〜©日本ピンサロ研究会〜

研究ノート「性感染症の臨床例〜クラミジア〜」

by 六分儀氏


日本ピンサロ研究会の皆さん、こんにちは。六分儀です。

普段は千葉栄町ソープの調査活動に従事する者です。最近は仕事場との関係で、吉原ソープの調査も増えています。あらためて言うまでもなく、調査にはリスクが伴います。小生にもついに「その日」がきてしまいました。

この研究ノートは、症状の発現から、治療を終えて遊びを再開するまでの記録です。目新しいことは何もありません。ただ、ソープを愛好する小生は、普通の収入のサラリーマンで家族をもっています。だからこそ、この駄文が参考になる人もいかもしれない、と考えました。どうかご笑覧ください。通算38本目の投稿です。

◆ 概要
(日時)2023年(嬢と店の特定を避けるためにぼかしています)
(発現)原因となった行為から2週間後
(症状)軽い頻尿、軽い残尿感、前立腺の腫れによる圧迫感、射精困難・射精時の痛み (診断)クラミジア性尿道炎
(治療)アジスロマイシン250mg4錠一気のみ、1回限り
(経過)服薬後2〜3日で症状改善、1週間で完治宣言

◆ 背景事情
コロナウイルスによるパンデミックが始まる少し前のこと。すでに2年以上続くセックスレスにより、欲求不満はピークに達していた。妻と子どもへの愛に変わりはない。射精欲は自家発電で解消すれば足りる。しかし、女性と肌を合わせることでしか満たされないものもある。激務に心身をすり減らし、悩みに悩んだ末に、出張先でソープランドを訪れた。これが小生のソープ遊びの始まりである。

小生の性感染症(STD)感染リスクの度合いを考えるために、小生の遊び方の特徴を記しておこう。

(1) ソープランドでしか遊ばない。求めるものは肌と心のふれあいであるから、ソープが唯一の選択肢である。

(2) 当初は2〜3か月に1回のペースを守っていた。ところが、予約・入店・対面までの緊張感と高揚感、嬢が与えてくれる安らぎと快感、遊んだ後の爽快感・軽快感がクセになり、ソープへの衝動が訪れるサイクルは徐々に短くなっていく。1年もすれば、いつも関連サイトを巡回して、月に1〜2回は遊ぶようになっていた。これまでの反動だろうか。否、立派な依存症である。思えば、小生が当研究会の会員になったのは、まさにこの時期であった。

(3) 家族持ちのサラリーマンがこっそり使うことができる資金量など多寡がしれている。すぐに懐が寂しくなって来たが、頻度は落とせない。1回あたりの料金は、70〜90分で25〜35kから、15〜25kへと変わっていった。STD感染のリスクはすべての風俗店利用者が負っているものの、それが(程度問題とはいえ)平等とは思えない。店や嬢が検査に熱心であるのか否かで、まったく違いがないとはいえないだろう。検査には費用がかかり、多くの場合に嬢の自己負担である。小生が出入りするのは格安店である、となれば・・・あとは推して知るべしである。

(4) 小生のストライクゾーンは30〜40代の豊満女性である。変わった趣味であるのは自覚しているが、同好の士もいるようで、そのような嬢はなじみの客をつかんでいることが多いらしい。その意味で、嬢は不特定多数の客をとるとはいえ、その特定性は比較的高い。ということは、嬢もSTDには気をつけているはずだ。ところが、そのような嬢は、自らの市場価値を見定めてか、客に防護服着用を求めないことがある。小生は非着用へのこだわりはない。しかし、非着用のすすめを断るほど、着用にこだわっているわけでもない。STD感染防止のためには、防護服はプレイの最初から最後まで着用するのが望ましいとされるが、非着用が論外であるのはいうまでもない。

(5) 体調がわるく、抵抗力が落ちていると思われるときは遊ばないことを心がけている。また、プレイの後は、洗い場にて洗剤(消毒薬入りであるとうれしい)で十分に洗浄する(してもらう)だけでなく、店を出てすぐに多量の水分を摂取して、多量の排尿をすることもルーティーンとなっている。もちろん、いずれも気休めにすぎない。

