by JT氏
1 始めに
現在の社会経済におけるピンサロが置かれている状況は、決して良好とはいえない。それは、景気の後退と共に、起きる現象「デフレ」に見まわれているからである。
デフレがもたらす影響は、価格破壊から始まり、利益の圧縮、それに伴い、経営規模の縮小、設備投資と労働生産性の見直し、それに続き雇用の喪失、既に、この時点で小規模経営は困難であり、淘汰される運命にある。
風俗の中でもピンサロは、低価格と手軽さが売り物で繁栄してきた業態である。しかし、個人消費の冷え込みと共に、客数の減少という事実を突きつけられ、価格競争と言う間違った経済法則に解決を求めてしまった。そこでここでは、ピンサロのデフレ現象を考察する事により、今後の対応策を導いて見たい。
2 消費者は、デフレによる価格破壊をどう捉えるべきか。
ピンサロにおける低価格化は、雇用における優位性の障害になることは間違いない事実である。ピンサロに限らず性風俗における労働性は、高収入が得られると言う事によって支えられてる。しかし、客数×売上単価=売上 と考えると、低価格化は当然雇用している姫、一人当たりの労働生産性を上げざるおえない。そして、資本に還元されるべき純利益は減益になるので、設備投資ができなくなる。結論として、魅力ある労働条件による雇用を支えられなくなり、経営が破綻すると考えられる。
性風俗の雇用マーケットは、絶対数が不足してるため、売り手市場でありピンサロ業界の平均的な年齢層である18歳以上20代後半までの再就職は可能であると考えられ、これをピンサロ業界からの人材の流出と定義できる。性風俗業界の低価格化はピンサロに限った事ではないが、ピンサロに顕著に現れている。理由は、ピンサロは、風適法対象外の為、繁華街に出店が可能であり当然店舗数も多く過当競争になり、その結果価格競争による集客に活路を見いだすと考えられる。そして現在の風適法下では、店舗型性風俗店の新規開店は不可能に近い。逆にそれが、ソープ、ヘルスなどの店舗型既存店の保護に繋がっている。つまり風適法施行以前の店舗数が現在でも保られており、今後も減る事はあっても増える事はないであろう。ソープ、へルスの価格破壊がピンサロのように現れないのは、このように一地域における店舗が供給過多にならないからであり、良い意味で需要と供給のバランスが取れているように思われる。
しかし、絶対的な客数低化は、避けられない問題でありそれなりに対策が取られている。例えば、ソープでは料金の高価格店と低価格店の二極分化が進んでおり、ソープの標準と言われていた、ワン・ツーの店は、総額2万クラスに移行する事により活路を見いだし、高級店は、姫の厳選とサービスの徹底に活路を見いだしている。ヘルスは、サービスの多用化とシチュエーションの選別に重点を置き特殊性を強調する事で、顧客の確保につなげている。そしてピンサロユーザーが最も憂慮しなければならないのは、全ての条件においてのサービスの低下であり、その原因の根底にあるのは価格破壊にあると考えることができる。
3 ピンサロ業界における人材の流出
ピンサロの暗黒の時代は、料金の不明瞭と姫の高年齢にあった。しかし現在は、パック制の採用により料金が明瞭化され、姫は、他の風俗以上に低年齢化されたことによりユーザーとしては、安心して遊べる環境が揃っている。そして労働条件の劣悪化と共に、人材が流出する事は前書した通りであるが、それにはもう一点理由があると思われる。
それは、姫の間違ったプロ化である。ピンサロは、アルバイト風俗の代名詞であったが、フリーターの受け皿となった現在急速にプロ化に向かっていると考えられる。それは、景気の低迷による一般雇用の減少と高収入により、姫の定着化が図られたのが要因として上げられるが、それは、ピンサロに取っては良い事だとはいえない。風俗、特にピンサロの本来あるべき姿は、アマチュア意識と、プロのテクニックを持ち合わせているところにあり、つまり、シチュエーションのギャップが重要条件である。これは、ピンサロの姫を以下の通り分類すると理解できる。
1.どんな条件であれ、他風俗には興味を示さずピンサロ一筋タイプ。顧客獲得に情熱を傾ける、本当のプロ。
2.労働条件により、他風俗に乗りかえるタイプ。
3.短期的、性風俗就労タイプ。目的達成後に引退。
4.長期的に就労はしているが、目的意識が無いタイプ。
1.に関しては、シチュエーションのギャップを意識しながら、使いこなすタイプであり、3.はシチュエーションのギャップそのものであり、ピンサロにとっては最重要な人材である。しかし、2.4に関しては、ユーザー及び経営者にとって、不利益な存在といわざる終えない。そして、種々の条件により、1.2の人材が流出した時、その店の崩壊が始まる。
4 今後のピンサロのあり方
今後ピンサロ業界が生き残るためには、以下の事が必要であると思われる。
1.利益の圧縮を進め、設備投資及び人材に資金を投入する。そうする事により、姫に対して働きやすい労働条件を提示する事で、労働意欲を持たせる。
2.一定水準のサービスを徹底するため、特に接客態度の教育を推進する。
3.価格中心のキャンペーン体質を見直し、サービスその物で勝負する体質に転換する。4.安易な方法での人件費の削減、特に、労働力を日本以外の東アジアに求める事は避け、他風俗との差別化を図る。
5.ピンサロの特徴である<抜いてなんぼ>の世界を極めるか、ヘルスやイメクラに見られるようなシチュエーションの多様化を採用し、二極分化を図る事により、ピンサロの特徴を打ち出す。
5 総括
現在、デフレによる価格破壊は、あらゆる業態に波及している。しかし価格が底に付く以前に対策を取らなければ、ピンサロという、業態その物が衰退してしまう。それは私達ピンサロフリークに取っては、耐えがたい事であり許されるべき問題ではない。
そのためには、さらなる経営努力と姫の意識革命が必要なのではないだろうか。
風俗産業・経済研究室長 JT