〜©日本ピンサロ研究会〜

体験メモ「シングルマザー風俗嬢について」

by 土砂工事氏


 風俗とは浮き世から隔離された空間、客も嬢もお互い素性は知らないし知る余地もありません。
 しかし逆に現実の社会で出会っていたら知りえない情報を知ることができます。それはおっぱいの形や乳首の色、あそこのビラビラの大きさから絞まり具合、はたまたお尻の穴までです。
 そんな中たまにこの嬢『経産婦』だなって思うことがあるんですよ。それは妊娠線であったり、帝王切開の跡らしき傷であったり、妙に広い膣内部であったり、クーパー靭帯の弛みからくる胸の垂れや授乳期に変色拡大したり伸びたまま完全に戻らなかった乳首であったり骨盤や骨盤底筋の緩みからくる臀部の広がりであったり、まあ様々ですが要するに使い込まれた感じです。
 勿論私は医者ではありません。生まれつきそういう性質を持った嬢かもしれないし、逆に産後そういう性質に変化しても頑張って戻す嬢もいるので100%見分けられるわけではありません。しかし私がそう感じた嬢の何人かは二回目に入った時、もしくは初回のピロートーク時に「実は私離婚した出戻りでさ、子供いるんだよね」と打ち明けてきます。身体と心はリンクしてるので身体を開くと心も開いてしまうのかもしれませんね。もしくは日常とは全く関係ない誰かに色々ぶちまけたいのか、まあ謎ですがそうしたカミングアウトは結構多いです。
 そしてカミングアウトした嬢からの情報ですが、シングルマザー風俗嬢は少なくないらしいです。
 実は私も物心付く前に父親と死別しており母子家庭で育ちました。なので少し古いですがそちら方面の知識はそれなりにある為ちょっと考察しつつ語ろうかなと思います。

1、シングルマザーはお金がない?
 母子家庭になる場合大きく分けると死別と離婚があります。未婚の母もいますが上記の二パターンと比べたらかなり少数派ですね。
 まず死別の場合例外はありますが基本は遺族年金が貰えます。生命保険に入っていればその保険金も入ります。他者の過失による死であれば慰謝料も貰えますね。何より家や車などの資産もそのまま受け継げます。公的支援を受ける際の手続きもとても早いです。そうなると子供の人数にもよりますが昼のパートだけでも生計は成り立つでしょう。
 離婚の場合はまず財産は分与されますね。協議離婚の場合慰謝料はないかもしれません。貰えたり逆に払ったりもあるかもしれませんね。養育費は毎月貰えるでしょう。受け取るまで多少ズレはあるかもしれませんが、離婚した母子家庭にも勿論公的支援はあります。自治体によって様々ですが比較的手厚い物だと私は思います。一人親で低所得ならたいていの場合保育所や幼稚園にも優先的に入れます。本人の学歴職歴資格次第では一人でも十分子供を養い生活できるでしょう。親の理解があり近くに住んでいれば実家に支援も頼めます。
 そう考えるとシングルマザーはそこまでお金に困ってないのではと考えてしまいますが、まあ世の中そう上手くはいきません。
 まず男側の経済的状況が悪い場合は財産分与で逆に自分が損するかもしれませんし、無い袖は振れないので養育費も貰えないかもしれません。それ以前に子供に会わせたくないから貰わないって人もいるかもですね。次に仕事ですが、本人の学歴職歴資格次第では子供を養える仕事に就けると書きましたが、逆にこれが何もないと仕事自体なかったりします。田舎なら特にです。実家の支援だって親との関係次第ですし、支援したくても時間的余裕がなかったり近くに住んでなかったりそもそも親がいない可能性だってあります。
 公的支援は手厚いですがあくまでも支援、それだけでは生活できません。これ自体は仕方ないことで限られた人間にだけ潤沢に援助するのではなく、必要な人間全員に広く支援する為にはこうするしかありません。手続きに時間がかかるのも偽装離婚等での不正を防ぐ為なので仕方がありません。
この章の総括としては、
『離婚した母子家庭は貧困な場合がある』です。

