、指定場所の全部又は一部を解除し、その旨を神奈川県公報に登載しなければならない。

[質受け、買受けの禁止]
 何人も、青少年から物品を質に取り、買い受け又は質入れ若しくは売却の委託を受けてはならない。
 質屋及び古物営業法2条4項に規定する古物市場主は、青少年を営業所又は古物市場内に立ち入らせてはならない。但し、保護者が同行する場合、保護者が同意したと認めるに足りる相当の理由がある場合、青少年がこれらを業とし又は業とする者に雇用されている場合及びその他真にやむを得ないと認められる場合においては適用しない。

[入れ墨の禁止]
 何人も、青少年に対し、入れ墨を施してはならなず、入れ墨をするように勧誘し、又は周旋してはならない。

[みだらな性行為、わいせつな行為の禁止]
 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。また、これを教え、見せてはならない。

 「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交をいい、「わいせつな行為」とは、いたずらに性欲を刺激し、又は興奮させ、かつ、健全な常識を有する一般社会人に対し、性的しゆう恥けん悪の情をおこさせる行為をいう。
みだらな性行為は「SM」や特別な体位でする性交の事を言っているわけではない。行為の態様を言っているのではなく,その性交の精神的面から見た「みだら」である。当然ナンパしてすぐであれば本規制に該当する。なお,援助交際は「買春処罰法」で規制されるので本条例は適用されないが,児童買春の要件を満たされないが,本規制の要件には該当する場合は当然に本条例で処断される。

 また,規制されるのは性交ばかりではない事も念頭に入れておくべきだろう。エッチなことをすればすべて処罰対象と思っておけば間違いない。

[場所の提供等の禁止]
 何人も、情を知って、みだらな性行為、わいせつな行為をする場所を提供し、又は周旋してはならない。
なんの気なしに友達に部屋を貸したりしても,何をするのか知っていれば本条例で処断されるということである。

[有害薬品類等の販売等の禁止]
 何人も、催眠、めいてい、興奮、幻覚等の作用を有する薬品類等で知事が別に定めるものを、不健全な目的に使用するおそれがあることを知って、青少年に販売し、頒布し、又は贈与してはならない。

5 テレホンクラブ等営業の制限等

[テレホンクラブ等営業所の届出]
 テレホンクラブ等営業を営もうとする者は、営業を開始する日の10日前までに、テレホンクラブ等営業所ごとに、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

 ・氏名又は名称、住所又は事務所の所在地及び電話番号並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 ・テレホンクラブ等営業所の名称、所在地及び電話番号
 ・営業を開始しようとする年月日
 ・その他規則で定める事項

 届出をした者は、当該届出に係る事項に変更があったとき又は当該届出に係る自動販売機等の使用を廃止したときは、その変更があった日又は廃止をした日から20日以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

[テレホンクラブ等営業所の禁止区域等]
 テレホンクラブ等営業所は、次に掲げる施設の敷地の周囲200メートルの区域内においては、これを設けてはならない。

 ・学校教育法1条に規定する学校(大学を除く。)
 ・図書館法2条1項に規定する図書館
 ・博物館法2条1項に規定する博物館及び同法第29条に規定する博物館に相当する施設
 ・社会教育法20条に規定する公民館
 ・児童福祉法7条に規定する児童福祉施設
 ・医療法1条の5第1項に規定する病院及ぴ同条3項に規定する診療所で患者の収容施設を有するもの
 ・都市公園法2条1項に規定する都市公園
 ・旅館業法施行条例昭和32年神奈川県条例第64号)1条1項7号の規定により指定された施設
 ・その他多数の青少年の利用に供される施設で規則で定めるもの
 ・そのほか、テレホンクラブ等営業所(客を入店させるものに限る。)は、都市計画法8条1項1号に規定する第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及ぴ準住居地域(以下「住居系地域」という。)においては、これを設けてはならない。

 なお、これらの規定の適用の際現に届出をしてテレホンクラブ等営業を営んでいる者のテレホンクラブ等営業所については、当該適用の日から2年間は、適用しない。

 この,テレクラの禁止区域はちょっと凄い,当研究会の「改正風営法の4規制及び遵守事項等(店舗型性風俗特殊営業に関するもの)」を見て頂ければ分かると思うが,性風俗特殊営業の絶対的禁止区域よりもさらに厳しい規制がなされている。風適法のように特例的禁止区域は設けられていないがそれにしても厳しい規制である。それに輪をかけてきついのが区域内にある営業所は2年を経過したら営業できないという規定。風適法もここまで厳しくない,既設の営業所は規制から除外されているのだ・・・これでは憲法22条1項に抵触しているような気がしないでもないが。条例でここまで規制して良いものか疑問なしとはしない。

[利用カードの販売等の禁止]
 何人も、青少年に対し、利用カードを販売し、頒布し、交換し、贈与し、又は貸し付けてはならない。
 利用カードの販売を営む者は、青少年立入禁止場所を除き、自動販売機に利用カードを収納してはならない。

