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随筆「民主党よ野に下れ」

by KEN氏


「首相閣下は言われる。私は君主の信任を得ている。ゆえに国家のために最適と信じる政策を行う義務がある,と。しかし,もし,農村紳士たちが,閣下に下院における多数を与えなかったならば,果たして君主は閣下を信任さられたであったろうか。目の前に居る議会の多数は,今日とは違った状況の下で選出された人々である。」

 こんばんは,KENです。すいません,今回はレポートではありません。管理人の独り言,否,戯言でございます。風俗とは全く関係ございません。管理人の独善に基づくもので,読まなくても結構ですが,たまには真剣に国の事を考えるのもまた,有益かと思い,勝手ながらupさせて頂きます。

 冒頭の一節は,AD1840年代に,イギリスの保守党員ディズレーリが公約違反の法案を成立させようとした,同じ保守党の宰相を非難した演説の一節です。
 現状の民主党はどうでしょうか,平然と公約違反を行いながら,選挙時と状況が変わったのでやむを得ないと言って,当然のように振舞っています。
 これでいいのでしょうか?
 果たして,現在実行しようとしている政策,高速道路の無料化はしない,ガソリン税の暫定税率は維持,外国人地方参政権の付与,親中反米,これらを公約に掲げていたら,選挙での大勝はあったのだろうか,そう思わざる得ません。
 公約したことは実行せず,公約していない事は実行しようとする民主党,恐らく戦後最も民意を無視している政党ではないかと思います。

1 公約を修正する事が出来るのか
 これは明らかに有権者をバカにしています。民主党に投票した人々は,大変景気のいい公約に惹かれて投票したのではないでしょか。
 その結果は。。。
 ガソリン税の暫定税率は廃止せずに継続,暫定税率の暫定継続なぞ,笑うに笑えません。高速道路に至っては,廃止どころか,一部では値上げになりそうな気配です。こども手当も当初構想に無かった自治体に負担させるだけではなく,民間企業にさえも負担させようとしています。それでいて,半額支給をするための財源にさえ,埋蔵金なるものを使って来年度以降の財源は全く目処が立っていないような状態です。
 実際のところ,選挙戦当時から自民党などは,執拗に財源について質していましたが,民主党の答えは「無駄遣いをなくせば捻出できる」と言う漠然としたものでしかありませんでした。少なくとも,その頃には税収が大幅に減収となるのは分かっていたはずで,税収減を公約の修正の理由とするのは全く合点がいきません。しかし仮に税収が減少したとしても,税収以上の借金(国債)に頼るという事は,明らかに見込みが甘かったと言わざる得ません。
 確かに,公約を実現すれば,国庫は空っぽで,恐らく日本の財政は破綻するでしょう。しかし,民主党は,選挙民に公約を示して政権を預かったのです。これは何があっても実現しなければなりません。財政が破綻してもです。それが公約です。もし,それが出来ない国家が破綻すると言うのなら,新たな公約を示して,改めて民意を問うべきなのは言うまでもありません。
 選挙のときだけ,耳障りのいい事を言って,いざ勝てば公約は状況により修正してもいいでは,何とでも出来てしまいます。消費税は全廃しますと公約して,その後情勢が変わったので消費税を2倍に引き上げると言ったらどうでしょう?今の民主党はこれと一緒です。
 現状では,民主党は公約をほとんど実現出来そうにありません。メディアなどは公約を実現すれば滅茶苦茶な事になるので修正をすべきだ,といった論調が多いようですが,修正は有権者に対するとんでもない裏切りだと思います。
 国民の負託に応える,とよく言いますが,その負託は,公約を実現すると惑わされて与えたのです。それを実現できないのは,明らかに国民の負託に応えていません。
 修正するなら民意を問う,これが正しい民主主義です。