2、生活保護は受けないのか?
 ではそこまで何もないなら生活保護の受給資格を満たしているのでは? となりますよね。しかし生活保護には落とし穴があると私は思います。本命に行く前にいくつか箇条書きでまとめると
・車が持てなくなる可能性があり地方だと死活問題
・ペットを飼ってたら手放さなきゃならなくなるかも
これらの問題は杞憂で終わる可能性が高いですが、次の本命は確実です。それは親や親戚に連絡がいくことです。特に田舎においてこれは痛いです。田舎ネットワークもあるので自分を知ってる人全員が自分の生活保護申請の事実とそこに至るまでの過程を知ることとなります。それは一生消えない烙印で場合によっては今後の人生に響きます。ある程度の年齢ならともかく二十代くらいなら気にしますね。子供にも影響が出る可能性は大いにあります。

3、母子家庭への偏見と負い目
 離婚に負い目を感じる人は多々いると思います。何故ならばそれは自分の決断の過ちだからです。離婚した理由にもよるでしょうがその相手を選ぶのにも相手と別れるのにも必ずどこかで自分自身の決断が入ります。仮に自分自身の決断がなく人生の一大事を流されただけで終えたならそれはそれで自業自得です。
 あと完全に私見でマクロな視点の話なのですが、何かしら問題が起きて離婚する夫婦の大半は結婚する前からその問題を抱えています。それに気付かなかったり結婚すれば解決すると思い込んでいるだけです。周りに反対した人はいたでしょう。勿論人生どう転ぶかは分からないし確実な道などないのですが、結婚というリスクある行動を押し切ってしたのは自分なので失敗した場合自責の念を感じる人は多いはずです。そういった事情から実家を頼れなかったり、生活保護を申請して世間にバレるのを恥と感じる人が多いのかなと思います。結婚ではありませんが私も押し切った行動で失敗し負い目を感じた経験があります。それは相手側が酷かったのですが今にして思えばそれは予見できたことで私ももう少し考えて行動すべきでした。
 周りの視線も冷ややかな場合が多く、現代社会の仕組みでは子育ては基本夫婦でやるものと想定して作られているので一人で他人に迷惑をかけずに育てるというのは大変難しいです。というか夫婦揃ってても周囲に全く迷惑をかけないというのは難しいです。そんな中『自分の意思で離婚したのに何で私(俺)が迷惑しなきゃならないんだ』と周囲の人が感じてもおかしくありません。その迷惑もたまにならともかく常態化したら余程の聖人でもない限りちょっと思いますよね。皆様々な事情を抱えて生きており、別に一人親家庭だけが大変なわけではありません。離婚原因は様々で浮気や借金DV、すれ違いなどありますが、個人と個人の問題なので絶対解決できないということはないと思います。少なくとも死者を生き返らせるよりはありえますよね。一人親家庭に対する偏見はこういった周りにいると迷惑になるから、というのもあるかもしれません。
 逆に死別の家庭はこの辺は負い目がなく周囲の人間も同情的なので実家や親戚も含め周りを頼りやすいですね。
 結婚というのは神の前で誓う一生に一度の決断と考える人も多いです。私はそこまでは考えてません。一度誓ったんだからどんなに辛くても一生添い遂げろよとも思いません。ただ簡単に誓ったり覆したりして良いものでもないと思います。だから多分私も将来離婚したら負い目を感じると思います。

