〜©日本ピンサロ研究会〜

研究ノート「風俗回顧録」

by 立川紫煙氏


 今日は立川紫煙です。

 都内繁華街が風俗店で溢れていたあの頃、この遠征を如何に想起し得たか。我々(一人称複数)は流浪する。小山まで遠征し地雷を踏んだせいか、懐古的になりました。

 繁華街浄化作戦は当初三都作戦と呼ばれ、新宿、渋谷、池袋が先ず標的とされた。
 平成16年正月気分も覚めやらぬ一月の初旬、当時私が主戦場としていた池袋は平和通りの風俗ビル、ひしめき合う警官の怒号、これが始まりであった。
 翌夜再訪すると店長は在店していて、こう答えた。
「今ちょっと休業中なんですよ…いつ再開するかは今のところ分んないっすねぇ」
看板が道交法違反だとか、特に歌舞伎町で起きた例の火災以降は消防法違反など、風俗店のこの手の閉店開店のサイクルは日常茶飯事であったのだが今回は様子が違う。何が違うといって規模が違う。池袋の北も西も東も、ネオンが消えていた。異変を感じた私は馴染みの案内所に赴き話を聞いた。
「ブクロだけで100軒以上やられましたね、他も警戒休店してますよ。それに歌舞伎も渋谷もやらたみたいっすよ」
「今回はヤバイっす。今回は上もマジっすね。つーか俺もヤバイっす。」
ここでスイカやマリンといった許可店も休業しているという情報を得、事態の深刻さを改めて理解した。電気の消えたパネルと空っぽのチケットホルダーが並ぶ案内所はやけに寂しく、一時代の終焉を物語っていた。

三都箱店のその後
1 懲りずに営業再開。
2 提携レンタルルーム併設移行型(ホテヘル亜種)
3 都内他地域へ移動(大久保、五反田、上野など)
4 ホテヘル移行型
5 デリヘル移行型
6 お咎めなし

 1は徹底的に潰され、2,3も順次潰され都内における箱型の所謂性感店は姿を消した。4,5に関しても綱渡り的な状態であり今に至る。許可店でさえ新宿の老舗ヘルス「プティ学園」が潰されたりと予断を許さない。思えば先年の新宿女学園摘発が先鞭であったのか。但し6に関して、ピンサロやのぞき部屋、ストリップ等は相当数が生き残っている。許可の問題ではあろうが何故生き残ったかが不明である。
 風俗業界の景気は一般の景気と反比例するとの説をよく耳にするが、その説の好例として平成年間は語り得る。
 平成10年前後は上向きの兆しが見えたとはいえ依然平成不況の余波重く、好対照に風俗業界は活況を呈していた。フードルなるものが生まれ嬢質は驚くほど高く、世のデフレと相俟って値段も手頃であった。反面悪質店も多く、特に歌舞伎町はスリリングであった。一見狙いやタケノコはそこかしこに溢れ、優良店に紛れて虎視眈々と我らの財布を狙っていたものだ。いずれにせよ景気の持ち直した現在より不況下の歌舞伎町のほうが活気があった。

 西川口。かねてよりの風俗街であり関東でも穴場的存在であった。何より今や全国区となったNK流、生物本来の姿に近い(詭弁か…)ということで東京壊滅以前も私はしばしば訪れていたのだが、如何せん都内と比べ嬢質は劣り、距離もあって積極的な利用は避けていた。
 しかし東京壊滅以降は状況が変わってくる。都内箱嬢が流入し嬢質が飛躍的に上がったのだ。また県外からも集中的に客が流れ需給のパイが増大した。これにより西川口は全盛期を向える。貴会の会員諸兄に於かれましては頻繁に訪れた方も多いことでしょう。安く、若く、選択肢も多く、迫害の末至った先がこのような楽園であった。荒川を渡ることで紅海を渡ったような観を得、乳と蜜を吸いに日参する日が続いた。
 平成17年4月、謳歌せる春は急遽終わりを告げる。2月に「こまった」系が摘発にあい、不穏な空気が流れる中、ネットにて大規模摘発との報を眼にした。
 翌日、西川口を訪れると…。嘗ての賑々しさとゆかしさは消え、私を迎えたのは閉じられたシャッターと扉であった。県警の本気を十分に示威するネブカドネザルの如き凌奪は、以降復活を試みた懲りない店舗をも徹底的に潰していった。
 この西川口の壊滅を機に取締は全国に波及し、各地で怨嗟の声が上がることになる。

 その後私は越谷まで北漸し一定の安住を得るも、最後の砦GEが陥落し再びの流浪が始まった。今尚そこかしこで全盛期の西川口、越谷・草加を偲ぶ声が聞こえる。バビロンの、ユーフラテスのほとりにて、捕囚たりし我々の、懐古は河を遡上して、時間つぶしのT−NET、疲れた時のモスバーガー(※ 越谷も同じ。)…

 京浜東北線のみが停車するたかが一駅ですが、ご覧の東日本の多くの方がこの街のファーストフード店とスロット屋の位置を把握しているはずだという確信があります。

 都内→西川口→草加・越谷→??
 この風俗難民の北漸ルートを辿ったのは私だけではないと思います。今回私は失われた楽園を求め、栃木県は小山を目指し、国道4号線の越谷駅入口を右折せず直進しました。小山戦役は未レポ店にも入りましたので追ってレポ致します。

 とりあえず、懐古的且つ望郷的(?)気分の立川紫煙でした。

 (H20.07.21)

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