2 普天間基地移設問題の禍根
 公約違反以上に将来に甚大な影響をもたらしそうな案件がこちらです。マニフェストには「在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」とされていますが,具体的に普天間基地県外移設とはかかれていません。
 この問題は,政府,自治体,アメリカ政府,それぞれのレベルで温度差はあるものの,一応は納得し,両政府の予算措置さえ為された解決済みの問題でした。
 それを鳩山首相がパンドラの箱を開けてしまったのです。政府間合意と言うものの重みを全く考えず,民衆の喝采を浴びたいがために,不用意に言ってしまったのでしょう。仕舞いにはこの問題の是非を,地方選挙(それも市長選挙)に委ねてしまった。国家の安全保障という非常に重要な問題を,一地方選挙の民意で決定してしまったのです。これがこの問題をさらに難解にしてしまいました。
 こうなっては,どこの地方の意向も尊重せざる得ません。まさか名護市だけは特別だ,などとは口が裂けても言えないでしょうから。案の定,長崎や佐賀など候補地に挙げられた自治体は反対の意見表明をしています。恐らくどこの都道府県も同様に回答するでしょう。そしてそれを無視するわけにはいかない。よって国内での移設は絶望的。国外はさらに絶望的。
 この問題は100%,5月までには解決できません。解決策は二つに一つ,アメリカを取るか,沖縄を取るかしかありません。
 もし,アメリカを取って沖縄を裏切れば,鳩山氏は沖縄県民に土下座して自分の不明を精神誠意詫びなければなりません。自身が軽率であったと。もちろん,首相辞職は必須です。そうしなければ,この問題は成田空港闘争の再来になる可能性が高いと思います。左の連中には格好の活躍の場となるであろうと推察されます。しかし,さらに最悪なのは沖縄独立論が台頭しかねない,と言うことです。これ以上本土のために沖縄が犠牲になるなら,いっそ沖縄は独立してしまおう,と言うような風潮が出てしまったらどうするか。独立を宣言し,2カ国以上が承認すれば独立出来てしまうのです。さらに中共が沖縄を取り込んだらどうなるか,日本は喉元に匕首を突きつけられた状態となり,もはや中共の勢力圏に収められてしまい,何も出来なくなります。
 逆に沖縄を取ってアメリカを裏切ればどうなるか。この先例はあります。フィリピンです。
 フィリピンからの要求で平成6年,米海軍,空軍が完全撤退したのですが,その直後から中共の侵略が露骨になり,遂にはフィリピンが領有していた南沙諸島の一部を占領してしまったのです。フィリピンには近代的な意味での軍隊は存在しないと言われています。特に空軍,海軍は実質的にゼロに等しく,陸軍も治安軍に近いもので,ほとんど近代戦は不可能と言われています。中共の強大な軍事力に対抗できるはずもありません。そして危機感を持ったフィリピンはアメリカに再度の駐留を打診しましたが断られ,結局,米軍との合同演習の再開,イスラム過激派の共同掃討作戦,国内基地の米軍の使用の承認などで,何とかアメリカのプレゼンスを得,中共の侵略に歯止めを掛ける事ができました(占領地は返還されず,そのまま中共が占領)。
 もし,このまま鳩山氏の迷走が続き,アメリカが嫌気をさした時,本当にアメリカは撤退しかねません。アメリカが撤退すればどうなるのか。フィリピンの先例を見れば明らかです。日本は独力で,核兵器を持ち,兵力270万人,3000機以上の作戦機を保有する敵性国家と対峙しなければならいのです。
 現状の兵力26万人,作戦機350機,核兵器なし,空母なし,原潜なしのわが国では,どう逆立ちしても敵う相手ではない。恐らく,最低でも今の3倍の国防予算が必要になるのではないでしょうか。
 もうどちらに転んでも,日本は財政面でも外交面でも内政面でも相当過酷な状態に置かれる事になります。
 さらには世界から「日本は政府間の約束も平然と反故にする」と言う目で見られ,対外的な信用度がゼロになる事も覚悟しなければなりません。既にアメリカは日本を信用していないでしょうし,情けない事に,中共には「日米はもう少し仲良くしてもらわないと困る」と公式に言われる始末です。
 鳩山氏の全く先の事を考えない,人気取りだけの気まぐれは,それだけ大きな影響を,下手をすれば半世紀は禍根を残す影響を日本に与えてしまったのです。覚悟も信念も無いからここまでこじらせてしまったのです。

3 外国人地方参政権
 これも普天間並みに大きな影響を与える案件です。こちらはマニフェストには全く言及されていません。
 そもそも,帰化して日本国籍を取得すれば,すべての参政権が与えられるわけです。参政権が欲しければ帰化すればいいのです。帰化をしないという事はどういうことなのか,それはすなわち,日本に忠誠を誓いたくない,と言うことでしょう。なぜ,外国に忠誠を誓う人間に,日本の選挙権を付与しなければならないのか,甚だ疑問です。例えば韓国籍の人には兵役の義務があります。韓国軍人として,韓国を守らなければなりません。これは外国に居住している国民も同様でしょう。ただ,免除の規定があるため免れているだけです。望めば兵役に就けます。公務員なら分かると思いますが,任官の際,必ず宣誓させられます。これは韓国でも同じでしょう。韓国の法を遵守し,韓国を守ると宣誓させられるのです。外国籍の人は国籍を有する国を守り,その国の法を遵守する義務があるのです。兵役を免除されても,韓国国民のその義務まで免除されるものではありません。日本国民も国籍があれば,日本に弓を引く者は,刑法の内憂外患罪に問われるのです。
 他国の国防義務を持つ者に,地方とは言え,参政権を与えるのは全く持って常軌を逸しています。万が一永住者の国と日本が戦争になればどうなるのか,彼らは国籍を有する国の法に従い,その国を守るのです。
 地方分権,地方主権を唱えている民主党現政権は,地方の重み重要さを分かっているはずです。国家の重要案件を名護市長選挙と言う地方選挙に実質的に判断させる政権です。この政権の下で,地方参政権が外国人に認められたらどうなるのか?対馬が永住外国人で過半数を占められたらどうするのか?想像しただけでも背筋に悪寒が走ります。
 日本列島は日本人だけのものではない,と言う戯言を鳩山氏は言っていましたが,本当に日本を切り売りしてしまいそうで恐ろしいです。日本列島は日本人のものです。

