〜©日本ピンサロ研究会〜

日本ピンサロ研究会創立20周年記念
「アーカイブとしての研究会の意義」

by えせ男爵氏


 いつもお世話になっております、研究部のえせ男爵です。
 このたびは本研究会が20周年を迎えましたことをお慶び申し上げるとともに、このような機会に寄稿文を書かせていただけることを感謝いたします。

 小生が本研究会に最初のレポートを投稿し、掲載されたのが平成22年(2010)7月のことです。それからしばらくは非会員のまま、何本かレポートを投稿させていただいておりましたが、平成25年(2013)10月に入会させていただき、調査部広域調査課特務調査班主任研究員の任を拝命いたしました。いきなり主任研究員として採用していただき、たいへん感激したことを今でもよく覚えています。地域の支部の所属ではなく、調査部に所属させていただいたのも、海外での調査が多かったことや、国内でも調査地がばらけていたこともあったのかと思います。

 その後、平成26年(2014)年7月に研究部(部附)統括研究員へ異動し、同年10月には研究部風俗心理科学研究室長へ昇任、平成28年(2016)1月には研究部長の大任を拝命することとなりました。研究部には、小生の敬愛する諸先輩方が多く所属されているだけに、若輩の小生ではたして務まるのかと不安にもなりましたが、その責務に応えるべく、今後とも積極的に活動をおこなっていきたいと思っております。

 さて20周年の節目にあわせまして、小生が思うところの本研究会の意義について、述べさせていただきたいと思います。

 本研究会の最大の意義は、我が国(および海外)の風俗史を記録した膨大なアーカアイブという点にこそあるのではないかと思います。

 本研究会が創始された20年前は、インターネットが一般的に普及するようになった時期にあたります。このころは風俗情報に関連したウェブサイトはそれほど多くなく、本研究会が先駆け的な存在であったと記憶しています。しかしその後、インターネットの情報化が加速度的に進み、多くの風俗店が掲載された風俗情報サイトや、口コミや評価を書きこんだ掲示板などが当たり前の存在となっていきました。

 正直なところ、情報の速報性に関しては、本研究会より風俗情報サイトや掲示板の方に分があると思います。しかしこうしたサイトの問題は、情報がすぐに「流れて」しまい、過去の情報を参照するのに不向きな点です。

 本研究会の会員や投稿された経験のある方はすでにお分かりかと思いますが、投稿されたレポートは早くても2週間、場合によっては1か月以上たってから掲載されることが一般的です。しかしいったん掲載されたレポートは、地域ごと、ジャンルごとに分類され、掲載された日付が付けられた状態でサイトで閲覧することが可能です。そのため、過去のレポートを検索し閲覧することが極めて容易にできます。すでに閉店してしまった店舗に関しても、Out of Serviceの項目を参照することで、過去の情報を参照することが可能となっています。

 またレポートの信頼性について一定の質が保たれていることも重要です。掲示板への書き込みとは異なり、本研究会のレポートには一定の書式があり(決まった書式があるわけではありませんが)、客観的な記述が重視されています。またこうした質が保たれているのは、ひとえにレフェリー役を果たしていただいている会長の適切な判断あってのことだと思います。

 また、テキストがメインというシンプルなレイアウトも、アーカイブとしての役割にとって有利なことだと思います。画像や動画、さまざまなプラグインがあると、見た目は楽しくなるかとは思いますが、そうした表示形式が将来にわたって使い続けられるかどうかはわかりません。一方で現在のようなシンプルなレイアウトなら、時代性に左右されることなく、将来にわたって持続的に使い続けることができると思います。

 こうして集積された膨大なレポートのアーカイブは、まさにこの20年間の風俗史を記録したものと言っても過言ではないでしょう。

 風俗に関する記録は、その性質上、あまり公の形で残されることはありません。そのため学問的な研究の俎上に上げようと思っても、すでに多くの資料・史料は散逸してしまっているということが多いのです。それはインターネットの情報化が発達した現在においても同様です。なぜなら風俗情報サイトや掲示板で過去の「流れた」情報を検索することは、不可能ではないものの極めて困難であるためです。後世の研究者が20世紀末から21世紀初頭の風俗の状況に関する資料を参照しようとした際、あるいは本研究会のアーカイブが唯一の手掛かりとなるかもしれないのです。

 こうした観点からも、本研究会が果たす意義は、これまでの20年のみならず今後数十年、数百年にもわたって色あせることはないと考えます。本研究会のますますの発展と継続を祈念いたします。

 研究部長 えせ男爵 (H30.07.28)

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