by KEN氏
今回は本来のうちの趣旨とは大きくかけ離れるが,どうにも我慢なら無いので筆を取らせていただく。初めに言っておくと当サイトを政治の論争の場にするつもりはありません。あくまで管理人の独り言として聞き流してください。
最近芸能人のサイトなどで「反戦」をテーマに語っているサイトが多いと報道されていた。はっきり言って
「胸糞悪い」
ですね。反戦と言っておけばカッコいいとでも思っているのでしょうか?「反戦・世界平和」と言えば革新的とでも思っているのでしょうか?大衆受けがいいからでしょうか?問題の根本を見ないでただ「戦争はいけない」と言う感情論だけで言っているのでしょう。 国対国の関係では本当の意味での裁判所はありません。今回のイラクのように約束事を守らなければ,それを強制する事は誰にも出来ないのです。究極的には力でねじ伏せるしかないのです。戦争は外交の延長と言われる由縁ですね。こちらが平和と言っていれば相手も平和を望むと思っているのは日本人だけ,憲法でそう言っているのですから救い様がありません。
アメリカが圧力を掛けてやっとボチボチミサイルを廃棄するような国です。そこまで10年以上も国連の命令を無視して来たのです。その国は自国民の騒乱を化学兵器で鎮圧し,突如隣国に侵攻するような国なのです。そんな国にNBC兵器を保有させれば中東の未来はありません。証拠がないとのん気な事を言っているのもいいですが,NBC兵器が降り注いでから攻撃しても遅いのです。これは窃盗犯を裁くのと次元が違います。イラクは,質はともかく,量的には現在シリアと並んで中東で最大級の兵力を保持しているのです。
そんな国に原子力の技術を授けたのは他ならぬフランスです。イスラエルが原子力施設を爆撃した時,一人だけ犠牲者が出ましたがそれはフランス人の技術者でした。
そんな国の兵器は概ねロシア(旧ソ連)製です。一体こんな連中のどこにイラク攻撃に反対する権利があるのか。。。それこそ国連を愚弄しています。
もちろんアメリカも石油の利権はあるでしょうが,アメリカ人は単純なほど正義感で動く国です。少なくともフランスやロシアほど狡猾ではないでしょう。
今回の戦争で注目しなければいけないのは周辺のアラブ諸国です。湾岸戦争時よりも遥かに静かです。アメリカ批判もイラク擁護もほとんど聞こえてきません。普通なら異教徒の軍隊が来る,と大騒ぎしてもおかしくないのですが今回はそれがありません。言い換えればイラク攻撃に沈黙の賛成を与えている,そう思えてならないのです。これこそイラクの危険性を雄弁に物語っているのではないでしょうか。イスラエルはともかく,シリア,イランあたりは内心歓迎いているのはずです。多分NBC兵器の保有を裏付ける情報をこれらの国は持っているのでしょう。それが自国に向けられたら。。。漁夫の利とは正にこのことです。労せずして脅威が取り払われるのですからこんないい事はありません。
私は開戦に賛成ですが,これに日本がどう拘わって行くかは別問題です。日本は多分次の戦い,すなわち「北朝鮮問題」を考慮してアメリカ支持を打ち出したのでしょうが,中東地域に唯一,政治的野心なく援助してきた実績をもう少し生かした外交がほしかったですね。
現在の戦争で若干不安を感じるのは,本当に短期で終わるのか。。。と言う危惧です。今回は湾岸戦争と大きな違いがあります。前回はクウェートから追い出すのが目的でしたが,今回はイラクから見て「端から本土決戦」と言うことです。日本でさえ自国領内での戦闘は沖縄と硫黄島,終戦直後の占守島のロシア不法侵攻くらいです。この時も連合軍は甚大な損害を蒙りました。硫黄島などは死傷者の数が日本の倍以上と言うとんでもない損害を受けましたし,占守島に侵攻したソ連軍は公式にソ連の実質的敗北を認めるほどでした。本土に近づくほど損害が増えた,すなわち抵抗が大きいと言うことです。民族を問わず,これは同じでしょう。自身の背後には家族や恋人や友人がいる,絶対に守らなければならない。。。抵抗が大きくなるのも当然でしょう。そして今回のイラクは正にその状態です。前回はクウェートから自国に撤退できましたが,今回はどこにも撤退できません。背水の陣です。
少しアメリカはイラク軍を過小評価しているかもしれません。しかし戦場での過小評価は敗退する最も確実な誘因です。市街戦となればどうなるか。。。よもやソマリアの悲劇を忘れているわけではないでしょうに。。。ハイテクにも限界はあるものです,アメリカに唯一欠けるのは精神力の過小評価でしょうか?技術に必要以上に頼りすぎるきらいがあるようですね。
しかし,ここまで兵力に質的格差があると何れにしてもアメリカが勝利するでしょう。夜間はっきり物が見えてイラクは見えない,射程が倍以上となれば,勝負になりません。が,あまり時間をかけすぎると世界の経済が破綻してしまうので,早期の終結を願いたい所です。