そういうわけで、遠からず《その日》が到来すると覚悟していた。

◆ 症状の発現
2023年(正確な時期は伏せる)、いつものようにソープで遊ぶ。嬢が何も言わず、自然な動きで息子を収納したので、その流れに乗って気持ちよく果てた。ちょうど2週間後、ごく軽い頻尿と残尿感があった。頻尿といっても1時間に1回程度、残尿感も膀胱炎とは比較にならない軽いものである。気のせいか、あるいは体調がよくなかったので雑菌にやられたか、という程度であった。その晩は特に支障なく、よく眠ることができた。便宜上、この日を初日としよう。

(2日目)
ごく軽い頻尿と残尿感は続いている。仕事に支障はない。天命を知りつつ、次の遊びに思いをはせて自家発電。横になってエロ本を片手に励む。中学生以来のスタイル。小生はIT端末の利用を好まない。「うっ」。射精時に軽い圧迫感とにぶい痛みがあった。いつもの勢いはなくダラダラとこぼれ落ちる。出そうにも管が狭められているような間隔。前立腺が腫れているのか。これはよくない。STDの発症を意識せざるをえない。受診に向けた検討を開始した。

まずはインターネットで情報集め。性病・頻尿・残尿感・射精・圧迫などの言葉で検索すると、前立腺肥大症がヒットした。うーん、これは違うだろう。息子の形状に異常はない。排尿時の痛みはなく、尿道から膿も出ていない。さしあたりクラミジアではないかとの予想を立てた。

仮にクラミジアであるとすれば、小生には感染源となった嬢とその所属店にはわかっている。慌ててHPを確認してみると、嬢の名前はすでに削除されていた。小生は店にも嬢にも連絡していない。他の客からのクレームによるのか、自主検査の結果を受けてなのか不明だが、素早い対応には驚かされた。

(3日目)
軽い頻尿と残尿感は続く。もう一度自家発電を行い、射精時の圧迫感とにぶい痛みを再確認した。射精がつらい。明らかに2日目より悪化している。受診するしかあるまい。ここで保険診療と自由診療の選択が問題となる。

保険診療で受診すると、毎年2月に届く医療費通知に受診の事実と医療費が記載される。これが自宅に郵送されると家族バレの危険は高まる。そうでなくても、確定申告の際に家族の目にとまることもあるだろう。それに加えて、通常の病院では当日中に検査結果が出ることはなく、検査結果を聞くために再度病院を訪れなければならないらしい。これに対して、自由診療で性病クリニックにかかると、上に述べた保険診療上の不便はすべて解消される。保険がきかないので高額になるのはいうまでもない。

熟慮の末に保険診療を選択した。薄給の小生は確定申告をする必要がない上に、医療費通知は職場で手渡しである。家族バレの危険は小さい。通院の手間は何とでもなる。そこでSTDを扱う泌尿器科を探すことにする。家族に通院を指摘されたら、膀胱炎の症状があったと言い逃れできそうだ。検索してヒットした数件の中から、駅に近いビルの一室にある泌尿器科クリニックにねらいを定めた。明日午前中は家族との関係でも最適のタイミングである。

◆ 診察と治療
(4日目)
翌日11時頃、混雑時を避けてクリニックを訪れた。受付で保険証を預けた後、待合室で問診票を記入する。待合室には高齢男性が1人、若い女性が付き添っていた。5分後、「六分儀さーん」と呼び出しがあり診療室に入る。アラ還の男性医師。
 「どうされました?」
 「これこれという経緯で、しかじかという症状です。身に覚えはあります」
 「そうですか。まずはズボンを脱いでベッドに横になってください」。
女性看護師の冷たい視線を感じながら、仰向けになって息子を取り出す。医師はゴム手袋をはめて視診・触診をはじめた。
 「ふむ、形状には特に異常はないですね。(竿を強く絞って)膿も出ないようだし・・・(裏筋付近の尿道をグッと圧迫して)痛くないですか?」
 「はい、何ともありません」
 「わかりました。服を来てください。尿検査をしましょう」