4 友愛=政策無き外交政策
 最近の外交の迷走振り,無定見振りは目に余ります。インド洋から撤退し,4500億円もの大金を掛けてアフガンの支援をして何があるのでしょうか。給油のニーズが減ったとこじつけ撤退しましたが,給油は民生支援の1/10の費用で済み,各国からの評価はともかくとして,日本の軍艦が存在する,と言う意味は大きかったと思います。アメリカにとっても,キリスト教対イスラム教言う図式を避けると言う点で,日本の参加は実際の効果はともかく,精神的な効果は大きかったのではないでしょうか。また,アラブでありながら参加していたパキスタンにとっても,キリスト教国家から給油を受けるよりも,日本から給油を受けていると言う事実が,他のアラブ諸国に対する,ある種のメッセージになっていたのではないかと思います。それだけ他国から見て意義のあった事を辞めて,その10倍も費用がかかり,それでいて,他国への影響が1/10以下になる政策を選択したこと自体,意味が分かりません。まず自民党政権の行っていた事を変える,これだけが目的だっただけです。外交案件を国内問題にして処理してしまったのは致命的なミスです。
 対中共と言う面で見ても,なぜ,日本の領土の領有権を主張し,日本の資源を収奪しようとし,誤った歴史観を押し付けてくる国家に対して擦り寄らなければならないのか。実際にここ数年の中共の侵略的動向に対して危機感を持った日本最南端の与那国町は,自衛隊駐留の懇請をしていますが民主党は無視しています。
「町の誘致の方針に変わりはありません。でも民主党になり不安はあります。お隣さんを刺激するようなこと(配備)はしないと(北沢俊美防衛相は)申されたようですが、お隣さんの方が軍事大国です。先方(の軍備)は認めてこっちはいけないというのはおかしい。隣のことばかり気にする外交の脆弱(ぜいじゃく)さです」(サンケイ新聞webサイトから引用。原典はこちら
外間町長の言葉です。非常に正鵠を得ている発言です。首相や防衛相より町長の方が安全保障,外交に対する考えがしっかりしていると言うのも喜劇的な現実です。
 ちなみに,この国境の島に配置されているのは,駐在所の警察官2名のみ,拳銃2丁で国境の島を守らなければならないのです。
 普天間問題,東アジア共同体構想にしても,アメリカの反応を全く考えずに発言しているとしか思えません。その昔,大東亜共栄圏を掲げ,欧米と敵対した歴史から何も学んでいません。
 世界は,キリスト教の精神で動かそうとする欧米諸国と,それに反発するイスラム教等の他教徒の国家群の対立に外なりません。日本はどちらの宗派にも一定の距離を置き,それでいて,どちらの宗派からもその存在を認められている数少ない国です。そして白人以外では唯一といっていいほど,白人から一目置かれる有色人種の国です。この立場を巧みに利用すれば,相当優位な外交が出来るはずです。先般のマグロ禁輸の件では,珍しくリビアを取り込み,さらにアフリカ諸国の反欧米を利用して日本自身も驚く圧倒的多数で否決しました(中共の影響力が大きいようですが)。そうした戦略的な外交を是非進めて欲しいと思います(水産庁の役人の方が外務省の役人より外交に長けていると言うのはまた日本の喜劇的な現実です)。

 結局のところ,民主党は政権交代が目的となってしまった政党です。政治は自国民の福祉を増進し国民の命を守るのが目的です。民主党は手段が目的化してしまった政党ではないでしょうか。そして目的が失われ,次の戦略を全く考えていなかった,昔の日本と一緒です。民主主義の鉄則を踏みにじり,国をここまで危うくしている政党にこのまま日本を委ねてしまっていいのでしょうか。私は恐ろしくて仕方ありません。来る参議院選挙の前に,皆さんも考えてみては如何でしょうか。

 日本ピンサロ研究会 会長 KEN (H22.03.21)

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