4、地方のお仕事事情
 地方は基本仕事がないです。学歴職歴資格がそれなりにあってもまともに稼げる職は少ないです。そんな中で子供を抱えたシングルマザーに仕事があるかと言われたら残念ですがありません。一応役所や警察、消防の事務なんかにシングルマザー枠があったり気概のある企業はそう言った人間を雇おうともしますが、やはり狭き門です。そもそもシングルマザーが増加傾向にありますからね。
 以前ZOZOTOWN前社長の前澤さんがシングルマザーを雇うと募集を出した時にもっと配慮した雇用条件にしろと文句を付けてた輩がいましたが、シングルマザーの枠を作っただけ凄いですよ。でも公的な雇用ならともかく民間の雇用がないのは仕方ないかなと思います。リソースが限られる以上誰かを優遇するというのは誰かを不遇な扱いにすることになります。国は仕組みとしてあるところからお金を取ってないところに回すというのが前提にあるのでそれもよいと思うのですが、民間はそれが行き過ぎるのもよくないかなと思います。誰も不当に扱わないという方向がよい社会かなと思います。
 そう考えると結果行き着く先はシングルマザーでも需要のある夜の街になりますね。この業界は経歴や家庭事情はそんなに気にしません。しかしキャバクラやスナックとなると夜中に子供を預ける先を探さなくてはなりません。実家に頼れたり大きなお店で託児所を併設してるなら良いかもしれませんがたいていの場合そう上手くはいきませんし、体質的にアルコールに強くなければ翌日にも響きます。結果として子供と向き合う時間が取れなくなりますね。
 そう考えると昼間の保育所に預けられる時間に働けて勿論アルコールもなく、少ない時間や限られた日数の出勤でも充分稼げて子供と向き合える時間が作れる風俗は地方の稼げないシングルマザーからしたらとても魅力的な条件の仕事ですよね。

5、風俗嬢のリスク
 まず身バレです。私自身風俗嬢に対する偏見はなく、むしろちゃんと仕事をする嬢に関しては尊敬すらしてます。しかし世間の風当たりは冷たく、HPの写真や掲示板の噂を切っ掛けに知り合いにバレる可能性があり、これは非常に厄介です。私が入ったシングルマザー風俗嬢の中には隣県から二時間かけて通ってる人もいました。
 次にこれも似たリスクですが、周りに自分の職業が言えず収入も証明できないので周りの人間関係や公的機関とも距離ができてしまいがちです。気が利いた風俗店なら昼間の職業に偽装したりとこの辺もフォローしてくれるらしいのですがね。
 次に病気のリスクです。性病にかかったら出勤できませんし、場合によっては入院もします。これは大変なリスクです。近年は晩婚化も進み三十代半ばで幼い子供を抱えて生活に困るパターンもあるでしょう。三十代半ばだと余程の美貌でもない限り性病リスクの高い過激なプレイ前提のお店や店の配慮が足りず素行の悪い客と当たる確率の高い格安店で働くことになり、若い頃より免疫力が落ちてることも合わせて考えると病気のリスクは高いです。
 地方にとって風俗が女性のセーフティネットになってるのは確かですが、その能力を過信し過ぎない方が良いのも確かです。

