〜©日本ピンサロ研究会〜

日ピン研文庫
風俗的に正しいおとぎばなし〜マッチ売りの少女編〜

by サブちゃん氏


 むかしむかし、渋谷に援助交際で生活費を稼いだり、友達の家を転々と泊まり歩いたりして生活している17歳の家出少女がいました。
 しかし、彼女はスタイルは悪くありませんが、顔はそれほど美人という訳ではありません。そのころ時代は不況で、援助してくれるお父さん達が皆、賃金カットやリストラでどんどん減っていきます。お金のあるお父さん達は、もう少し綺麗な娘や中学生の元へ流れていったのです。
 やがて、友達も一人二人と家に連れ戻され泊まる場所も無くなってしまいました。最初の頃は、パチンコ屋のレディースDay等で食いつないでいましたが、それもそのうちガセイベントになり、終にお金も尽きてしまいました。

 季節は冬。コギャルファッションの彼女はミニスカートです。当然毛糸のパンツはおろか、ババシャツすら着ていません。路地にしゃがみ込み、寂しさと寒さで震えていたのです。北風は彼女の心さえ凍えさせます。
 「私の人生ってなんだったのからしら?」
 「このまま、寒さで凍えて朝までには死んでしまうのかしら?」
彼女はまだ幼いなりに自分の行いを悔い、とうとう泣き出してしまいました。
 街は人通りであふれているのですが、誰もそんな彼女の事を気にかける人なんていません。人は皆、何かしら不幸を背負って生きているのです。ただしゃがみ込んで泣いているだけの女の子に構う余裕なんてないのです。

 泣きながら彼女は凍える手をポケットに突っ込むと、何か箱に手が触りました。震える手で掴み取り出して見るとそれは、今ではポケットティッシュに変わられ姿を消したはずの広告マッチだったのです。
 「あら?マッチ。いつのまに入れたのかしら。」
 「いつの間にかあなたも私みたいに、世間に必要ないものになってしまったのね。」 彼女は一本取りだし火をつけ、凍える手にそれをかざし暖めました。
 「暖かいわ。私の心に少しでもこの暖かさが残っていれば、もう少し違った人生もあったかもしれない。」
ほんの少し彼女の心を暖めたマッチの火は、程なく消えてしまいました。もう一本火をつけます。
 「このマッチが全て無くなったら・・・でも、この暖かさがくれた物は忘れない・・・。」
燃え尽きたマッチを名残惜しそうに見つめ、そっと地面に置き、三本目に火をつけました。ミニスカートで足元が冷え切った彼女は、今度はしゃがみ込んだ足元にかざします。冷え切って真っ白になった足に、ほんのり赤みがさした気がしました。

 その時、おせじにもいい男とは言えないおじさんが、優しく声をかけてきました。
 「そのマッチ、一本千円で売ってくれない?」
 「ただし、その火が消えるまでパンツを脱いで、その中をのぞかせてくれない?」
いつもの彼女なら手に持ったバッグで殴りかかったはずですが、少し優しくなった彼女は
 「ウン、いいヨ。」
と笑顔で答え、そのおじさんの言うとおりにしてあげたのです。おじさんは、「ありがとう」と一言いって、始めとおなじ優しい笑顔でさって行きました。

 その後、その様子を通りから見ていたのでしょか。2〜3人の人が同じように彼女のマッチを買い、彼女は一日の食事を得る事ができたのです。
 彼女は翌日も、そのまた翌日も。しばらく同じように同じ路地にしゃがみ込みマッチを売りつづけました。世は既にインターネット時代、彼女はマッチ売りの少女として瞬く間に有名になりました。

 そんな彼女のうわさを聞きつけた、あるイメクラマネージャーがスカウトにやってきました。彼女に断る理由はありません。彼女はいつの間にか18を迎えていたのです。翌日からさっそく店に出た彼女は、新スタイル”マッチ売りの少女”を売りに瞬く間に人気者です。
 化粧も上手くなり見違えるほど美しくなりました。少々お金も貯まったので、ほんの少しだけ整形をしたのは内緒です。でも、彼女を人気者にした本当の理由は、マッチに手をかざしたとき以来彼女が手にいれた、優しさと暖かさだったのです。

 数年後、彼女は引退して結婚。二人の子供にも恵まれ数人の孫を持ち、平凡ですが幸せな人生を送り歳をとり、たった今家族に看取られ静かに70の人生を終わりました。
 これは、癌に冒された彼女が息を引き取る数日前、夫である私が彼女の言葉を書き写したものです。私が誰ですかって?もちろん彼女から始めてマッチを買ったおじさんに決まってるじゃありませんか。あの笑顔が忘れられず、皆のアイドルとなった彼女の元へ通い続け、ようやく一人占めできたんですよ。彼女は今、あの時と同じ優しい笑顔をたたえ、静かに眠っています。私の傍らで。。。


 風俗心理科学研究室長 サブちゃん