診療室を出てトイレで尿を採取して、待合室に戻る。しばらくして再度呼び出しがあり診療室に入った。医師は尿を顕微鏡で調べていたらしい。
 「六分儀さん、尿の中から白血球がみつかりました」
 「はい」
 「白血球はわずかなので何ともいえないのですが、身に覚えがあるということですので、おそらくクラミジアによる尿道炎でしょう。尿は検査に出します。結果がわかるのは1週間後ですが、それまで放置するわけにもいかないので、薬を飲んでもらいます。それを飲んで様子を見ながら検査結果を待ちましょう。クラミジアには1回飲むだけの、いい薬が出ているのです。アジスロマイシンを4錠、1回だけ一気に飲んで、それで終わりです。性行為をするときは、コンドームをつけるなどして十分に注意しなければいけませんよ。1週間後にもう一度・・・あっ、そうだ。結婚していますか?」
 「はい。でももう彼女とは長い間セックスレスですから・・・」
 「そうですか。それでは1週間後に来てください」
 「わかりました。ありがとうございます」

最後の質問になぜか心を痛めながら診察室を出る。受付で料金2700円を支払う。さすがは保険診療である。同一ビル内の調剤薬局でアジスロマイシン250mg(4錠)を出してもらう。薬代は700円。頃合いをみて4錠を一気に服用する。これでひと安心である。

◆ 治療の経過
(5日目)
軽い頻尿と残尿感は続いているが、明らかによくなっている。薬が効いた実感がある。自家発電は控える。

(6日目)
頻尿と残尿感がなくなった。いつもより若干トイレが近い気がするのは気のせいか。引き続き自家発電は控える。

(9日目)
頻尿と残尿感はない。おそるおそる自家発電を試みる。まだ少しの違和感があるような気もするが、一応、ビクビクと律動させながら気持ちよく発射することができた。

(11日目)
初診から1週間が経過した。検査結果を機器にクリニックへ。
 「その後いかがですか」
 「何ともないと思います。以前よりは若干トイレが近いような気もしますが」
 「六分儀さん、ネットでいろいろ検索していませんか。それ、ダメなんですよ。尿意は気持ちの問題も影響しますからね。さて、検査結果をお伝えします。クラミジア、淋菌ともに陰性でした」
 「えっ、そうなんですか」
 「そうなんです。しかし、女性と遊んで2週間後に症状が出たこと、少しですが尿の中に白血球が出ていたこと、薬を飲んで症状が治まったことを考えると、軽いクラミジア性尿道炎だったのは間違いないと思います。今後はくれぐれも気をつけてください。治療はこれで終わりです」
 「ありがとうございました」

診察室を出て、受付で料金600円を支払った。

(13日目)
若干トイレが近い感覚、射精時の違和感が完全になくなった。元通りである。尿意が気持ちの問題というのは本当のようである。

◆ まとめ
検査(PCR検査)の結果が陰性だったのは意外だった。医師は検査結果のみにとらわれず、問診・視診・触診などを総合的に判断するので、クラミジア性尿道炎という診断は妥当であろう。

症状が軽く痛みもなかったこと、すぐに診察を受けることができ、その日に薬を服用できたこと、クラミジアの薬がよく効いたこと、費用が安く抑えられたこと(合計4000円)、その他すべての面で幸運だったというべきであろう。この程度ですんでよかった。やはりリスクの高い遊びであることを再認識させられた。

結局、ソープに復帰したのは完治の2週間後。遊びのペースはほぼ変わらなかった。金がなくなってもやめられない、STDを経験してもやめられない。小生の心の中には何か満たされないものがあり、ソープ通いはその現れなのだろう。

 千葉支部 千葉事務所 主任調査員 六分儀 (R06.07.08)

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