by JT氏
現在の、都市空間の集客力は、繁華街の有無に大きく左右される。また一般市民の消費動向は、繁華街によって決定されるといっても過言ではない。それは日本の風俗産業においても例外ではない。しかし、東京におけるピンクサロン(以下ピンサロと略す)の存在地域分布を見てみると、特異性を見出す事ができる。そこで、ここでは、ピンサロのエルドラドである、中央線沿線を分析する事により、今後の展開を考察してみたい。
2.中央線沿線における、ピンサロの地域分布
大まかに、3地域に分類する事が出来る。
1) 新宿から西荻窪まで 首都圏地域
2) 吉祥寺、三鷹 武蔵野地域
3) 国分寺から八王子まで 多摩地域
この地域分類は、以下の事項において共通点を見いだすことができる。
基本的な営業スタイル | インフォメーション戦略 | 業界基盤 | |
---|---|---|---|
首都圏地域 | 回転系と密着系の共存 | マスメディアおよびビラ配り | 競争原理が働いている。 |
武蔵野地域 | 密着系が主流では有るが回転系も有り | 駅前でのビラ配りが主流 | 絶対件数が少ないので独立 |
多摩地域 | ほとんどが密着系 | ほとんど無し | 共存共栄スタイルである。 |
以上事項を分析すると、次のような事が分かる。
首都圏地域は、通常言われている、商原理を適用する事が出来る。すなわち、商空間としての条件が揃っており、集客力が有る地域である。そのため相対的に営業件数が多くなり、必然的に競争原理が働く。競争原理が働けば、ユーザー側から見れば選択肢が増えるし、経営者側からみれば差別化を計らなければ存続できない。一般的に、ユーザーにとっては、良い事では有るが、また、それによる弊害も否定できない。これは、次項にて記述する。
次に多摩地域であるが、かなりの特異性を示している。まず、インフォメーション活動がほとんど行われてないし、営業スタイルがほとんどが、密着系であり、ピンサロ特有のシステムである、回転花びらが極端に少ない。ちなみに八王子地区ではわずか1店鋪である。国分寺地区にしても、立川地区にしても同じようなものである。変化が無い産業形態は通常、考えると営業が成り立たないように思われるが、実際にはピンサロ黄金地帯といってもいいほどであり、それは次の事項が要因であると思われる。
1:各地区ごとに、核となる店舗が有る。
有名店が、地域のリーダーになりユーザーの購買意欲を刺激する。
2:急激な変化を求めない、地道な営業努力。
マスメディアよりも、ユーザーの口コミが最大のプロモーションである。
3:過激なサービスを、前面に出さない営業方針
過激度よりも顧客満足度を重視している。
以上、事項に集約されると思われる。この3要素における共通点は、背伸びをしない、無理の無い経営ということができる。
例えると、首都圏地域を<動>とすると、多摩地域は<静>である。これを事例で見ると、顧客確保方法に顕著にみられる。首都圏地域では、顧客の新規開拓に回転を求め、多摩地域では、得意客に回転を求める。(通常、フリーと指名という言葉で表される)これが、次に記述する競争原理による弊害に密接に関わってくる。
3 競争原理による弊害と不利益
競争原理は、一定の水準以上のサービスを提供できないと淘汰されるが、風俗産業においては、そこに非合法営業、通称<ボッタ>が介在してくる。通常、繁華街では、総店舗数の10%がボッタといわれているが、徹底的な排除が求められる。
また、集客が出来ない店舗は、極端なコスト削減を強いられる。その結果、質の高い、姫を採用する事が出来ない。これは逆に経営側から見れば、コストパフォーマンスに優れた店作りということになる。低賃金、長時間労働、小人数で営業できるからである。通常、流行らない店という言葉で表される。
次に、上げられるのが、サービスのマニュアル化である。サービスの水準を保つということは、サービスの個人差をなくす事であり、それがマニュアル化に繋がっているように思われる。また、それが店の徹底管理に繋がる。これは、ユーザーに不利益を与えると考えられる。理由は、サービスのマニュアル化は、サービスの義務化に繋がるからであり、姫そのものの個性を奪う恐れが有るのと同時に、怠慢を生むからである。これはユーザーにとって不利益と言わざるおえない。
4 総括
多摩地域のピンサロは、総体的に姫の質によって支えられている。それは、前記したように、集客を、得意客に重点を置いているからである。しかし逆にサービスの内容に個人差がある。また首都圏地域から比べると、料金が千円から二千円高目である。
しかし、それでも集客できるのは、肉体的満足以上のサービスの供給がなされているからであり、それは、コミニケーションという言葉で表される。
ピンサロは、いかに気持ち良く射精するかによって価値が決定される。しかし、今ピンサロに求められているのは、肉体的な満足を満たす技術と共に、時間的空間を共有する事が出来無ければならないと考える。そしてそれは、店の教育管理で成される者では無く、一重に姫の努力に掛かっているのではないだろうか。
5 最後に
今回、武蔵野地域に関しては、記述しなかった。それは総体的に営業件数が少なく業界として捉えられないからである。そして多分、今後多摩地域にに吸収されると思われるからである。
東京西支部 八王子事務所長 J.T