〜©日本ピンサロ研究会〜

調査報告「2008年風俗動向調査」

by ぱるる氏


 研究部では、2008年に日本ピンサロ研究会に上梓されたレポートをもとにして、風俗業界の動向調査をおこなった。本研究会のレポート動向が、母集団である日本全国の風俗業界の動向に対する完全な標本であるとは断言できないものの、レポート投稿者の年齢、居住地域、金銭的余裕の多寡などはよくばらついており、このレポートを基にして風俗業界動向調査をすることが可能であると考えられる。

 本年度の投稿を参考に考察すると、2008年の風俗は「店舗型ヘルス(含、ホテヘル) vs。 デリバリー型ヘルス vs。 ソープランド vs。 ピンクサロン」の4つの業態が拮抗した状況にあると結論づけられる。


図1:日本ピンサロ研究会に上梓されたレポートの割合。上位5業態のみをグラフにしてある。横軸は年、縦軸はレポートの割合(パーセント)を示す。

 まず最大のシェアを誇っているのは、店舗型ヘルス(当会では、ホテルヘルスと店舗型ヘルスは同じ括りになっている)である。この業種に関しては、昨年度の動向調査では「横ばい傾向」とお伝えさせていただいた。しかし今年度の状況を合わせて鑑みると、2007年は踊り場であったものの、長期的には右肩下がりの傾向にあると考えて良いだろう。依然としてレポート件数および比率のトップを堅守してはいるものの、2005年のピーク時にはレポート総数の3割程度がヘルス業態に関するものであったが、2008年現在では20%強に落ち込んでいる。これは首都圏および大阪圏で、新風営法による締め付けが厳しくなっていることに起因するものと思われる。

 この店舗型ヘルス業態のパイを主に奪っているのが、デリヘル(デリバリーヘルス)ではないかと思われる。ヘルス業態のレポート数が減り始める2005年と時を同じくして、一気にレポート数が増加している。今年はついに僅差ではあるものの、ソープランド、ピンクサロンを押さえてレポート比率/件数の第二位にまで上り詰めた。風営法に基づく締め付けが今後緩まることはないと考えると、来年以降も店舗型ヘルスのシェアをデリヘルが徐々に奪っていく傾向がみられると考えるのが妥当であろう。このままの傾向が続くのであれば、来年にはデリヘルのレポートが店舗型ヘルスのそれを抜き、レポート割合第一位になると思われる。

 レポート割合の面で僅差でデリヘルを追っているのが、ピンクサロンである。ドル/ユーロ暴落も真っ青の右肩下がりでレポート割合を減らしてきたピンクサロンであるが、今年度は一転、微増ではあるもののレポートの増加が見られた。なぜレポート比率に下げ止まりが起きたのかについては定かではないものの、昨今の不況により安さを求める風潮が強まったことは否定できない。ただしレポートされる店舗について目を向けると、同じ店舗が延々とレポートされているという印象はぬぐえず、伸び行く業態によくみられる活発な新陳代謝は見受けられない。今後のピンサロ業界の未来について、楽観視はできないであろう。しかし世界的かつ先の見えない不況に突入した現在、安さと快感を両立させるピンクサロンには一定の需要が見込まれると考えられよう。

 ピンクサロンとは逆に、2004年ごろから順調にレポート数を伸ばしてきたソープランド業態であるが、今年のレポート数はほぼ横ばい一息入れたといった感を受ける。これはソープランドに対する風俗客の興味が薄れたということを意味してはいない。実際のところ、ソープランドのレポートに対する需要は、特に吉原ソープのレポートに対する需要が非常に高いことが当研究会の調べで明らかになっている(当該研究レポートは、未公表)。それにも関わらずソープランドのレポート数が伸び悩んでいるのは、ピンクサロンに関する考察で述べたように、不況の影響があると考えるのが妥当であろう。関西福原では、安い金額かつ短い時間での入浴をメインとし、ビジュアル第一で仕事は二の次なカジュアルソープなるカテゴリが徐々に力をつけている。今後、このカジュアルソープが全国的なソープランド需要を押し上げる要因になるのか、それとも旧来のソープ愛好者のソープ離れを進めて業界の衰退を招くのかについては、今後も注目していきたい。