[利用カード販売の届出]
 利用カードの販売を営もうとする者は、販売を開始する日の10日前までに、販売をする場所ごとに、規則で定めるところにより、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

 ・氏名又は名称、住所又は事務所の所在地及ぴ電話番号並びに法人にあっては、その代表者の氏名
 ・利用カードの販売をする場所の名称、所在地及び電話番号
 ・販売を開始しようとする年月日
 ・その他規則で定める事項

 届出をした者は、当該届出に係る事項に変更があったとき又は当該届出に係る自動販売機等の使用を廃止したときは、その変更があった日又は廃止をした日から20日以内に、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

[テレホンクラブ等営業に係る広告物の表示制限]
 何人も、テレホンクラブ等営業所の名称、所在地若しくは電話番号又は利用カードを販売する場所(テレホンクラブ名等)を記載した広告物を掲出し、又は表示してはならない。ただし、青少年立入禁止場所において外部から見えない場所に掲出され、又は表示される広告物及び届出をした者の当該届出に係るテレホンクラブ等営業所(住居系地域に設けられたものを除く。)に係る建物に掲出され、又は表示される広告物で規則で定めるものについては、この限りでない。
 また、知事は、規定に違反して広告物を掲出し、若しくは表示し、又は前項め規定に違反してテレホンクラブ広告文書等を配置しているときは、当該テレホンクラブ等営業を営む者に対し、当該広告物の内容の変更、当該広告物の撤去その他必要な措置又は当該テレホンクラブ広告文書等の撤去その他必要な措置を命ずることができる。
早い話がテレクラに関する広告は店の中以外出来ないと理解した方がいい。

 何人も、青少年立入禁止場所を除き、公衆電話ボックスその他の規則で定める場所に頒布を目的としてテレホンクラブ名等を記載した文書、図画その他の物品(テレホンクラブ広告文書等)を置いてはならない。要は最近問題になっている「ピンクちらし」を規制しているわけである
 また、テレホンクラブ等営業を営む老若しくはその代理人等又はこれらの者から当該営業に係る広告について委託を受けた者は、青少年に対し、テレホンクラブ広告文書等を頒布してはならない。

[テレホンクラブ等営業を営む者の禁止行為等]
 テレホンクラブ等営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。

 ・青少年に対し、テレホンクラブ等営業所へ電話をかけるよう指示し、又は勧誘すること。
 ・青少年をテレホンクラブ等営業所に客として立ち入らせること。
 ・ 青少年を第4条第7号に規定する会話をし、又は伝言をし、若しくは受ける業務に従事させること。
 ・ テレホンクラブ等営業を営む者若しくはその代理人等又はこれらの者から当該営業に係る広告について委託を受けた者は、青少年をテレホンクラブ広告文書等を頒布する業務に従事させてはならない。

 テレホンクラブ等営業を営む者は、テレホンクラブ等営業所の入り口の見やすい箇所に、青少年の立入りを禁止する旨を表示しなければならない。

[従業者名簿]
 テレホンクラブ等営業を営む者は、テレホンクラブ等営業所ごとに、従業者名簿を備え、これに当該営業に係る業務に従事する者の住所、氏名その他規則で定める事項を記載しなければならない。
 風適法ではPCのメディアに従業者名簿相当の事項が記録されていれば良しとされるが,本条例ではそのような規定はないので昔ながらの「帳簿」形式でなければいけない。

[営業の停止等]
 知事は、テレホンクラブ等営業を営む者又はその代理人等が、当該営業に関し、次の各号のいずれかに該当する行為をしたとき、又はテレホンクラブ等営業を営む者が第26条第3項の規定による命令に違反したときは、当該テレホンクラブ等営業を営む者に対し、6月を超えない範囲内で期間を定めて当該テレホンクラブ等営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 (1)この条例に規定する罪(禁止区域違反を除く。)に当たる違法な行為
 (2)わいせつ物頒布等罪、淫行勧誘罪に当たる違法な行為
 (3)売春防止法の刑事処分に規定する罪に当たる違法な行為
 (4)児童福祉法34条1項6号(児童淫行)又は9号(無権利者有害支配)の規定に違反する行為
 (5)労働基準法56条1項(最低年齢違反)又は61条1項(児童深夜業使用)の規定に違反する行為
 知事は、上の場合において、当該テレホンクラブ等営業を営む者が禁止区域内又は住居系地域においてテレホンクラブ等営業所を設けているものであるときは、その者に対し、前項の規定による停止の命令に代えて、当該テレホンクラブ等営業所に係るテレホンクラブ等営業の廃止を命ずることができる。

 廃止を命じられるのは禁止区域内で営業停止相当の行為をした場合に限られる。風適法などは薬物事犯,ノミ行為等広範に規定しているが,本条例はわずか6つの罪に限られている。経営者が覚せい剤の売人として逮捕されても廃止を命ずることは出来ない。まぁ2年経過すれば禁止区域内にあるすべての業者が撤退しなければならないのだから構わないのかもしれないが,少し規制が緩いような気がしてならない。

