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研究ノート「性感染症の臨床例〜精巣上体炎〜」

by ドクターK氏


 お世話になっております、非会員のドクターKです。約2年ぶりの投稿です。
 今回、計らずも精巣上体炎を体験したので、その経過をレポートします。少しでも皆様の健康増進のお役に立てば幸いです。
 なお、精巣上体炎については「研究ノート」で以前にGON氏もレポートを書かれています。

 過去に私は数回の被弾歴があり、性感染症については常々研鑽を怠らないよう自学しております(笑)。
 ご存知の方も多いでしょうが、性感染症(特に尿道炎)の二大病原体である淋菌とクラミジアは、毎年ものすごい勢いで抗生物質への耐性化が進んでいます。特に淋菌の耐性化はすさまじく、最新の2008年版 性感染症治療ガイドライン(性感染症学会編)では、ついに淋菌に効く内服の抗生物質は消滅しました(!)。淋病の治療は現在、注射薬しかありません。恐るべし!

【初日】
 7月某日、家族で沖縄へ旅行。日中は、観光に海遊びにハードに過ごし、夜家族が寝静まった後に宜野湾の某超有名ちょんの間エリアへと、車を飛ばしました。ちなみに私は仕事柄、抗生物質は自由に入手でき、出撃時には必ず抗生物質を内服します。この時も事前にクラビット250mgを内服しました。平日のためか開いている店は少なく、3周ほどして姫を見定めて交渉・入店。ところが生Fの時点でなぜかJr.に違和感が…何かしみる感じがします。しかし気にせずゴム付きでフィニッシュ。その日はそのままホテルへ帰り、ビールを煽り爆睡。

【翌日】
 朝起きるとJr.の違和感が増悪、排尿痛と透明の分泌物もあり。あ〜あ、この感覚、やっちまったか…多分疲れがたまっていたので免疫力が低下していたのでしょう。抗生物質も効かなかったようです。症状と分泌物から多分クラミジアだろうと考え、手持ちのクラビットを飲み続け、何とか旅行を終え帰宅。

【3日目】
 尿道炎症状は改善なし。さらに右の睾丸の付け根あたりに違和感が出現。うん? これはいままでなかったぞ。おいおい、どうした…イヤな感じだなあ。その時点で抗生物質をジスロマックに変え、1000mg(4錠)一気に内服。これでまあ治るだろう…ところが今回は甘くありませんでした。

【4日目】
 翌日になり、さらに右睾丸付け根の痛みは増すばかり。歩くと睾丸が太ももと摺れて痛い。どうやら睾丸がかなり腫れているようだ。う〜、これはいったい…どうやらこれが精巣上体炎(*)という病気らしいです(自己診断)。

補足;淋病またはクラミジア性尿道炎の約15〜20%(5人に1人!)に合併するとのこと。私はこれでも軽症だったようだが、重症ではキンタマが腫れあがり痛みでベッドから起き上がれず入院せねばならないらしい。家族に知れるとドえらいことですな。あ〜恐ろしや。
 また通常の尿道炎よりかなり長期間(3〜5週間)抗生物質を使う必要がある。とりあえずジスロマックは1000mg 1回内服後、7日間効果があるが、さらに補強する意味でクラリス200mg×2をジスロマック内服後から3日目より開始、1週間継続しました。

【14日目】
 しかし症状はまだ改善せず…どないなっとんねん、一体大丈夫なんか?私…ハイ、この時点で私かなりテンパッていました。治癒まで長期間かかるのは分かっているつもりですが… メチャクチャ痛い訳ではないが、毎晩ベッドの中で陰嚢の鈍痛と、何ともいえない不安感に苛まれ七転八倒。このまま治らんかったら、どないしたらええねん…夜になるのが恐怖でした。
 なおジスロマックを内服した時点で初尿の淋病とクラミジアのPCR検査を出したがいずれもnegative。まあ既に抗生剤を飲んでいるので何ともいえませんが。また、クラリスやジスロマックなどマクロライド系は副作用の下痢が強烈で、これ以上飲み続けるのも限界に…

 ミノマイシンなどのテトラサイクリン系はめまいがきつい(前回の被弾時に飲んだが、つらかった)。やはり最後はキノロン系に頼るしかない。キノロン系は昨年までは最強と謳われたガチフロがありましたが、現在は副作用のため販売中止になっています。やむを得ずクラビットを500mg1日1回で毎日飲むことにした。クラビットも下痢、めまいが主な副作用ですが、私は耐えられる範囲でした。

【21日目】
 クラビット500mgを飲みだして一週間頃からようやく陰嚢の腫れ、痛みともましになってきた。しかし、ちょっときつめのズボンを履いたり、ちょっと長い距離を歩いたり、飲酒したり長時間車の運転をしたり子供に股間をどつかれたり(笑)、0721したりすると、その度腫れと痛みがぶり返し、治りは遅々としたものでした。一体いつ治るのだろうかと絶望感に浸る日々が続きました。しかし、ようやく尿道炎の症状は軽減されてきました。

【35日目】
 結局クラビットを三週間飲み切って(こんなに抗生物質を飲んだのは生まれて初めてです 笑)、なんとか治癒しました。今回は尿道炎の方もいつもと違って、いつまでも違和感が残る感じでした。

 いやはや、精巣上体炎恐るべしです。できればもう二度とかかりたくないですね。抗生物質の選択は、今考えても特に悪くはなかったと思います。しかし、どれを選んだにしろ治癒までに相当期間かかったと思います。私の場合はほぼ五週間です(GON氏の場合と同じですね)。医学書にも「精巣上体炎を合併した場合は3〜5週間の長期の抗生物質投与が必要である」と記載されています。抗生物質は、クラミジアなら第一選択はジスロマックですが、通常の尿道炎と違い1000mg単回投与のみで治癒することは困難で、やはりキノロン系(クラビットなど)、マクロライド系(クラリス、ジスロマック)、テトラサイクリン系(ミノマイシン、ビブラマイシン)のどれかを長期間投与する必要があります。なお、上記の薬は現在の淋病にはほとんど効きませんが、クラミジアならまだ一定効果があるとされています。
 もちろん、治療中は飲酒、過労や運動、0721を含め性的興奮を伴う行為は全て禁止(特にこれがきつい。数日なら我慢できますが…)、きついズボンを履かず、できるだけ横になり(起きていると陰嚢が下に引っ張られて痛みが増す)安静にする、というのが治療の大前提だそうですが…大のおとなが、なかなかそうもいきませんよね(笑)。

 以上、恐怖の?精巣上体炎の報告でした。長引くと両側の睾丸がやられて男性不妊などの後遺症が起こる可能性もあります。このような症状が尿道炎後に出現した場合は、ソッコーで泌尿器科に駆け込んでくださいね。

 (H21.09.04)

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