 店舗型ヘルスと同様に、規制強化のあおりをくらっているのが所謂「ご当地流」店舗である。2004年を境にして右肩下がりであり、今年もその傾向を払底することはできなかった。今後も規制が緩くなることは考えられず、また本番志向の客をカジュアルソープやデリバリーヘルス(非本番風俗であるが、お察しください)に奪われていることからも、今後の復権は望めないであろう。

 これら以外の業態についてはレポート件数が少ないためにグラフには示されていないが、以下で簡単に業態の傾向について触れておきたい。

 分類「その他」は、上述の各種風俗店舗に含まれない店舗に対するレポートとなる。その他カテゴリに分類されるレポートの数は、緩やかに減少傾向を示している。特筆すべき点は、レポートされる店舗の種類が変化していることであろう。2006年頃はメイド喫茶と呼ばれる風営法外の店に関するレポート、およびビデオBOXに関するレポートがこのカテゴリの投稿件数を押し上げていたものの、現在ではすっかりと下火になりつつある。かわって、ビデオBOXとは異なる手コキ系風俗の報告がやや増加する傾向は見られた。

 エステに関しては、マッサージをメインにして手コキがついてくるタイプのものから、マッサージとは名ばかりで大陸流を楽しめるものまで、実際にはサービス内容は多岐に渡っており一概に議論することは困難である。ただしマッサージメインのタイプでは、抜きをメインにして考えるのであればコストパフォーマンスは非常に悪く、今後において爆発的な人気を得るとは考えがたいだろう。

 ちょんの間に関するレポート数は、微増微減を繰り返している。この業種は、新規参入が乏しく細々と続いていること、またコアなファンにより営業が支えられていることがこのような、減りもせず増えもせず…な状況を作り出しているのだろう。

 イメクラについてもエステと同様、NK流の隠れ蓑であったり、実態はちょんの間であったり、はたまた普通の店舗型ヘルスであったりと種々様々なサービスを包含している。NK流およびちょんの間に爆発的な復権の兆しは全く見られないこと、イメージプレイを売りにする店舗型ヘルスは比較的にコストパフォーマンスが悪いことなどを考えると、今後もこのまま低空飛行が続くのではなかろうか。

 上記のように、2008年の風俗業界は4強(ヘルス、デリヘル、ソープ、ピンサロ)の時代であった。基本的にアングラ系風俗であるご当地流、ちょんの間は、来年以降も徐々に衰退することは間違いないであろう。さらに風営法をたてにした締め付けが厳しくなるにつれて店舗型ヘルス、および受付を備えたホテルヘルスも徐々に衰退していくであろうし、店舗が関知しない自由恋愛でサービスが発生することを建前にしているピンクサロンやソープランドも、今後、爆発的に流行することは考えにくい。特にソープランドに関しては、昨今の不景気もあり厳しい先行きとなるのではなかろうか。今後伸びていく可能性を秘めているのはデリバリーヘルスのみであり、来年度はデリヘルの一強状態になることが予想される。デリヘルは、本番行為の有無を除けば西欧で主流となっているエスコートサービスとほぼ同じシステムであり、風俗業すらもある種のグローバリズムの波に飲み込まれてしまったようにも思える。多様性を誇っていた日本風俗が衰退していくのを見るのは非常に残念ではあるものの、これも時の流れとして受け止めるしかないのかもしれない。

 ---謝辞---
 本調査をおこなうにあたりサンプルとさせていただいたデータは、会員/非会員の別を問わず当研究会にレポートを上梓してくださった皆さんの身銭を切って得られたものである。ここに深く感謝する。

 研究部長 ぱるる (H21.01.04)

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