〜©日本ピンサロ研究会〜

研究ノート「日ピン研レポート件数推移に見る、国内性風俗店の変遷」

by ぱるる氏


 日本ピンサロ研究会には、日々膨大な量のレポートが上梓されており、近年では1年間あたりの掲載本数は5000本に迫ろうかという勢いである。本稿では、これら過去のレポートについて、業態別にレポートの数を分析することにより、この数年間で国内における性風俗店をとりまく環境がどのように変化しているかを概観する。

 以下に、レポート件数の変遷を示す。

業態 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
ピンサロ 376 583 1023 1030 967 437
ソープ 102 137 297 472 702 479
ヘルス 91 237 813 1202 1265 674
イメクラ 32 59 73 88 101 33
エステ 23 36 77 109 158 67
デリヘル 16 45 143 203 513 372
NK流 14 137 406 488 506 181
ちょん間 14 33 51 62 84 43
キャバ系 5 20 37 72 106 61
その他 31 38 64 139 218 88
※ただし2007年は、8月12日までのデータである。

 以下の図はそれぞれ、年別のレポート件数の変遷、およびレポート割合の変遷をグラフ化したものである。

 当研究会発足直後には、日本ピンサロ研究会という団体名にふさわしく、ピンサロのレポートが過半数を超えていたものの、その後はレポート全体に占める割合は年々低下し続けている。2004年ごろまではレポート総数の伸び率には及ばないものの、ピンサロに関するレポート件数自体は微増していた。しかしそれ以後はレポート件数も徐々に減少傾向に向かっており、ピンサロが風俗の主流の座を完全に追われてしまったことは疑いの余地が無い。2007年についてもまだ上半期を終えたばかりではあるものの、長期低落の傾向は変わっておらず、ピンサロ業態の今後の展望は暗いものであると結論付けざるを得ない。
 ピンサロ業態の低落傾向に反してレポート割合を増加させてきたのが、ヘルスとなる。日本ピンサロ研究会がレポートを集めはじめたこの数年において、「低価格で安く非本番で抜く」という業態の中心が、ピンサロからヘルスへと移行したことを表している。ピンサロのレポート件数が微増から微減へと転換する2004年から2005年にかけて、ヘルスのレポート数は爆発的に増加していることから、このころがピンサロからヘルスへと風俗の王座が移動した時期と考えることも可能であろう。このヘルスレポートの増加には、関西圏、とくに大阪のホテルヘルスにおいて圧倒的なまでの価格破壊が進んだことも影響しているかもしれない。ただし日本ピンサロ研究会でヘルスと分類されている店舗型ヘルスおよびホテルヘルスのレポートは実際には、2005年をピークに横ばい微増傾向にある。これは2006年5月に施行された改正風適法の影響を反映しているものと思われる。ヘルス(店舗型、ホテル型)のレポートが横ばい傾向になるのに時を同じくして、デリバリーヘルスのレポート数が爆発的に伸びてきている。これも改正風適法の影響だろう。
 さらに筆者にとっては意外なのであるが、ソープのレポート数および割合は、近年わずかながらではあるが増加傾向が見られている。この増加傾向は、NK流に衰退が見られ始めた2005年頃からはじまっている。このことは、所謂「大人のお付き合い」系風俗には一定の需要が存在しており、NK流への取り締まりの強化および嬢レベルの低下により、客がソープランドへと回帰していったことを表しているのかもしれない。
 ピンサロ、ソープ、ヘルス(店舗型、ホテル型、デリバリー型)のここ数年での傾向についてレポートしたが、その他の業態についても簡単にではあるが考察してみよう。
 所謂「新地」でのお遊びのレポートである「ちょんの間」、さらには「エステ」のレポートは件数としては少ないものの、毎年、ほぼ一定割合で寄稿され続けている。これらの風俗が持つある種のアンダーグラウンド感が、風俗ファンをひきつけるのかもしれない。 ほかにはイメージクラブは長期低落傾向にある。イメージクラブとして分類されてきた、NK流のあるヘルスや店舗型ヘルスが低落傾向にあること、また一般的なヘルスがイメージプレイを取り入れたことが、イメージクラブの低落傾向を引き起こしていると考えられる。またセクキャバのレポートは僅かに微増しているものの、割合としては微々たるものである。
 一時期、「その他」に分類されているメイド喫茶などのレポートが増加する傾向が見られたものの、2007年の現状を見る限りでは一過性のブームであったと見るのが妥当であろう(少なくとも日本ピンサロ研究会としては)。またビデオボックスなどは一部有力会員のレポート以来、割合としては微小ながらも徐々にレポート数が増えている。これがメイド喫茶のような一過性のものであるか否かは、向こう数年の調査を待ちたい。
 本研究会のレポートは、国内の性風俗店を取り巻く状況を調べるという目的で書かれたものではなく、お店で楽しく遊ぶための一助として会員および非会員の諸氏からご投稿いただいたものである。しかし実際に今回のようにメタにレポート群を眺めてみると、掲載されているレポートには、その時々の社会情勢や法整備などによる影響がくっきりと現れてきていることが明らかとなった。本研究会の目指すところとは実際には異なっているものの、風俗業界の変遷をつづるある種の「業界史」的な役割も果たして行くことができるかもしれない。

 ---謝辞---
 本調査をおこなうにあたりサンプルとさせていただいたデータは、会員/非会員の別を問わず当研究会にレポートを上梓してくださった皆さんの身銭を切って得られたものである。ここに深く感謝する。

 研究部 風俗基礎理論研究室長 ぱるる (H19.08.26)

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