日本人も多くが参加している「人間の盾」,あたかも平和のシンボル気取りですが,湾岸戦争時これはフセインが欧米・日本の民間人たる商社員などを不当に拘束し,攻撃が予想される戦略拠点に配置した,とんでもない作戦の再来です。ヒューマニズムの欠片もありません。近代戦では未だかつてどこの国もしなかった兵術の枠を越えた最低の作戦です。良識ある指導者なら「気持ちだけで十分,自国で支援してください」と言う所でしょう。自国の生き残りのためなら民間人の命も使う,その姿勢は忘れてはなりません。くどいようですが普通の指導者なら,そのような申し出は断るはずです。人間の盾の皆さんはこれによる軍事作戦の遅延,を分かっているのでしょうか?往時の人間の盾にされた方々はこれをどう見ているのでしょうか?まだイラク義勇軍でも組織したほうが理にかなうでしょう。どのような動機にしろ自国民をNBC兵器で虐殺し,隣国に平気で侵攻するフセインに加担しているのです。アメリカ人なら明らかな「敵対行為」です。自衛隊が参加していれば,外患誘致罪で処断されるかもしれない行為です。これがどれだけイラクに軍事的利益を与えている分かりますか?戦車10両の防衛力より強力です。目先の事ばかり考えて物事の本質を忘れていませんか?もちろん何か遭っても政府の支援や保護を求める事はしないと信じています。自己の責任と信念でイラクに渡った人々ですから,彼らの支援・保護のためには一円の税金も使ってほしくないと思います。
ただ,アメリカに全面的に賛成でもありません。ロシアの兵器が入る前にイラクに大量の軍事援助をして中東の軍事大国にしたのはほかならぬアメリカです。この事は大いに熟考して頂きたいです。が,だからと言って今のイラクを放置して良いと言う事ではなく,それをもってしてイラク攻撃を止めろと言うのは論理のすり替えです。間違いは正すべきで,その正す行動を今しているのです。
また,いわゆる大量破壊兵器の保有を安保理常任理事国以外が何故してはいけないのか?それを最も多く保有しているのは他ならぬアメリカです。NPT条約などは不平等条約の典型でしょう。一時期日本もNPT条約の批准時に「あえて核を保有しないと明言する必要はないのではないか?持つ気は無くても抑止力として保有する権利を留保していてもいいのでなないか?」と言う意見もあったようです。あるのか無いのか分からないというのは軍事的には非常に大きな抑止力になるのです。非核三原則や専守防衛など攻撃する側から見ればこんな嬉しい事はありません。日本を攻撃しても核による反撃はないし,自国領内兵站拠点を攻撃されない事を意味します。兵站拠点を叩けなければ戦争は勝利できません。つまり日本は相手が攻撃を止めるまで自国の民間人を抱え,自国領内で無限に迎撃し続けなければならない,有事法制も無い自国領内でしか戦えない,それが専守防衛です。専守防衛がどれだけ悲惨な様相を呈するかは,沖縄を見れば明らかです。それがわかって言っているのならそれでいいのですが。
しかし最近外相が「ミサイルの発射基地は攻撃できる」と注目する発言をしました。これは実は歴史の大転換です。自衛権の発動があれば他国領内も攻撃できると言う事です。実は自衛隊の行動範囲は法的制限がありません。世界中どこでも作戦行動が出来ます。ドイツ国防軍などは法律で自国及びNATO領内に制限されていますが,自衛隊はそれが無いのです。防衛庁長官は「攻撃出来る権利はあっても能力が無い」と答弁していますが,実は日本にはその能力があります。最近配備のF-2戦闘機は4トン(対艦ミサイル4発)の兵装搭載量で戦闘行動半径が830キロ,これが要求仕様だったと記憶しています。九州の基地から出撃すれば十分北朝鮮の攻撃は可能です。湾岸戦争時悪評の高かった「クラスター爆弾」これと全く同型の爆弾を保有していますし,アメリカに先駆けて日本が実用化した赤外線画像誘導技術を駆使した日本独自のスマート爆弾も保有しています。近々導入予定の空中給油機や実用化した早期警戒管制機,F-15と組み合わせれば強力な戦術航空部隊となります。平然と旧式弾道弾を打ち込んでくる国には相応の準備が必要です。ノドンもテポドンも軍事的には無意味な兵器ですが政治的には重要な兵器です。むざむざ攻撃を甘受する必要は無いですし,甘受するつもりは無い事を政府は国会で答弁しています。日本も脅威に晒されてやっと平和ボケが収まってきたかな。。。と思います。
平和は大変重要な事ですが,それは力があって初めて実現できる事は認識しなければいけませんし,大砲を向けなければ言う事を聞かない連中もいる,その上で反戦というのがどういう意味があるのかも考えなければいけません。今戦闘を控え,将来イラクが事を起こした時,今反戦を叫んでくれている人々の叫びにイラクが従う事は有り得ない,それは考えなければいけません。核兵器がどこかの国の万人の頭上に来てからでは遅いのです。今そこにある危機ではなくその先の危機を注意深く考えなければいけません。平和を望む事とそれを実現する事は全く次元の異なる問題です。混同してはいけません。反戦家の進歩的なみなさん。
日本ピンサロ研究会 会長 KEN