[立入調査]
 知事の指定した者及ぴ警察官は、この条例実施のため必要があると認めるときは、興行場その他の営業所内に立ち入り、調査を行い、関係人から資料の提供を求め、又は関係人に対して質問することができる。
 この手続は、必要の最少限度において行うべきであって、関係人の正常な業務を妨げるようなことがあってはならなず、この調査を行う場合は、その身分を示す証票を関係人に呈示しなければならない。
 立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

6 罰則

[2年以下の懲役又は100万円以下の罰金]
 *青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をした者
 類似規定:買春処罰法4条(懲役3年以下・罰金100万円以下)
     :児童福祉法34条6項(懲役10年以下・罰金50万円以下)

[1年以下の懲役又は50万円以下の罰金]
 *青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為を教え、又は見せてた者
 類似規定:買春処罰法4条(懲役3年以下・罰金100万円以下)
     :児童福祉法34条6項((懲役10年以下・罰金50万円以下)

 *みだらな性行為又はわいせつな行為の場所を提供した者
 類似規定:買春処罰法5条1項(懲役3年以下・罰金300万円以下)

 *営業停止・廃止命令違反

[6月以下の懲役又は30万円以下の罰金]
 *禁止区域違反
 *テレクラ禁止行為違反

[30万円以下の罰金]
 *有害図書類販売等違反
 *勧告命令違反
 *有害がん具類販売等違反
 類似規定:銃刀法21条の2第2項(懲役6月以下・罰金20万円以下)

 *有害図書類・がん具類自販機収納、有害図書類・がん具類排除義務違反
 *有害広告物撤去等命令違反
 *有害広告文書頒布中止命令違反
 *利用カード販売等違反
 *広告文書等頒布違反
 *青少年広告文書頒布等業務従事違反
 類似規定:労働基準法62条2項(懲役6月以下・罰金30万円以下)

[20万円以下の罰金]
 *深夜青少年同行
 *有害興行観覧
 *自販機設置・廃止届出違反
 *立入禁止標示違反
 *質受け、買受け違反
 類似規定:古物営業法15条1項本文(懲役6月以下・罰金30万円以下)
     :質屋営業法13条前段(懲役6月以下・罰金1万円以下)

 *入墨施用
 類似規定:暴対法24条(懲役1年以下・罰金100万円以下)

 *有害薬品等販売等禁止違反
 類似規定:毒劇法3条1項,3項,3条の2第7項(懲役3年以下・罰金5万円以下)

 *テレクラ営業開始・廃止届出違反
 *利用カード販売営業開始・廃止届出違反
 *従業者名簿設置義務違反

[10万円以下の罰金]
 *自販機名称等標示義務違反
 *入墨周旋等違反
 類似規定:暴対法24条(懲役1年以下罰金100万円以下)

 *青少年立入禁止標示義務違反
 *調査妨害等
 類似規定:刑法95条(懲役又は禁錮3年以下)

[過失犯の処罰]
 有害図書類販売等、有害がん具類販売等、立入禁止表示義務違反、質受け、買受け違反、入墨施用、入墨周旋等違反,みだらな性行為又はわいせつな行為をした者、場所提供等、有害薬品類等販売等、利用カード販売等、広告文書等頒布違反,テレクラ禁止行為違反,青少年広告文書頒布等業務従事違反をした者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、処罰を免れることができない。ただし、当該青少年の年齢を知らないことに過失がないときは、この限りでない。買春処罰法と同じ規定である。詳細は当研究会の買春処罰法の適用上の留意事項(過失犯の処罰)を参照して頂きたい。

[両罰規定]
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。

[法律の優越]
 罰則規定に該当する場合において、刑法その他の法律に正条があるときは、これらの法律による。

[青少年の不処罰]
 この条例に違反した者が、青少年であるときは、この条例の罰則は、青少年に対しては適用しない。

7  終わりに

 以上青少年育成条例を見てきたが,テレクラがここまで厳しく制限されているとは知らなかった。我が街からテレクラが消えた理由がよく分かった。

 実際のところ育成条例違反で逮捕されることはないと思っている方もいると思うので一言言っておけば,逮捕される方は思ったよりいる。大人は補導や保護といったことはないので明らかな法令違反しか身柄を拘束されないが,少年(少女)は虞犯(ぐはん)といって何か悪いことをしそうだと言うだけで補導される。
 例えば家出少女なんかもこの対象である。そして彼女たちは警察官に家出中の足取りを聞かれるといとも簡単に今までのことを話す傾向があり,そのとき「誰々さんの家に泊めて貰ってやっちゃった」とか「ナンパしてきた誰々さんとホテルにに行った」と平気でさえずってしまうのです!その人たちがどうなるかを考えずに・・・以外にこのパターンで逮捕される方はいるようです。充分注意しないといけません。何にしても本当に愛していなければ子どもに手を出すのは止めましょう,それならイメクラでも行った方がいいです。あなたの人生のためにも。