6、まとめ
 基本的に確かな工業や産業があったり温泉地があったりしない限り地方は貧乏で自治体にもお金がありません。そんな現実においてはシングルマザーでなくても風俗で働くという選択肢を選ばざるを得ない女性は多々います。まあ単身者で若ければ上京すれば良いのですがね。経産婦で身体のクオリティが出産前より色々と落ちるとはいえ地方に二十代の風俗嬢が増えるのは客としては嬉しいです。しかしシングルマザー風俗嬢が増えると聞いて世間の人間の大半は岡村さんのコロナで風俗嬢が増える発言の時と同様に悲観的に捉えるでしょう。
 ですが、生き方の一つとしてはけして悪い選択肢ではないと私は思います。こういうお店で働く女性は基本的にどんなに若くてもメリットとデメリット両方把握して飛び込んでるはずです。そこまで馬鹿ではありません。なので約束違いや常識から外れた行為さえなければ全て想定内ですので彼女達からすればそれが普通です。それは電車に乗る時に遅延することもあるなと考えるようなもので、遅れる可能性がある乗り物に乗るなんてと思い悲観的になる人間なんていません。彼女達は悲観的ではありません。むしろ母親としての強さすら感じる立派な存在です。
 でも昼職だけで生活できるならその方が良いかなとも思います。それこそ限られた人間に対してだけ使われる税金の無駄を解消し、今話題のベーシックインカム等で広く皆に少しずつでも支援すれば昼職のパートだけでもなんとかなるかなと思い直すシングルマザーが少しは増えるかもです。
 あと私の文章を読み死別した一人親家庭は恵まれてるなと感じられたか方がいたかもしれませんが決してそんなことはありません。実際私の家庭自体中流か貧困かと言われたら貧困寄りでしたし、母もフルタイムで働きながら私と兄の学校のことも色々やらなくてはならなかったので母の負担は大きかったです。なので経済的状況も合わせて旅行やアウトドアなどの行楽とも縁がない生活でした。
 まあ夫婦揃っている家庭でもうちより貧乏だったり家庭に協力しない配偶者もいるでしょう。そもそも大学に行けてる時点で私はだいぶ恵まれてます。無利子の奨学金の審査も普通の家庭ならもっと厳しかったでしょうね。ただ一つ言わせて欲しいのがどんなに手厚い支援があっても親の死を埋めらることはないということです。
 父が生きていれば母も家庭のことに集中できたし、父にキャンプ等のアウトドアにも連れてって貰えたでしょう。父が生きてればそもそも奨学金を借りる必要はなかったです。何が言いたいのかと言うと恵まれてる一人親家庭などなく、一番恵まれてるのは最低限でもちゃんとした両親が健在の家庭です。

7、さいごに
 最後に所感です。まとめは前項で行ったのでちょっと番外編です。
 風俗嬢も客も人間です。嬢と客以外の側面もあり、お互い誰かの子であり、母であったり父であったりするかもしれません。少なくとも将来的にそうなる可能性のある人間です。しかし何故かお互いそれを忘れることがあります。それは風俗という場で意図的にオミットされてる部分だからですね。個別で仲良くなることはあっても基本は匿名の世界です。何故ならその方がお互いに都合が良いからで、客は風俗店に通ってると知られたくないし、嬢は風俗店で働いてると知られたくない。お互いを守る為の高い匿名性ですがその所為でお互い何か記号的というか人間性が薄れてしまってるのは悲しいです。
 日ピン研さんのレポを眺めているとかなり昔の物もあり、このレポに書かれてる嬢って今四十代くらいでそろそろ成人する子供がいてもおかしくないなとか、このレポが書かれた頃に生まれた子がもう風俗で働いてんだなってちょっと思いました。
 チャップリンの『殺人狂時代』という映画の中にこんな台詞があります。
「一人の殺害は犯罪者を生み、百万の殺害は英雄を生む。数が殺人を神聖化する」
(うろ覚えです)
これは女性の性にも言えるのではないでしょうか
「配偶者、もしくは将来配偶者になる男以外の一人との性的接触はただの淫女だが、多数の男との性的接触を行う者は女神だ。沢山の人に与える性は神聖化される」
 私自身客として嬢をリスペクトし、礼儀正しく接するように努めてますし、嬢として良い仕事をする女の子は尊敬してます。しかしそれは結局のところ風俗嬢を都合の良い神様にしてるだけじゃないかなとも思うんですよね。でも神様に救いを求めないと生きていけない現実もあり、我々のお布施で神様も助かってるとも思うので現状維持が続いてます。

 外野から正論をぶつけるのは簡単ですが、お互いこの歪さに納得し一定の秩序が生まれてるのであれば多様性の中の一つなのかなって思いますね。

 以上土砂工事でした!

 (R02.12.13)

トップページへ

〜©日本ピンサロ研究会〜