〜©日本ピンサロ研究会〜

「ぼったくりに関する法的解釈 〜歌舞伎町ぼったくりを例に〜」

先日、当研究会宛てに下記ご質問が寄せられましたので、回答いたします。(回答:KEN氏)


【質問】

実は、非常に不安なことがあります。
 私この間歌舞伎町ではじめて風俗とゆうものに行きました・・・。そこで、ポン引きにだまされ、8000円でいいという言葉を信じて、ついってったところだんだんと値段が上がり、ついにお金が払えなくなってしまいました。結局3000円だけ残して財布の中を全て取られ、さらにカード(キャッシング機能はついていません)を奥の部屋に持って行かれました。
 結局かえしてもらったんですが、このカードをつかって住所とか調べられたりして請求書がきたらと思うとすごく不安です。後から請求書が回ってくるってことはあるんですか?
なにかアドバイスお願いします。

【回答】

まず結論から行きましょう,何も心配することはありませんよ。

ではその理由をご説明しましょう。
まずそのお店,明白な法令違反を犯しています。

「ポン引きにだまされ、8000円でいいという言葉を信じて」

これは風適法22条1項又は28条11項1号違反と刑法246条「詐欺」です

「ついってったところだんだんと値段が上がり、ついにお金が払えなくなってしまいました。」

場合によっては風適法17条違反です。

「このカードをつかって住所とか調べられたりして請求書がきたらと思うとすごく不安です。後から請求書が回ってくるってことはあるんですか?」

 あなたのあったボッタクリは一般的にはかなり「軽い」ボッタクリだと思います。金額が少額であること,お店側もあえて深追いしていないことがそれを物語っています。私は「ぼった」の経験はないのですが,ボッタクリには大別して以下の2パターンに分かれると思います。

1.法外な金額(莫大な金額)を吹っかけ客単価を上げ,被害届等が出て警察等が介入する前に数ヶ月程度の営業で店を閉めるパターン。言ってみれば短期決戦主義でしょうか,短期間に大きな利益を上げてとっとと切り上げるタイプです。

2.一般の料金よりもやや高め(2ないし3倍程度)の設定,言ってみれば被害に遭った人に「このくらいなら仕方ないか・・・」と諦める程度の料金設定をして比較的長期にわたり営業(有る意味薄利多売)する長期持久戦主義。つまりこの程度なら訴えられないだろうという人間の心理を突いた巧妙なやり方(実際友達に言えない後ろめたさをあなたも感じていますよね)

 前者であればかなり無謀なまねをするはずです,実際死者も出た例があるくらいですから。しかし,後者であればそのような無謀なまねはしない筈です。リスクの大きい割りに利益が極端に少ないのですから有る意味そんな危ない橋は彼らは渡りません。引き際を心得ています。

あなたの場合後者のパターンのようですね,不幸中の幸いです。

 もしあなたに請求書など回したら逆に自分自身を晒すことになり,冷静になった被害者に何らかの対抗策(例えばあなたも我々に相談していますよね)を打たれてしまいます。僅かばかりの利益のためにそのような事をするほど彼らは愚かではありません。請求書など回したら自らがボッタクリをしている事実を書面で証明するようなもので俄然あなたが有利になってきます。
 刑事上(上の風適法違反・刑法犯),民事上(精神的苦痛に対する損害賠償,公序良俗違反による契約の無効など)の責任を追及できる決定的な証拠を渡す事になります。ですから今後なんらかのコンタクトがあるとは思えません。

 もし請求書が来てもそれに応ずる必要はありません。請求書は単に請求書であり,あなたが債務を負っている事を証明するものではありません。なんら根拠のない(つまり請求の基となる契約のない)架空のものなのですから。もし正当な債権であれば裁判所なりに訴えって回収させればいいのです。民法上(債権債務,契約「法律行為」の関係は民法の「債権法」が基本になります)の詳細については割愛させて頂きますが、相手がどう出ても民法上いくらでも対抗できるのでご安心を。